2021年2月18日・24日に第一三共ヘルスケア・ナース専科共催セミナー「がん治療における皮膚障害のケアに強くなろう! <基本編><実践編>」が開催されました。
<基本編>ではがん治療における皮膚障害がなぜ起こるのか、そのメカニズムや種類、予防法について紹介され、ケアの基本を学びました。<実践編>では重症化した皮膚障害のケアについて、対処法や皮膚科受診のタイミングが紹介され、ケアのポイントについて実践を交えて学びました。
今回は、講演のなかから知っておきたい基礎知識やケアのポイントを紹介します。
がん治療における皮膚障害のケアに強くなろう! 【基本編】
なぜ起こる? 皮膚障害のメカニズムについて知ろう がん研有明病院 皮膚腫瘍科・皮膚科 医長 西澤 綾 先生

近年、がんに対する治療薬の開発が進み、多くの患者さんが抗がん薬治療を受けるようになってきています。抗がん薬治療に用いられる薬剤は、従来の抗がん薬である細胞障害性抗がん薬のほか分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬、ホルモン薬があります。抗がん薬治療や放射線治療では副作用を生じるため、その管理が必要になってきます。副作用のなかには皮膚障害もあり、生命を脅かすものはまれですが、重症化すると抗がん薬の減量や休薬などで対応することもあります。
皮膚障害のメカニズム
①細胞障害性抗がん薬による皮膚障害
細胞障害性抗がん薬は、細胞が分裂して増える過程に直接または間接的に作用し、がん細胞を攻撃する薬剤です。細胞増殖が盛んな細胞を障害するため、がん細胞だけでなく正常な細胞まで攻撃してしまい、皮膚や粘膜に障害が起こります。
一番頻度が高い皮膚障害が発疹・紅斑ですが、そのほかに皮膚乾燥、掻痒、脱毛、色素沈着、爪甲の変化、手足症候群などが生じます(表1)。
表1 細胞障害性抗がん薬で起こる皮膚障害の種類とメカニズム
| 皮膚障害 | メカニズム |
| 発疹、紅斑 | ・細胞分裂の活発な表皮細胞がダメージを受け、表皮の角質層が薄くなり、外的刺激に弱くなる ・汗腺や皮脂腺も影響を受けやすく、分泌が少なくなりバリア機能が低下する ・微量な薬剤が血管から排出した影響も考えられている ・薬剤の使用中止により軽快する |
| 皮膚乾燥、掻痒 | ・表皮細胞がダメージを受け、角質層の菲薄化、皮脂腺・汗腺の分泌低下により、皮膚が乾燥する ・皮膚のバリア機能の低下により、刺激に敏感になり、かゆみも生じる ・薬剤の中止により軽快する |
| 脱毛 | ・成長期の毛母細胞が障害を受け、成長せずに短いままで抜け落ちてしまう(成長期脱毛) ・投与後数日〜4週で症状が現れ、治療終了後約1~2月で髪が生えてくるが、髪質の変化や部分的脱毛が残ることがある |
| 色素沈着 | ・明確な機序は不明だが、皮膚の基底細胞の細胞分裂・増殖が障害されたり、表皮のメラノサイト(メラニンを生み出す細胞)が活発になることで起こると考えられる ・おもに顔面や四肢末端、関節部、爪甲に生じる ・治療終了後、数カ月で改善がみられることが多い |
| 爪甲の変化 | ・爪甲周囲の皮膚の血管の変性、神経障害により、爪甲剥離、爪甲下に紅斑、爪甲下出血などが生じる ・爪母細胞へのダメージにより治療終了後も爪の変形が残ることがある |
| 手足症候群 | ・抗がん薬による表皮細胞への直接的・間接的障害に、外的な刺激が加わって発症・増悪する ・エクリン汗腺からの薬剤分泌、フルオロウラシルの分解産物の関与、毛細血管が破壊されて抗がん薬が微量に漏れることで生じると考えられる ・手と足に好発する病変で、特に手掌、足底に紅斑、腫脹、過角化、色素沈着などを生じることを特徴とする ・休薬・減量、中止で比較的速やかに軽快する |
②分子標的薬による皮膚障害
分子標的薬はゲノム・分子レベルでがん細胞の特徴を認識し、がん細胞の増殖・転移に関係する特定の分子だけを攻撃する薬剤です。その標的ががん細胞のほかに表皮にも発現しているものでは、皮膚障害が生じます。高頻度に皮膚障害が生じる薬剤にはEGFR阻害薬とマルチキナーゼ阻害薬があります。
表皮細胞ではEGFRが高発現しており、それにEGFR阻害薬が結合することで皮膚障害が起こります。ざ瘡様皮疹は皮膚障害のなかで最も早期に出現し、投与後1週以降に発現、その後徐々に軽快していきます。投与より3~5週経過すると皮膚乾燥が生じ、爪囲炎は4~8週から発現し、長期に持続する傾向があります。
