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糖尿病患者さんへのフットケア 基本と実践|2026年3月開催セミナーレポート【PR】

2026.05.22
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糖尿病患者さんにフットケアが必要な理由

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足病変の種類と看護師の介入による成果

 足病変とは、「起立や歩行に影響する下肢・足の機能的障害(循環障害・神経障害)や感染とそれに付随する足病変に加え、日常生活を脅かす非健康的な管理されていない下肢・足を足病」1)と、日本フットケア・足病医学会の『重症化予防のための足病診療ガイドライン』により定義されています。

 足病変の疾患には、下肢末梢動脈疾患(lower extremity arterial disease;LEAD)、慢性静脈不全症、慢性腎不全に伴う足病変、下肢リンパ浮腫、膠原病による足病変、神経性疾患による足病変、そして糖尿病の重要な合併症である糖尿病性足病変があります(表1)。

表1 足病変の疾患

足病変の疾患

 日本では医療施設の多くが糖尿病患者さんに対し、フットケアを行ってきました。中でも、看護師の定期的な介入により、足潰瘍の既往がある糖尿病患者さんの割合が、2002年の介入初期の1.6%2)から2007年には0.7%3)と半数以下まで減少しました。この報告が根拠の1つになり4)、2008年度の診療報酬改定において、「糖尿病合併症管理指導加算」が新設されました。このことは、私たち看護師が行うフットケアを含む合併症予防の成果が認められた結果だといえるでしょう。

糖尿病から壊疽に進行する要因と過程

 足病変は、重症化すると壊疽から下肢切断につながる重篤な合併症です。糖尿病では、自律神経障害、感覚神経障害、運動障害などの神経障害、動脈硬化、LEADなどの虚血、高血糖や免疫力低下による易感染といった合併症を生じ、進行すると壊疽へとつながっていきます(図1)。

図1 糖尿病から壊疽への進行要因

糖尿病から壊疽への進行要因

 また、糖尿病の患者さんで非常に多いのが足趾の関節変形です。代表的なものがハンマートゥやクロウトゥ、マレットトゥなどで、過剰圧がかかることにより胼胝を形成し、虚血障害、易感染から足壊疽へと進行していきます。

足のアセスメント

アセスメントの3つのポイント

 足のアセスメントは、「足に生じている症状」、「その症状がなぜ起きているか」、「その症状が今後どのようになる可能性があるのか」という3つの視点から、それぞれの項目を評価していきます(表2)。

表2 アセスメントの3つの視点

アセスメントの3つの視点

 特に重要なのは、既往歴や生活習慣からのリスクファクターのアセスメントです。足病変の状況から、足に生じている症状がなぜ起きているのか、今後どのようになるのかを評価していきます(図2)。そのためには、フットケアを行う環境と資源や身体的な因子、患者さんの基礎疾患への思いやセルフケアの状況、足病変を誘発する生活状況や基礎的因子などを確認することが必要です。こうしたアセスメントを行いながら、足病変の改善に欠かせないセルフケアの能力も見極めていきます。

図2 リスクファクターのアセスメント

リスクファクターのアセスメント

観察のポイント

 観察は素足の状態で行いますが、靴下を履いた状態を観察することも重要です。例えば、靴下にシールなどを貼ったまま履いていても気がつかない患者さんでは、神経障害があることが疑われるなど読み取れる情報があるためです。

 乾燥に対しては、粗造化や粃糠落屑や魚鱗屑、さざ波様亀裂など、乾燥の程度も確認しましょう。

 また、表皮剥離程度の傷から短期間で黒色壊死に進行していくことがあるため、どんなに小さな傷でも見逃さないことも重要です。

循環障害のアセスメント

 循環障害は、問診、触診、視診、足関節上腕血圧比(ABI)や皮膚還流圧(SPP)などの生理検査による機能的診断によってアセスメントします。触診では後脛骨動脈や足背動脈の触知により下肢血流の評価が可能です。下肢血流の狭窄は、後脛骨動脈や足背動脈におけるパルスドプラ波形を確認するパルスドプラ法で確認することができます。

