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監修者の記事一覧パーキンソン病は、進行とともに姿勢保持や歩行の障害、認知機能の低下などを生じます。疾患への理解を深め、適切に看護できる人材の育成を目的に、日本パーキンソン病・運動障害疾患学会が主催となり、「PDナース研修会」が開かれています。2017年10月28日には、東京品川で行われた「第11回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス」において、「第5回PDナース研修会」が開催されました。2本の講演と事例検討をレポートします。
パーキンソン病は、進行とともに姿勢保持や歩行の障害、認知機能の低下などを生じます。疾患への理解を深め、適切に看護できる人材の育成を目的に、日本パーキンソン病・運動障害疾患学会が主催となり、「PDナース研修会」が開かれています。2017年10月28日には、東京品川で行われた「第11回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス」において、「第5回PDナース研修会」が開催されました。2本の講演と事例検討をレポートします。
座長:小林庸子先生
国立精神・神経医療研究センター病院 身体リハビリテーション部 医長

取材:鈴木一平先生
国立精神・神経医療研究センター病院 身体リハビリテーション部 理学療法士

環境調整は個別性に合わせることが重要
神経伝達物質のドパミンが減少して運動を調整する機能が低下するパーキンソン病(以下、PD)では、姿勢保持や歩行の障害が生じます。PD患者さんは転倒しやすく、骨折などの外傷や移動時の恐怖感を引き起こし、ADL、QOLに影響を及ぼします。そこで理学療法士の鈴木一平先生は、「転倒の予防と歩行介入は、PD患者さんのリハビリテーションにおける最重要課題です」と言います。
PD患者さんの転倒は、薬が効いている「on時」のほうが、効いていない「off時」より多く、入院中は病室で、在宅では居間・寝室・廊下で、特に夜間トイレに行くときに多く発生します(図1)。またPD患者さんの代表的な異常歩行に、すくみ足、小刻み歩行、加速歩行があります。いずれも前傾姿勢でつま先に体重がかかり、歩幅が狭く左右の重心移動が少ないのが共通している特徴です。患者さんは徐々に速足になり、安定歩行が持続せず、方向転換が苦手で、歩行中に気が散ったり、焦ったりすると余計に歩けなくなるため注意が必要です。

鈴木先生は、「環境の調整では、椅子の選択1つをとっても重要なポイントになります」と言い、すくみ足のある患者さんが椅子に腰かけたり、椅子から立ち上がって移動したりする動作について、肘掛けのある椅子とない椅子を比較した動画で説明しました(図2)。

「狭い場所での方向転換は、PD患者さんにとって難易度の高い動作であり、肘掛けのない椅子を使うことで側方から座ることができるため、着座動作が行いやすくなります。ただし患者さんによっては、たとえば姿勢異常があり側方に身体が傾いている場合は、肘掛けがあるほうが安定することもあります」と言い、環境調整1つをとっても個別性を見極めた調整が必要であることを示しました。
その他、つかまり歩きでたどり着けるところに杖を置き、そこから先は杖歩行ができるような工夫や、もし転倒してしまってもけがをしないように、大腿骨パッドや保護帽などで保護する工夫など、明日から役立てることができる転倒対策の紹介がありました。
歩行介助の基本的な考え方
「歩行が不安定になるのは、安定するために何か足りない要素があるからです。介助でそれを補足するのがリハビリにおける歩行介助の考え方です」と鈴木先生は基本的な考え方を話します。
介助時のポイントは、歩きに集中してもらうこと、姿勢を安定してもらうこと、アキネジア(無動)などのために動作が小さくなりがちなため、踵から大股で歩く意識を持ってもらうこと、左右の重心移動が小さくなるため、大きく左右に重心を動かしてあげることなどが有効であると説明しました(図3)。

また、「今から、あえて少し歩きづらい介助方法をします」と言い、適切ではない歩行の介助方法を動画で紹介。介助者が前方から手を引くことで、その患者さんの場合は前傾姿勢になり、小刻み歩行がさらに強調されること、方向転換の際にも手を引かれることで上半身だけ先に方向が変わり、すくみ足が出てしまうことなどを示しました。
次に、適切な介助の方法として、まず患者さんを正面から観察し、重心の位置を確かめること、歩行時に右に身体が傾く患者さんであれば、右方向の転倒するリスクが高いため右側から介助すること、患者さんの右側から寄り添い、声掛けをして同時に一歩を出し始めることなど、介助のコツを示しました(図4)。

環境調整においても歩行介助においても、パーキンソン病患者さんの身体特性を理解し、障害の状態を見極め、さまざまな工夫を行うことで、安全な療養環境を提供していけることが示された講演でした。

転倒対策のポイントを解説する鈴木先生
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