マルチキナーゼ阻害薬は、細胞が増殖するために必要な種々のチロシンキナーゼを阻害し、シグナル伝達を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。多種のチロシンキナーゼを阻害するため副作用はさまざまで、皮膚障害としては手足症候群、発疹などが出現します。
③免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害
免疫チェックポイント阻害薬は、自分自身の免疫にはたらきかけてがん細胞を排除させる薬剤です。時にその免疫機能が過剰にはたらき正常細胞も攻撃してしまい、自己免疫疾患のような有害事象が起こります。この免疫関連有害事象(irAE)はいろいろな臓器でみられ、皮膚にも生じます。尋常性乾癬や白斑などがみられますが、ほとんどが軽度で可逆性、マネージメント可能ですが、5%未満とごくまれに休薬が必要なGrade 3以上の高度なものが生じます。
④放射線治療で起こる皮膚障害
放射線は皮膚を通過して病巣に達するため、照射された部位の皮膚は放射線の影響を受けます。表皮最下層の基底細胞は細胞分裂が盛んで、放射線照射により影響を受けやすく炎症が生じます。
皮膚症状としては、乾燥、掻痒、ヒリヒリとした刺激症状、発赤、色素沈着、表皮剥離、潰瘍などがみられます。
皮膚障害の種類と予防
抗がん薬には皮膚障害を起こしやすい薬剤と特徴的な皮膚症状があります。皮膚障害を起こしやすい薬剤について表2にまとめました。
表2 おもな抗がん薬と皮膚障害の種類
| 種類 | おもな薬剤 |
| 発疹、紅斑 | フルオロウラシル、シタラビン、シスプラチン、ブレオマイシン、リポソーム化ドキソルビシン、エトポシド、ブスルファンなど |
| 皮膚乾燥 | カペシタビン、ティーエスワン、パクリタキセル |
| 皮膚掻痒 | フルオロウラシル、カペシタビン、エピルビシン、パクリタキセル、ブスルファン、シスプラチン |
| 色素沈着 | フルオロウラシル、カペシタビン、テガフール、ドキソルビシン、エピルビシン、パクリタキセル、シスプラチン |
| 爪甲の変化 | フルオロウラシル、カペシタビン、テガフール、ドセタキセル、パクリタキセル |
| 手足症候群 | フルオロウラシル、カペシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、リポソーム化ドキソルビシン、エトポシド |
| 皮膚硬化 | パクリタキセル、ドセタキセル |
| 脱毛 | 【高度】シクロホスファミド、イホスファミド、エトポシド、ドキソルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル、エピルビシン、イリノテカン 【中等度】カルボプラチン、ビンクリスチン、メトトレキサート 【軽度】シスプラチン、フルオロウラシル、ゲムシタビンなど |
抗がん薬治療や放射線治療には、高率に皮膚障害が生じるものもあります。皮膚障害の発症メカニズムを理解すると、それに基づいた予防、悪化防止を行うことができます。がん治療が始まる前に、あらかじめ患者さん自身が副作用を予防、早期発見できるように指導し、適切なケアを継続できるようにしておくことが理想です。
どのような皮疹に対しても、予防として健常な皮膚を保つことが重要です。薬剤により発症しやすい皮膚障害・時期を患者さんに説明し、皮膚障害を早期に発見するための確認部位や予防方法をアドバイスします。適切にアドバイスするためには、患者さんの皮膚状態、生活習慣や仕事内容、日常的なスキンケアの方法などを、治療開始前に事前にチェックしておきましょう。
がん治療で生じる皮膚障害へのケアの基本を学ぼう 都立多摩総合医療センター がん化学療法看護認定看護師 春藤 紫乃 先生

がんの治療において、患者さんに得るべき利益をもたらし、予定されている治療を完遂するためには、看護師の役割として、安全な治療を提供し、治療に伴う苦痛を最低限におさえ、患者さんが安心して治療を受けられるよう支援することが求められています。