 視診では、血色の左右差もよく確認しましょう。

足病変の見方のコツ(褥瘡との違い、白癬、巻爪、胼胝など)

 踵など圧がかかる部位で虚血を呈する症状は褥瘡と間違いやすいため、注意が必要です。下肢血流の評価を行い、虚血の有無を確認しましょう。

 また、乾燥と白癬(角質増殖型)も間違いやすい症状です。白癬の可能性がある場合は、皮膚科医の診療につなげましょう。

 足趾の変形がある場合は、胼胝や鶏眼が生じやすいため、足趾間も含め、よく観察しケアにつなげることが大切です。特に足趾間の胼胝や鶏眼は、隣接する指や爪を傷つけてしまうため見逃さないようにしましょう。

予防のためのフットケア

 基本として、フットケアを行うときには、患者さん、また自分自身を感染から守るためにも、標準予防策をしっかりと講じていきましょう。

 また、知識として爪や皮膚の構造や各部位の名称を理解しておくことが必要です。特に爪は小さな運動器と呼ばれるほど、歩行と密接に関係しています。

爪の構造について(図3)

 爪体(硬い板状の部分)の下は爪床といい、上皮と真皮からなる構造で、表面には縦方向の細かな隆起(爪床稜)があります。爪は爪母で形成され、3層からなる爪甲形状から、溝に添って伸びていきます。

 また、爪床のすぐ下には骨があり、陥入爪の形成や爪周囲炎といった感染が生じると、急激に悪化し骨感染を起こしてしまうことを覚えておきましょう。

図3 爪の構造

爪の構造

爪甲ケアの手順と爪のケアに使用する器具と使い方

 爪甲ケアは、アセスメントから足浴、足の皮膚と爪の消毒、爪の角質除去、爪切り、やすり、保湿という手順で行います。

 使用する器具には、消毒用コットン、爪やすり、ゾンデ(巻爪用・ノーマルタイプ)、ニッパー型爪切り、グラインダーがありますが、消毒用コットン、爪やすり、ニッパーがあれば、基本的なケアが可能です。

【ゾンデの使い方】
 ゾンデは鉛筆を握るように持ち、ゾンデを持っていないほうの手で足指を固定して使用します。爪甲と爪床部との境界を明瞭化し、角質の除去や爪やすりでは届かない爪郭部分の削除を行うために使います。ゾンデを効果的に使用することで、痛みや感染、爪周囲炎などの炎症を予防することができます。

【爪の切り方】
 爪を切る際は、巻爪や深爪を防ぐためにスクエアオフという方法が推奨されています。爪の先端をまっすぐに切り、角をわずかに丸めて整えます。

 爪の長さは、指の肉に埋もれないように指とほぼ同じ長さに切ります。目安は、爪の先の白い部分(遊離縁)が1ミリ程度残存している状態です。

【ニッパーの使い方】
 ニッパーは刃先を平らなほうを患者さんに向けて、爪床を自分に向けて持ちます。

 第2・3・4・5指でニッパーの持ち手の部分を握り、刃先を閉じることでカットします。施術者の手関節炎の予防のために、親指は固定のみにします。

 ニッパーを持つ反対側の手の指は足指間に挟み、ニッパーのハサミで足指を切らないように注意します。

 切りやすい部分から刃を入れていき、少しずつ切っていくことが、安全にケアを行うためのポイントです。

【爪やすりの使い方】

 爪やすりにはガラス製と金属製がありますが、正しく安全に使用できれば、いずれを用いても問題ありません。

 爪の構造は層で形成されているため、一定方向にやすりを動かすことがポイントです。自分が扱いやすい持ち方で、先端部分は上から下へ、爪甲、爪角部分は両サイドから中央に動かします。

【グラインダーの使い方】
 グラインダーは、鉛筆を握るように持ち、ドリルの回転に負けないように、軽く圧をかけながら爪に押し当てるようにして動かします。グラインダーは、肥厚爪を削るときに有用ですが、正常な爪が隠れている場合があるため、慎重に削っていくことが大切です。

