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岡元 和文

信州大学医学部救急集中治療医学講座 教授 信州大学医学部附属病院高度救命救急センター センター長

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輸液療法は、体液の恒常性の維持や是正、水・電解質バランスの是正、循環血液量の保持、栄養補給などのために行われますが、輸液製剤は種類が多く、覚えにくいものの一つです。ここでは主に電解質輸液について、分類ごとにどのようなものがあるか紹介します。

大きく3種類に分かれる輸液製剤

目的と用途に応じて選ばれる

 輸液製剤は、電解質輸液と栄養輸液、その他の輸液製剤に分けられます。

 電解質輸液は、主に体内の水や電解質が失われたり経口摂取が難しい場合、これらを補給する目的で用いられます。栄養輸液はその名の通り、静脈からエネルギーやアミノ酸などの栄養素を補給する目的で用いられ、末梢血管を用いる末梢静脈栄養療法(PPN:Peripheral Parenteral Nutrition)や中心静脈を用いる中心静脈栄養療法(TPN:Total parenteral Nutrition)があります。その他、輸液製剤には尿細管内の浸透圧を上昇させて利尿作用をもたらす浸透圧利尿剤、ショック時などに循環血漿量を増加させる血漿増量剤などがあり、それぞれの目的に応じて使われています。

表1 輸液製剤の種類

輸液目的輸液成分分類
輸液電解質輸液電解質輸液細胞外液補充液(等張性)
維持液類(低張性)
栄養輸液糖質輸液
アミノ酸輸液
脂肪乳剤
ビタミン剤、微量元素
高カロリー輸液
その他浸透圧利尿剤(マンニトール系)
血漿増量剤(デキストラン系)

数が多くわかりにくい電解質輸液

 輸液製剤の中でも特に電解質輸液は、同じ水・電解質の補給や酸塩基平衡異常の是正を目的としながら、成分や組成によって用途が分かれます。また、通称で呼ばれることが多いことから、日常でよく使うにもかかわらず、わかりにくいといわれます。それぞれの特徴を整理しておきましょう。

細胞外液補充液(等張性電解質輸液)

 血漿とナトリウム(Na)濃度がほぼ等しい輸液製剤のことです。電解質だけで血漿と浸透圧がほぼ等しいことから、等張性電解質輸液ともいわれます。

 出血などによる循環血液量が減少したときの補給・充填や、ナトリウムを投与したい低張性脱水などの補給・充填に用いられます。

 大量・急速に投与することで、心不全や腎不全がある患者さんでは肺水腫などが出現するため注意を要します。生理食塩液、リンゲル液などがこれにあたります。

表2 細胞外液補充液(等張性電解質輸液)

種類主な製品名Na+(mEq/ℓ)K+(mEq/ℓ)
細胞外液補充液(等張性電解質輸液)生理食塩液154ー
リンゲル液1474
乳酸リンゲル液(ハルトマン液)ラクテック注1304
(+ブドウ糖)ラクテックD輸液1304
(+ソルビトール)ラクテックG輸液1304
(+マルトース)ポタコールR輸液1304
酢酸リンゲル液ヴィーンF注1304
(+ブドウ糖)ヴィーンD注1304
重炭酸リンゲル液ビカーボン輸液1354

輸液製剤は、実際には糖やCa、Mgなど他の成分の配合度が製品ごとに細かく異なっている(表 輸液製剤の種類とNa、K含有量:梵天ゆとり、「看護に役立つ生理学」ナース専科、30(9)、p97より、一部改変引用)

維持液類(低張性電解質輸液)

 Na濃度が血漿より低く、電解質だけでは浸透圧が血漿より低いことから、低張性電解質輸液ともいわれます。水分欠乏型脱水や体液の恒常性を維持するために使用されます。

1号液:カリウム(K)を含まないので、Kを投与したくない患者さんに使い、開始液と呼ばれます。また高Kを伴う脱水、電解質の初期補給に用いられます。

2号液:脱水補給液ともいわれ、NaとともにKも投与したい脱水時に使われます。

3号液:生体が必要とする1日の水分量(体重50kgで2000ml)をこの輸液製剤で投与すれば、生体が必要とするNaやK量が投与できるように工夫された輸液で、維持輸液と呼ばれます。

4号液:Na投与は少なく、K投与はゼロにしたいときに用います。腎機能が未熟な新生児の術後に用いることがあります。

種類主な製品名Na+(mEq/ℓ)K+(mEq/ℓ)
維持液類(低張性電解質輸液)開始液(1号液)ソリタ-T1号輸液90ー
KN1号輸液77ー
脱水補給液(2号液)ソリタ-T2号輸液8420
KN2号輸液6025
維持液(3号液)ソリタ-T3号輸液3520
KN3号輸液5020
フルクトラクト注5020
EL-3号輸液4035
術後回復液(4号液)ソリタ-T4号輸液30ー
KN4号輸液30ー

輸液製剤は、実際には糖やCa、Mg など他の成分の配合度が製品ごとに細かく異なっている(表 輸液製剤の種類とNa、K含有量:梵天ゆとり、「看護に役立つ生理学」ナース専科、30 (9) 、p97より、一部改変引用)

(『ナース専科マガジン』2012年4月号から改変利用)

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