がんの治療で生じる皮膚障害の代表的なものとして、手足症候群、ざ瘡様皮疹、爪囲炎などがあります。基本編では、これらの皮膚障害へのケアの基本について解説します。基本的に皮膚のケアというのはスタンダードなものがあり、がん治療で生じる皮膚障害のケアにおいても、そこから外れることはありません。皮膚障害はボディイメージへ影響し、症状が強くなるとQOLは低下し、治療継続への意欲も低下します。症状が強くなる前に対処していくことが重要です。
皮膚障害へのケアの基本
抗がん薬の作用により、皮膚はバリア機能が低下し、正常な機能を維持できなくなっています。皮膚の弱くなった部分を補うためのケアの基本は、「保清」と「保湿」です。この2つはすべてのケアにおいて重要であり、絶対に外せません。
保清では「洗浄」が重要です。洗浄は皮膚を刺激しないように行い、汚れを落とすだけでなく保湿剤や外用薬をしっかり落とすことが大切です。1日1回以上は洗浄剤を使用して洗い、顔は朝と寝る前の2回洗えるとベストです。石けんは泡立てて使い、石けんの成分はしっかり洗い流します。お化粧をしている場合は、刺激の少ないメイク落としを選択します。洗浄の注意点としてはゴシゴシこすらない、刺激の強いナイロンタオルや熱いお湯は使わないようにすることです。
保湿については、入浴や手洗い後、10分以上経過すると皮膚が乾燥し始めるため、できるだけ早く保湿剤を塗ることが効果的です。ざ瘡様皮疹が出現してからも保湿は重要で、副腎皮質ステロイド外用薬に加え、ベースとして保湿剤を使い、皮膚が潤った状態を保ちます。手は洗う機会が多いため、洗うたびに保湿剤を塗ることを推奨してください。
保湿剤はアルコールの入っていない、低刺激のものがよいとされていますが、「しみる」「ひりひりする」などの症状がなければ、日常使用しているものでもかまいません。患者さんが使ってみて心地よい、使いやすいものを選んでもらうことが、継続につながります。
皮膚症状に対する実際のケア
①ざ瘡様皮疹に対するケア
皮疹が小さく、少ないうちは気づかない場合もありますが、患者さんには「赤いポチポチが1、2個でき始めたら、その部分にステロイド外用薬を塗ってください」と説明します。
ステロイド外用薬を使用し始めても保湿剤や化粧水と併用する必要があり、ステロイド外用薬をつける前に、保湿剤や化粧水でしっかり皮膚を保湿し、ステロイド外用薬の上から日焼け止めやお化粧をします。症状がひどいところには、ステロイド外用薬の重ねつけをします。
部位により皮膚の厚さが違い、薬の吸収率が異なるため、ステロイド外用薬は部位により、強度を変えて処方されます。顔にはmediumといわれる中程度のものを、体幹や指趾にはstrongからvery strongの強いものを使うことが多いです。
②皮膚乾燥、爪囲炎に対するケア
強い皮膚乾燥や爪囲炎にもステロイド外用薬を使うこともあります。
また爪囲炎は、爪のわきの腫脹が強くなってきたときに爪の切り方やテーピング法で、爪が皮膚にくい込まないように対処します。さらに保湿と同時に、ステロイド外用薬を塗ることが大切です。特に腫れていると十分に洗浄されていないことが多く、腫れているところのすき間に汚れや滲出液がたまっていることがあります。そこをよく洗って汚れを落としてから、ステロイド外用薬を塗ってしっかり浸透させていきます。
がん治療における皮膚障害のケアに強くなろう! 【実践編】
重症化した皮膚障害のケア がん研有明病院 皮膚腫瘍科・皮膚科 医長 西澤 綾 先生
抗がん薬による皮膚障害は、重症化していても大抵の場合は減量・休薬により軽快します。しかし減量・休薬は、患者さんにとっては腫瘍が大きくなってしまうのではないかと不安に繋がります。そのため、皮膚障害による中断が起こらないように予防的なスキンケアを行うことが必要で、さらに皮膚障害が発症した際は早期に介入して悪化を防ぎ、改善に導けるようにすることが重要となります。
細胞障害性抗がん薬による皮膚障害のケア
爪囲炎のケア
①ケアと指導のポイント
発症前から保湿、保清といったスキンケアを行い、日中は手袋や綿の指サックなどを使用し、刺激を避けます。
発症後は感染予防のため、爪のわきや爪甲下も含め、石けんで毎日洗浄します。絆創膏などで保護すると、創部皮膚が浸軟し感染しやすい状態となるため、ガーゼなどの風通しのよい蒸れない素材で保護するようにします。
