
佐藤美穂子
解説者の記事一覧下痢、食欲減退・疲労、発声障害などの症状は、スチバーガ®でよくみられる副作用ですので、対処法も含めてきちんと患者さんに指導しておくことが大切です。最終回の今回は、これらの副作用の患者さんへの指導のポイントを確認しましょう。
下痢
下痢はスチバーガ®の投与期間を問わずあらわれます
下痢はスチバーガ®の副作用としてあらわれることがあり、患者さんのQOLを低下させ、重症になると脱水症状を引き起こす場合があるため注意が必要です。
大腸がんの国際共同第Ⅲ相臨床試験において、スチバーガ®を投与された日本人患者での下痢※の発現率は21.5%で、グレード3は1.5%に認められたと報告されています1)。
また、下痢の発現時期はスチバーガ®の投与期間を問わずあらわれるため(図1)、継続的なモニタリングが必要です。
※MedDRA ver.14.1

図1 スチバーガ®による下痢の発現時期
患者さんへの指導のポイント
下痢があらわれたら、できるだけ安静にして腹部を温め、脱水症状を防ぐために水分をたくさんとるように指導しましょう。おしりを清潔に保ち、感染症を予防することも重要です。対症療法としては、止痢剤が使用されます。
また、腸粘膜の刺激や負担を軽減するため、温かくて消化のよい食物繊維の少ない食品をすすめます。刺激物や冷たいものは避けるように指導しましょう(図2)。
下痢の程度や状況は「服用ダイアリー手帳」に記入し、診察時に医師に伝えるよう指導します。ただし、ひどい痛みを伴う場合や便に血が混じっている場合には、スチバーガ®の服用をやめて緊急連絡するよう伝えましょう。

図2 下痢のときの食事の工夫
食欲減退・疲労
食欲減退や疲労には生活指導や精神的ケアが重要です
スチバーガ®の服用中は食欲がなくなったり、体重が減ったり、身体がだるく感じることがあります。大腸がんの国際共同第Ⅲ相臨床試験において、スチバーガ®を投与された日本人患者での食欲減退※、疲労※の発現率はともに43.1%に認められたと報告されており1)、比較的頻度の高い副作用といえます。
これらの症状に対する特別な予防法や対処法は確立されていないため、生活指導や精神的なケアで対応します。特に疲労感は、客観的な評価が難しいため、患者さんが表現する症状によく耳を傾けて評価し、表1に示すような具体的なケアの方法を指導しましょう。
※MedDRA ver.14.1

表1 食欲減退と疲労の予防・対処法
発声障害
発声障害はスチバーガ®の休薬により回復します
スチバーガ®の副作用として嗄声(しわがれたかすれ声)があらわれることがあります。大腸がんの国際共同第Ⅲ相臨床試験において、スチバーガ®を投与された日本人患者での発声障害※の発現率は32.3%でした1)。
発声障害でささやき声になるほど重症になる報告はありませんが、特別な予防法や対処法がないため、声を使う職業の方には事前に伝えておく必要があります。また、声がかすれて不安を抱えている患者さんには、スチバーガ®を休薬することで回復することを伝えて安心させることが大切です。
※MedDRA ver.14.1
このシリーズでは、大腸がんにおける経口抗がん剤の基礎知識からスチバーガ®の副作用マネジメントのポイントまでを、全12回にわたってご紹介してきました。
がん治療、特に経口抗がん剤による治療の効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、患者さんに接する機会が多い看護師さんの協力が必要です。ぜひ、このシリーズでご紹介した内容を実臨床で実践していただき、患者さんのケアにあたっていただければと思います。
参考文献
1)山田康秀:日本臨床腫瘍学会. O2-035, 2013
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