村尾久美子
解説者の記事一覧協賛:サンスター株式会社/主催:ナース専科
がん化学療法に伴い、高い頻度で発生する副作用である口腔粘膜炎や知覚過敏。これら口腔トラブルへのケアを学ぶ「明日から実践! がん化学療法時の口腔ケア」セミナーのレポート第2回目は、静岡県立静岡がんセンターの大田洋二郎先生がレクチャーする、口腔トラブルが起こるメカニズムとケアのエビデンスをレポートします。
第1回はこちら
* 第1回 がん化学療法時の口腔ケア
口腔トラブルのメカニズムとケア介入のエビデンス
まず、正常な細胞であっても、骨髄、毛母細胞、消化管粘膜などの代謝が盛んな細胞組織に、がん化学療法時の副作用が現れやすいこと、抗がん剤の種類や治療計画によって副作用の発現する部位や時期が異なることなど、化学療法と副作用の基礎知識についての説明がありました。
丁寧な観察と、病態に合ったケアの提案が大切
静岡がんセンターの大田洋二郎先生からは、「がん支持療法としての口腔有害事象への対処とその考え方」と題し、(1)口腔有害事象を発症する仕組みと口腔ケアの重要性、(2)口腔ケア介入のエビデンスと介入の考え方、(3)国際多職種がん支持療法学会(MASCC)の口腔有害事象のガイドラインという3点について講義がありました。
最初に、がん化学療法時の口腔トラブルの特徴として、口腔には無数の細菌が恒常的に存在し、粘膜バリアの破綻が敗血症に拡大する危険性があることなどに触れ、がん化学療法を受ける患者さんの40%に発生する口腔トラブルのうち、半分は口腔粘膜炎が問題となって治療が中断したり、投与量の変更が行われていると説明。包括的な口腔ケアの重要性を指摘しました。

口腔粘膜炎の発症部位がほぼ決まっていることを解説する大田先生
口腔粘膜炎発症のメカニズムについては、よく知られる解剖学的な粘膜の模式図を用い、治療開始から10~12日頃に大きな潰瘍ができてしまう経緯を解説しました。「粘膜が広い面積でベロリとやけどのように剥がれることを理解しておいてください。健康時にストレスなどによってできるアフタとは病態が違います」と注意するとともに、口腔粘膜炎への対処法として、清潔保持・保湿・疼痛コントロールの3点を挙げました。
「口腔内の清潔保持については、アメリカでは歯科治療は治療開始2週間前に終了しておくことを推奨しています。日本では周術期口腔機能管理料(2012年4月~)がつきましたので、少なくとも治療開始10日~2週間前に歯科受診を推奨したい。プラークコントロールのコツとして、汚れがたまりやすい歯茎部は、ヘッドが小さく毛が細く軟らかいブラシを使えば安心して磨けます」として、静岡がんセンターがサンスターと開発したという、がん患者さんの口腔ケアに適した製品を紹介しました。
がんの治療開始前から開始したい口腔衛生管理

サンスターと共同開発のケア用品。汚れがたまりやすい歯茎部には、がん患者さんに特化した細く軟らかいブラシや保湿液を使うことが望まれる
次に、口腔ケアへの介入のエビデンスと考え方では、がんの治療により生じるさまざまな口腔合併症の改善事例を紹介しつつ、その発生率や重症度を口腔衛生と適切なケアで低下させることができることを解説。効果的な口腔衛生のためには、がんの治療開始前に口腔衛生管理を開始すべきであること、もちろん開始前だけでなく、治療のあらゆる段階で評価・介入することが重要であることなどを述べました。
最後に、国際多職種がん支持療法学会(MASCC)の口腔有害事象のガイドラインでは、特に3段階のグレードに分けて行うケアのプロトコールとエビデンスについて、豊富な写真とともに解説。さらに、がん対策推進基本計画に口腔ケアの重要性が指摘されたことにも触れ、口腔ケアの意義を唱えました。
※次回は、「がん治療前から始めたい口腔ケアの具体的スキル」についてです!
第3回はこちら
* 第3回 口腔ケアの具体的スキル
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