炎症がある場合は、爪のわきや剥離している爪のところから、炎症のある爪甲下へ副腎皮質ステロイド外用薬を塗ります。
②皮膚科へのコンサルティングのタイミング
まずは、爪の下が赤紫になっていて、痛みを伴うときです。爪甲が脱落しかかっている、黒色に変色している、異臭がする、滲出液が増えてきた場合は感染が疑われるため、皮膚科受診を勧めます。
手足症候群のケア
①ケアと指導のポイント
保湿剤による保湿のほか、角質軟化剤を使用した角化対策を行います。ヒリヒリするなどの刺激症状が出てきた後、皮膚が角化してくるため、発症前から尿素含有軟膏での保湿を1日2回以上、こまめに行う必要があります。
角化性紅斑は徐々に進行し、物理的な刺激で悪化していくため、日中は手袋の着用、足の有痛部位には被覆材を貼付したり、靴にインソールを入れるなどの対応を指導します。難治な角化には、ビタミンD3軟膏などの角化対策治療も有効です。
②皮膚科へのコンサルティングのタイミング
Grade 2以上の皮疹で角化が難治の場合、Grade 3の有痛性紅斑や水疱がある場合は皮膚科受診を勧めます。
分子標的薬による皮膚障害のケア
分子標的薬による皮膚障害のうち、表3に示したものが重症となりやすく、いずれもGrade 1までは保湿が基本となりますが、Grade 2からはすべての皮疹に対してステロイド外用薬を使用することが推奨されています。
ステロイド外用薬はすべての皮疹に有効ですが、ステロイドざ瘡、細菌・真菌感染、皮膚萎縮など、さまざまな局所的副作用がみられるため、使用期間に注意が必要です。特に顔面でのステロイド外用薬使用の安全期間の目安は、ステロイドのランクにかかわらず2週間以内といわれています。ざ瘡様皮疹では好発時期(投与開始2カ月以内)に続けて使用すると、副作用が出現しやすくなります。
表3 重症化しやすい皮膚障害
| EGFR阻害薬 | ざ瘡様皮疹 |
| 脂漏性皮膚炎 | |
| 爪囲炎 | |
| マルチキナーゼ阻害薬 | 手足症候群 |
EGFR阻害薬によるざ瘡様皮疹のケア
①ケアと指導のポイント
顔面や体幹のほか、腋の下、肩、膝の後ろなどの擦れる部位にも皮疹や潰瘍が生じやすいため、皮疹の出現部位を確認します。皮膚の擦れる部位に潰瘍ができている場合は、被覆材などで保護します。
悪化させないポイントは、外用薬(ステロイドの種類や外用部位など)や皮疹の出現部位を確認することです。患者さんには石けんでの洗浄と入浴方法を指導します。
治療に関しては、好発時期の投与開始2カ月以内とその時期を過ぎた2カ月以降で変更します(表4)。治療後、どれくらい経過しているか、ステロイド外用期間を確認します。
表4 ざ瘡様皮疹の時期別治療のポイント
| 2カ月以内 | 外用:①皮疹が出現した時点で早めにstrongクラスのステロイド外用薬を使用 ②1~2週で症状が落ち着いた時点でステロイド外用薬から保湿剤やステロイドをランクダウン、他剤へ変更 内服:ミノサイクリンは皮疹出現好発時期の2カ月間は内服継続。発症前からだけでなく皮疹発症後でも有効 |
| 2カ月以降 | ・皮疹が残存する場合はステロイドざ瘡や感染症併発の可能性考慮する。外用は表皮感染症の治療や尋常性ざ瘡の治療に切り替える ・難治であれば培養検査を行い感受性をチェック、感受性のある抗菌薬内服検討 |
②皮膚科へのコンサルティングのタイミング
Grade 2以上の皮疹でステロイド外用薬と抗菌薬ミノサイクリンを処方しても難治の場合、Grade 3の皮疹、急な悪化があり感染が疑われるときに皮膚科への受診を勧めます。
EGFR阻害薬による脂漏性皮膚炎のケア
①ケアと指導のポイント
指導のポイントは、外用薬の種類(ステロイド外用薬か抗菌薬)と、頭皮や顔面の洗浄の有無、回数を確認します。また、出血や膿を伴っていないか、かゆみや痛みがないかを確認します。
②皮膚科へのコンサルティングのタイミング
痂皮が固着して取れない場合や、膿疱の多発、滲出液が多く排膿を認めるといった、感染の併発が疑われるときに皮膚科受診を勧めます。
EGFR阻害薬による爪囲炎のケア
①ケアと指導のポイント
外用薬の種類(ステロイド外用薬か抗菌薬)の確認、洗浄の有無を確認します。爪囲炎が発症している部位の把握と、テーピング方法がきちんとできているかを確認します。
爪囲炎は投与初期(投与開始から半年程度)と長期投与(投与開始から半年以上)で症状が変わるため、治療も変わります(表5)。
