
株式会社ケープ
監修者の記事一覧はじめに
手指衛生(手洗いや手指消毒)を行うことは、病院感染を防止する上でも、最も重要であると同時に、最も遵守率(コンプライアンス)の向上が困難と言われています。日常的な患者さんへのケアは多忙を極め、診療科やセクションによっては手洗い環境設備の不備により、手指衛生を行うタイミングが必ずしも統一されていないのが現実です。
しかしながら、もっとも手指衛生を望んでいるのは、下記のグラフにもあるように何を隠そう患者さんご本人です。患者さんの視点に立ってみると、手指衛生なくしては、医療行為は成り立ちません。今一度、患者さんの視点に立って手指衛生を考えてみましょう。

2009年 院内感染リサーチ Vol.06-02より
病院における手指衛生の目的とは?
- ●微生物に汚染された医療従事者の手を清浄化すること
- ●医療従事者の手に付着した微生物を患者さんへ伝播させないこと
流水手洗いよりもアルコール製剤!?
昨年の新型インフルエンザ騒ぎ依頼、家庭内やホテルなどの公共の場所でも、内容成分は別として、擦式消毒用アルコール製剤がいたるところに配置されています。これは、2002年10月に発表されたCDCの「医療現場における手指衛生のためのガイドライン」にも明確に記述されており、目視できる汚染がない限り、日常的に擦式消毒用アルコール製剤を用います。
また、これに変わる方法として消毒薬が含有されているせっけんと流水で手を洗っても良いとされています。この背景は、どの国も同様に医療従事者の手洗い時間は、本来の30秒前後よりも短い為、擦式消毒用アルコール製剤は、消毒薬が含有されているせっけんより効果が高く、時間短縮にもなり、手洗い設備をあらたに増設しなくても良いという点が上げられます。
手洗い回数が多くなると手荒れが助長する!?
手洗い回数が多くなると、皮膚の表面を保護している皮脂が奪われ、水分が蒸発しやすくなります。又、手についた洗剤のすすぎや乾燥の不十分さでも、手荒れが促進することが考えられます。
手洗い時は、良くすすいだ後、ペーパータオルで水分を十分にふきとり、手を乾燥させましょう。中には、温風式のハンドドライヤーを設置されているご施設もありますが、濡れた手を受ける雫受けの管理は、感染管理上非常に重要です。
まずは、自発的に手指衛生実施に興味を持って頂く。
いくら頭で理解していても、「いざ行動!」となると誰しも先延ばしになるものです。又、手指衛生のコンプライアンスとその質を高める為には継続的な教育が必要であるのは言うまでもありません。そのためにはまず、自分自身の手指衛生が果たしてどういうレベルであるかを評価・認識することがもっとも重要です。
最近では、新人研修や年に数回の感染対策研修会に手荒い評価キットを用いて、自分自身の手を洗う欠点を理解しながら、手洗いテクニックを磨いています。

手洗い評価キット スペクトロプラス/
おわりに
手指衛生は最も基本的でかつ効果的な感染対策のひとつです。日本国内において、新型インフルエンザ死亡者数が世界より少ないのは、充実した医療体制や早期の学級閉鎖、早期の抗ウィルス薬の投与が功を奏したとされていますが、手指衛生の遵守もエビデンスはありませんが、影響したかもしれません。
冒頭で申し上げた通り、手指衛生を望んでいるのは、患者さんご本人です。是非、患者さんの視点に立って手指衛生のコンプライアンス向上を各々医療従事者が目指して頂きたいと思います。
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