防衛的コーピング
ぼうえいてきこーぴんぐ
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防衛的コーピングとは、自分の弱さや不安といった現実的な問題に直面することを避けるために、現実を歪めて捉えたり、周囲に対して自分を過度に肯定してみせたりする対処行動が目立つ状態を指す。NANDA-Iの看護診断では「自己防衛パターンに基づき、偽りの肯定的自己評価を繰り返し投影することで、潜在的な脅威から肯定的な自尊心を守っている状態1)」と定義されている。
これには、疾患や障害、予後など、現状抱えている問題を受け入れることの困難さ、自己の脆弱性の否認や非現実的な自己期待、過去の失敗体験に対するコンプレックスといった内面的な心理状態が影響する。さらに、ストレス対処能力の未熟さや他者への信頼不足などが重なることで引き起こされる。
この状態になると、患者さんは問題の重要性を過小評価したり、自身の能力を過大に評価したりするなど、根拠のない楽観的な見通しを示すことがある。また、他者を批判したり、責任を転嫁したりすることもある。こうした態度は、現実的な適応行動や問題への主体的な取り組みを妨げ、結果として医療者や家族による介入が難しくなる要因となる。
看護師は、患者さんの発言や態度の背景にある不安や脆弱さに目を向け、否定や訂正を急がずにかかわる姿勢をもつことが必要である。特に、急な診断告知や病状悪化といった心理的負担が大きい状況では、自分を守るために一時的に防衛的コーピングが強まることがある。
現実を押し付けるのではなく、患者さんの受け止め方を尊重しながら、少しずつ状況理解を促したり、現実的な選択肢を検討できる支援が求められる。必要に応じて家族や多職種と連携し、心理的なサポート体制を整えることが重要である。
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.397.
林 洋
東京有明医療大学
(監修)
山﨑博貴
(執筆)
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