表5 爪囲炎の時期別治療のポイント
| 症状 | 治療 |
| 治療開始半年程度:爪囲の浮腫、発赤腫脹、排膿なしの場合 | 爪囲に発赤、浮腫腫脹が主体の爪囲炎では、ステロイド外用薬は有効であるが、アダパレンゲルも有効 |
| 治療開始半年以降:側爪郭の腫脹、排膿を伴う場合 | 感染併発を考慮し抗菌薬での治療検討。 排膿を伴う場合はドレナージ目的に爪甲のわきに抗菌作用のあるシート状の被覆材や不織布を挟むことも有効 |
| 肉芽が目立つ場合 | テーピングを行う。滲出液が多く、易出血性の場合は、硝酸銀やクッション性の創傷被覆材が有効 |
②皮膚科へのコンサルティングのタイミング
痛みが強くQOLが著しく低下しているとき、ステロイド外用薬に難治のとき、肉芽を形成し出血を伴うとき、異臭や滲出液が多く感染の併発が疑われるときに皮膚科受診を勧めます。
マルチキナーゼ阻害薬による手足症候群のケア
①ケアと指導のポイント
おもな発症予防は尿素配合軟膏による保湿、過角化の防止、手足症候群出現後はステロイド外用薬がおもな治療法になります。
手足に物理的な刺激がかかるような手作業、生活習慣がないか、手足にヒリヒリしたり赤みがある部分はないか、靴はどのようなものを履いているかを確認します。外用薬の種類と外用部位の確認を行い、温めのお湯を使用し長時間入浴しないなどを指導します。
②皮膚科へのコンサルティングのタイミング
痛みが強くQOLが著しく低下しているときや、同一部位に繰り返し出現し、皮膚が菲薄化している場合、Grade 2以上でコントロール不良な場合に皮膚科受診を勧めます。
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害のケア
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害にはさまざまな種類がありますが、なかでも多形紅斑は治療に難渋することが多いです。
①ケアと指導のポイント
発症時期は早期に生じることも多いですが、長期使用後や投与終了後にも出現する可能性があるため、経過中は何か治りにくい皮疹がないかを確認します。他剤による薬疹も起こりやすいため、難治な皮疹が出現している場合は、健康食品を含め内服薬を確認します。
②皮膚科へのコンサルティングのタイミング
ステロイド外用薬でも難治なGrade 2以上の皮疹がある場合と他の治療に変更後も皮疹が持続している場合、皮膚科受診を勧めます。
放射線治療による皮膚障害のケア
放射線皮膚炎のケア
①ケアと指導のポイント
これまではアズレン(アズノール)軟膏やステロイド外用薬が用いられていましたが、最近では保険適用になった創傷被覆材での治療も行われています。
放射線皮膚炎悪化防止の指導ポイントは、保湿剤を毎日外用しているか、擦れへの対策が行われているか、創傷被覆材を使用している場合は使用方法に問題はないかを確認することです。また、バリア機能が低下し、易感染性であるため、感染対策が行えているかを確認します。
②皮膚科へのコンサルティングのタイミング
びらんが拡大している場合や、感染を伴う場合、痛みを伴う皮疹で洗浄が困難な場合に皮膚科受診を勧めます。
がん治療で生じる皮膚障害へのケアの実践 都立多摩総合医療センター がん化学療法看護認定看護師 春藤 紫乃 先生
がんの治療で生じる皮膚障害別ケアのポイントについて、患者さんへのケアの説明、指導の方法、保湿剤の塗布の方法など、実践的な内容を解説します。皮膚障害へのケアの基本は保湿と保清であることは、がん治療においても変わりません。症状が出現したらステロイド外用薬を使用し、洗浄剤、保湿剤は使いやすいものを選ぶようにします。
保湿のポイント
患者さんが実際に塗布する保湿剤の量は、必要とされる量よりも少ないことが多いのです。保湿剤を塗る量や塗り方の指導は、患者さんと一緒に行う、または患者さんの前で実践してみせることが大切です。
