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境 峰子

弘前大学医学部附属病院 第二病棟4階、日本輸血・細胞治療学会認定 臨床輸血 看護師

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アッヴィ合同会社は、「乳房再建の選択肢が当たり前の世の中へ~乳がんになった後も、患者さんが自分らしく生きるために~」と題したメディアセミナーを開催しました。ここでは、そのセミナーの内容をレポートします。


乳がんの現状と乳房再建について

東京女子医科大学 乳腺外科 教授・基幹分野長 明石定子先生

がんのなかで、日本人女性が最もかかる割合が高いのが「乳がん」です1)。これには、食生活の欧米化、出産経験のない女性や初産年齢が高い女性の増加などが関係していると考えられており、今後も乳がん患者さんは増え続けると予想されています。

乳がんの大きな特徴として、若年女性での発症が多いことが挙げられます。胃がん、大腸がん、肺がんなどは、高齢になるほど罹患率が高くなっていくのに対し、乳がんは最初のピークが40代後半にあり2)、ほかのがんと比べて、若年で発症するケースが圧倒的に多いといえます。また、罹患数が多い一方で、5年生存率は92.3%3)と高く、ほかのがんに比べると予後が良好なところも特徴です。

若年での発症が多いこと、生存率が高いことなどから、乳がんを発症したあとの人生も非常に長くなります。そのため、ただがんを治すのではなく、その後の長い人生を考えた対応やさまざまな選択肢を示していくことが求められます。

乳がんの治療に伴い、患者さんが苦痛に感じることとして、髪の脱毛、嘔気・嘔吐、手足のしびれや全身の痛みなどのほかに、乳房切除があります。かつては、乳がん患者さんというと選択の余地がなく、乳房を全摘出するしかない時代もありましたが、90年代に入ると乳房温存術を行うケースが徐々に増えてきました。

一方で、がんができている場所やがんの大きさによっては、無理に温存を行うと変形が強くなってしまい、患者さんの期待に沿えない結果になることがしばしばみられるようになりました。そのようななか、2011年に自家組織による乳房再建、2013年には人工物による乳房再建が保険適用となり、温存以外の方法で、乳房を残すことができるようになったのです。

しかしながら、乳房再建を行うためには施設認定基準を満たす必要があること、また、形成外科医や乳腺外科医が足りておらず、再建まで手が回らないなどといったようなことから、日本における乳房再建の実施率は低いのが現状といえます。

乳房再建の国内普及のために

富山大学学術研究部医学系 形成再建外科・美容外科 教授 佐武利彦先生

乳がん術後乳房再建術の概要

ブレストサージャリークリニック 院長 岩平佳子先生

乳がんの手術において、かつては乳房温存率が高い病院が評価される傾向にありましたが、無理に温存すると乳房が大きく変形してしまうといったことなどから、全摘をして再建するという方法が提案されるようになってきました。

乳房再建には、素材による分類と再建時期による分類があります。まず、素材についてですが、腹部の脂肪や背中の筋肉などを使う「自家組織再建」と、エキスパンダー(皮膚拡張器)とシリコーンインプラントを用いる「人工物再建」に大別されます。

自家組織再建は身体への負担が大きく、乳房以外の場所に傷跡が残ったり、ある程度の入院期間が必要になるなどの欠点がありますが、温かい血の通った組織が使えることがメリットです。一方で、人工物再建は身体への負担が軽く、日帰りも可能で、保険適用にもなっています。ただし、製品を適切に選ばないと仕上がりに影響する可能性があります。

人工物再建に使用されるインプラントは、破損などがなければ入れ替えの必要はありません。X線検査を行ったときに、インプラントによって心臓や気管支が見えなくなるということはなく、マンモグラフィ検査を受けることもできます。

インプラントに関連する有害事象として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)がありますが、万が一、BIA-ALCLを発症したとしても、インプラントとその周囲の組織を取り除くことで治癒するケースがほとんどです。正しく怖がることが重要で、インプラントを挿入している患者さんは1年に1度は必ず検診を受けること、急に腫れてきたり、腫瘍が触れたりした場合は、すぐに相談できる関係性を医師と築いておくことが重要です。

続いて、再建時期による分類に関してですが、乳がんの手術と同時にエキスパンダーを挿入する「一次二期再建」と、手術や抗がん剤治療などが終わってしばらく経ってから再建を行う「二次二期再建」に分けられます。

一次二期再建では、術後に乳房の膨らみが失われた喪失感を味わわずに済む点や、一度に処置ができるため、身体への負担が少ないというメリットがあります。しかし、乳がんの手術はできても再建には対応していない病院があるほか、手術の日程が決まっている場合、それまでに再建するかどうかを決めなければならず、考える時間が限られてしまうところが欠点として挙げられます。

二次二期再建では、術後に喪失感を味わうことになってしまいますが、再建について考える時間を確保でき、病院や方法についても検討できる点がメリットです。

このように、乳がんの治療により乳房が失われた場合、再建という選択肢があるものの、全摘をした患者さんで再建まで行うケースは依然として少ないのが現状です。その理由として、再建が保険適用になっていることを知らない患者さんが多く、積極的に勧める医師も少ないこと、新型コロナウイルス感染症の流行により、再建は不要不急であるとされてしまったことなどが考えられます。

また、地域によって乳腺外科医や形成外科医の数が少ないこと、SNSなどのツールを持たず情報が得られないことなどを背景に、地方の患者さんや高齢者が置き去りにされている状況もあります。

乳房再建は、年齢や地域、社会状況に関係なく、QOL を上げるうえで非常に重要です。患者さんが正しい情報を得て、自分に合った再建をしていけることを願っています。

引用文献

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