佐藤まりこ
執筆者の記事一覧外国人患者さんに英語で対応できる? アメリカの医療現場で実際に使われている、患者さんにもすんなり伝わる簡単な医療英語をマスターしよう!
患者さんに一番近い存在の看護師は、「今日はどうされました?」から始め、症状を聞いて患者さんに起こっている問題の把握を行います。外国人の患者さんに対してもコミュニケーションを通して主観的情報を収集し、客観的情報と合わせて全身状態の把握が必要です。
今回は、腸の疾患:大腸がんのリスク要因・症状・事例を紹介します。
大腸がんは、「colon cancer」または「colorectal cancer」といいます。 colorectal cancerは直訳すると「結腸直腸がん」ですが、「大腸がん」と訳するのが一般的です。
大腸がんは、大腸(結腸・直腸・肛門)にできるがんであり、日本人が最も多くかかるがんです。大腸がんは、早期発見・早期治療により9割以上が治るといわれています。早期発見のため40歳からの定期的な検診を勧め、大腸がんのリスク要因についての理解を促し、リスクを軽減していく教育的なかかわりが重要視されています。
今回は、以下の事例に沿って、Colon Cancerの症状の把握に必要なフレーズを紹介します。
<事例>69歳男性
3か月前から下痢が続くようになりトイレの回数がいつもより多くなる。トイレットペーパーに血が付着することもあったが痛みはなく、痔だと思い込みそのまま放置していた。
一週間前から毎回トイレに行くと出血し、左下腹部に軽い痛みが出始める。体のだるさが顕著に出始め、息切れや動悸が出現していた。
今朝、突然の激しい腹部痛に襲われ、茶色の嘔吐物を繰り返し嘔吐する。妻が救急車を要請し救急搬送される。
来院時バイタルサイン:
BP180/104mmHg、P107回/分、KT36.9℃、SAT95%、意識レベルクリア、痛みスケール7/10、体重68kg
既往歴:高血圧、2型糖尿病(内服治療中)
家族歴:実父が大腸がんの既往あり
問診により、一年前に健康診断で便潜血陽性にて再検査の指摘を受けていたが未実施であることが判明する
緊急の内視鏡検査によりS状結腸に腫瘍を認めたため、大腸がんであることを告知し、精査・手術目的にて緊急入院となる。
本日のフレーズ
「今までにどれくらい嘔吐しましたか? 大量に吐きましたか?
どんな色の吐物でしたか? 血や黒っぽいものは吐いていないですか? 便のような臭いはしましたか?」
今回は、嘔吐のアセスメントを行います。
患者さんは、激しい腹部の激痛に伴いながら嘔吐をしています。嘔吐物の色・臭い・血液の混入の有無などを知ることは早期診断・早期治療につながることもあります。
さて、みなさんはどう英語で表現しますか?
オススメのフレーズ
*Do you remember how many times you have thrown up so far? Did you vomit large amount? What did the vomit look like? Did it look like blood or black? Did it smell like stool? *
嘔吐のアセスメントは、回数・吐物量・色・臭い・吐血の有無などを含みます。
まずは、嘔吐の回数を確認しましょう。
「今までにどれくらい嘔吐しましたか」は、「do you remember how many times you have thrown up so far?」を使いました。
「嘔吐が始まってから今まで」という時間の設定には「so far」を使いました。
もっとsimpleに「how many times did you vomit?」でも十分伝わります。
嘔吐量を確認します。
「大量に吐きましたか?」は「did you vomit large amount?」を使いました。
嘔吐物の色を確認します。
「どんな色の吐物でしたか?」は「what did the vomit look like?」を使いました。
「what ~look like?」は、見た目を尋ねるときに使うフレーズです。
嘔吐物の色は、患者さんに何が起こっているのか特定する手がかりになることもあります。
患者の訴えから予測できる状況や疾患を以下に挙げました。
「I threw up a lot of red stuff」⇒上部消化管からの出血やマロリーワイス症候群を疑います。
「I threw up a lot of black stuff」⇒胃・十二指腸潰瘍などからの出血を疑います。胃酸の成分で血液が変色しています。
「I threw up a lot of green stuff」⇒胆石などの胆管狭窄により胆汁が混入していることを疑います。
「I threw up a lot of brown stuff」⇒便臭が伴う場合には、腸管の閉塞を疑います。
消化管出血を疑う場合には緊急の処置を考慮するため、吐血の有無を確認しましょう。
「血や黒っぽいものは吐いていないですか?」は「did it look like blood or black?」を使いました。
黒っぽい嘔吐物は、見た目から「コーヒー残渣様(like coffee grounds)」と表現されます。
嘔吐物の臭いを確認します。
「便のような臭いはしましたか?」は「did it smell like stool?」を使いました。
便臭を伴う茶色の嘔吐物の場合、腸閉塞などにより腸の内容物が排出されずに停滞して逆流し嘔吐したと思われます。
患者さんは、茶色の嘔吐物を繰り返し嘔吐したのでこんな答えが返ってくるでしょう。
•I have thrown up about 10 times and it was brown liquid. It looked as if there was stool in my vomit and it smelled really bad.
(10回くらい吐きました。茶色の液体でした。見た目はまるでうんちみたいだったし、臭いもひどかったです)
•I threw up brown stuff over and over. It smelled like poop.
(茶色いものを何度も吐きました。うんちみたいに臭かったです)
次回は、便通の変化について尋ねるフレーズを紹介します。
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