角質ケア

【洗浄】
 洗浄は洗浄剤(石鹸)を用いて行います。洗浄剤には、水と油を結合させる界面活性剤が配合されていて、皮膚などの汚れを泡で包み込んで洗浄する作用があります。洗浄をしっかりと行うことで、保湿剤による保湿効果も高まるため、洗浄がフットケアの基本ともいえます。

 洗浄剤の泡でしっかりと洗うことで、汚れだけではなく鱗屑なども除去できます。泡が出るタイプの洗浄剤を用いると、簡便に効果的な泡で洗浄でき、ケア時間の短縮化につながります。洗浄剤の泡で皮膚を覆うようにして、不織布などで撫でるように洗います。

 不織布等で泡を拭ってから、微温湯で洗い流します。

【保湿】
 足は乾燥しやすいため、洗浄後は保湿のケアをしっかりと行います。ただし、指間は湿度が高く浸軟しやすいため、足間には保湿剤を塗布しないようにしましょう。

 保湿剤はミルクタイプなど、伸ばしやすくて皮膚の負担が少なく、保湿効果を長く保てる製品を選択することが大切です。

 特に、角質を除去した後は、保湿剤を塗布した後に、ODT(occlusive dressing technique)という方法で、3~4時間程度、足をラップやビニール袋で密封すると保湿効果が高まります。

 また、定期的な保湿が難しい場合は、保湿作用のある入浴剤を活用するとよいでしょう。

角質の除去

 胼胝など過角化による皮膚肥厚は皮膚やすり(レデューサー)で除去します。ただし、胼胝の下に潰瘍や疣贅が隠れていることがあるため、黒色の部分や点状の出血がみえてきたときには、ケアを中止し医師に報告しましょう。

セルフマネジメントについて

医療従事者の介入の目的とポイント

 フットケアは、専門領域での治療から保存的なフットケア、セルフマネジメント支援、評価、そしてまた専門領域での治療というように、循環型に介入をしていく必要があります(図4)。

図4 フットケアの循環型介入

フットケアの循環型介入

 セルフケアの目的は、糖尿病などの慢性疾患などの自己管理能力を高めるとともに、患者さんの自己効力感を向上させ、医療依存度を適切に調整し、医療者との協働の促進で治療の継続性と成果の向上を図ることです。そのためには教育的、心理的支援、行動変容やコミュニケーションのスキルが必要になります。

コミュニケーションのポイント

 コミュニケーションでは、足の状態を通じて患者さんの生活習慣やセルフケア意識を引き出すことが重要です。そこで活用したいのが、リフレーミングやアサーションです。

 リフレーミングは、ある出来事の「枠組み(フレーム)」を変えることで、意味や感情の捉え方を前向きに捉える変える技法で、アサーションは自分の感情・意見・権利を、相手を尊重しながら率直に表現する技法です。

 さらに、コミュニケーションで忘れてはならないのは、患者さんに寄り添うことです。"足を見せる"ということには羞恥心が伴い、何らかの足病変があっても「足は悪くないから見なくていいよ」と拒否する人もいます。そういった患者さんの心理に配慮して、どんな支援ができるのか考えながらケアを提供することがとても大切です。

まとめ

 フットケアの提供では、医師の指示に従い協働して行うことが非常に重要です。看護師として、アセスメントにより足の状態を把握し、ケア技術のトレーニングを行ってからケアを提供するようにしましょう。

 そして、フットケアでは"洗浄と保湿"が基本中の基本です。このことを忘れずに、フットケアに取り組んでほしいと思います。

引用文献

1)日本フットケア・足病医学会:重症化予防のための足病診療ガイドライン.南江堂,2022.
2)厚生労働省:平成14年 糖尿病実態調査結果の速報の概要について(2026年4月15日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/08/s0806-4.html
3)厚生労働省:平成19年国民健康・栄養調査報告.第1部 糖尿病等の状況,p.50(2026年4月15日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou09/dl/01-kekka-01.pdf
4)厚生労働省:糖尿病対策について②―糖尿病ハイリスク患者のケアの充実についてー(2026年4月15日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/dl/s1114-6f.pdf


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医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hada-college/hcp/

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