保湿剤の量は、「1FTU(フィンガーチップユニット)=人さし指の先から第1関節の長さまで出した量(図1)」を目安に指導します。「1FTUで片手(手掌と手の甲)分」という具合に、指に乗せて見せ、必要な部位の目安を説明します。塗り方も、手足であれば指を1本1本保湿していくようなイメージで塗ります。特に指の先端や指間部は塗り忘れが多いので、しっかり保湿剤を塗るように指導します。両手の場合、2FTUが適切な量となりますが、実際にこの量を塗布するとかなり手がベタつく状態になります。そのため、適切な量を塗る場合は、その後30分〜1時間ほどなにもしなくてもよい時間がある場合に行うように伝えます。
図1 1FTU

爪囲炎予防の爪のカット、テーピング方法のポイント
爪の切り方のポイントは、爪が皮膚にくい込まないように、真上のところをまっすぐに切るようなイメージで、四角く切ることです。ただし、まっすぐに切ると爪の角が鋭角になってしまうので、やすりなどで角を取ります(図2)。
図2 スクエアカット

左が通常のカットの仕方、右がスクエアカット
ざ瘡様皮疹がある場合のお化粧の順序とポイント
自宅にいる際はできるだけお化粧は控えたほうがよいですが、外出する際にどうしてもお化粧をしたいという場合は、以下のような順番で行うように伝えます。
1 洗顔後に化粧水を塗る
2 クリームまたは保湿剤を塗る
3 ステロイド外用薬を症状が出ているところに塗る
4 日焼け止めやファンデーションを塗る
5 気になる部分にはステロイド外用薬を重ねて塗る
日焼け止めやファンデーションを塗る際は、ステロイド外用薬を広げないよう上から押さえるようにします。お化粧をした後は、しっかりとメイク落としなどで洗浄し、保湿とステロイド外用薬を塗り直します。
泡立てのコツ
最近では液体石けんでも泡状のものや、石けんを泡にするボトルも売られていますが、ここでは固形石けんを泡立てるコツを紹介します。
まず固形石けんを水につけて手掌で少し石けんを溶かします。手掌についた石けんの成分と水をビニール袋に入れます。ビニール袋の口をしっかりと押さえ、ビニール袋をカサカサと摩擦させる、あるいはビニール袋ごと回すと、ビニール袋の中で石けんが泡立ってきます。家にあるもので、簡単に泡ができるので、試してみてください。
実際の指導の場面では、1回説明しただけで患者さんが覚えて帰るのは難しいと思います。一方的な説明で終わらせずに実際にケアをしながら指導し、次に会う際には、できたかどうかを確認していくとよいと思います。
患者さんへの効果的な情報提供のためには、わかりやすい言葉で理由を添えて説明することが大切です。患者さんの話をよく聞き、患者さんのことをよく知れば、生活に沿った具体的な指導ができるようになります。私たち看護師は、つい完璧な内容を習得してもらおうと詰め込みすぎてしまうことがあります。患者さんが実践していることがたとえ十分なものでなくても、患者さんが実践可能なことを一緒に考え、継続可能な内容を指導することの方が大切です。
スキンケアだけでは症状を抑えるのが難しい場合は、休薬・減量となる場合がありますが、治療が中断することで、患者さんは落ち込みます。落ち込んでしまった患者さんの気持ちを支え、サポートをしてきくことも看護師の重要な役割です。
敏感肌にも使えるミノンシリーズ
ミノン全身シャンプー泡タイプ

顔、身体、頭が一本で洗える泡タイプの全身シャンプー。バリア機能を守って洗う「植物性アミノ酸系洗浄成分」配合。弱酸性、無香料。
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グリチルレチン酸ステアリル配合の全身保湿剤。低刺激性でベタつかず、伸びがよい。弱酸性、無香料、無着色。
[医薬部外品]販売名:DSミルクz
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グリチルレチン酸ステアリル配合の全身保湿剤。低刺激性でベタつかず、伸びがよいクリーム。弱酸性、無香料、無着色。
[医薬部外品]販売名:DSクリームz
90g
詳しい製品内容についてはこちら → https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon/
がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ

薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。
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