放射線被曝の問題が大きく報じられると同時に、関心が高まった甲状腺。頸部に存在するこの小さな臓器が分泌するホルモンは、身体中のおよそあらゆる細胞に作用して、その代謝を制御しています。
このため、さまざまな原因によって甲状腺ホルモンの分泌が過剰になったり不足したりすると、全身の臓器に影響を及ぼし、多彩な症状を訴えて患者さんが病院を訪れることになります。
甲状腺ホルモンの調節系
甲状腺ホルモンは、他のホルモン同様に、生来備わった内分泌系の調節機構によって、極めて狭い範囲の血中濃度を保つようにコントロールされています。甲状腺機能異常を理解するには、この調節系の理解が欠かせません。
といっても臨床的に重要な道具立ては簡単で、下垂体という臓器が関与していることが理解できればひとまず十分です。
下垂体は甲状腺刺激ホルモン(TSH)という、文字通り甲状腺ホルモンの分泌を促すホルモンによって、上位から甲状腺を制御します。同時に下垂体は甲状腺ホルモンの血中レベルをモニターしており、低下を感知すればTSH分泌を高め、上昇時にはTSH分泌を緩めることにより、ホルモンレベルが一定範囲から外れないように維持しています(ネガティブ・フィードバック)。
この仕組みは、甲状腺ホルモンに限らず、内分泌調節機構の典型的な形態です。一般に、上位のホルモンが下位のホルモンの分泌を促す作用を持っている場合、両者の上昇/低下が同じ方向であるなら、原因は上位のホルモンのほうにあるでしょう。これに対し、互いに食い違っている場合は、下位のホルモンの変化が先にあって、そのフィードバックによって上位のホルモンが変化している、と考えられます。
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