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金盛琢也

日本赤十字豊田看護大学 老年看護学 講師 (旧:聖路加国際大学 大学院看護学研究科 老年看護学)

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Q. どのような患者さんがせん妄になりやすいのですか?

A. [高齢]で[脳血管疾患等の急性疾患]により[緊急入院]した患者さんなどが、せん妄のリスク因子を多く抱えた患者さんです。

原疾患や薬物、術後、環境の変化などでリスクアップ

一般に入院患者さんの10~40%にせん妄が出現するといわれていますが、特に高齢者や緊急入院による場合は、発症率が高くなります。

せん妄の原因には、準備因子、身体因子(直接因子)、促進因子(誘発因子)があり、これらのリスク因子を多く抱えている状態が、よりせん妄を発症しやすい患者さんといえます(図1)。

■準備因子
 準備因子とは、脳の器質的障害などによって脳機能が低下している状態などで、もともとせん妄になりやすい状態を指します。高齢、認知症、脳神経疾患の既往、動脈硬化により脳血流が低下する糖尿病などがあります。

■身体因子(直接因子)
 身体因子は直接因子ともいい、せん妄を引き起こす直接的な身体的要因を指します。脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞や心不全などの循環障害、呼吸不全や肺梗塞などの呼吸障害、肺炎や敗血症などの感染症、低血糖や高血糖、腎不全、肝不全などの代謝障害、抗コリン薬やベンゾジアゼピン系薬などの薬物、アルコールなどがあります。

■促進因子(誘発因子)
 促進因子は誘発因子ともいい、せん妄の発症を促進する環境や心理的要因を指します。緊急入院やICUへの入室などの環境の変化、治療目的による安静の指示や身体拘束、疼痛、医療機器の音や遮断された空間などによる感覚過剰と感覚遮断、不眠や昼夜逆転などの睡眠障害、不安や緊張、ストレスなどがあります。

高齢者はせん妄のハイリスク患者として意識する

高齢者は加齢により、脳や呼吸、循環、代謝など高齢者はせん妄のハイリスク患者として意識するさまざまな身体機能が低下し、予備力が落ちています。このような状態はそれだけでせん妄の大きなリスクであるため、高齢者は成人よりもせん妄を起こしやすくなっています。さらに、脱水や低酸素血症などの身体因子や、入院によって生活環境が変わることで不眠になるなどの促進因子が加われば、容易にせん妄を発症します。

また、高齢者には糖尿病や高血圧などの生活習慣病の有病者が多くいます。脳梗塞などせん妄の身体因子となる疾患を発症しやすいことや、複数の治療薬を服薬していることも、高齢者にせん妄が生じやすい一因となっています(図2、出典より一部改変)。

循環器病棟での臨床経験からいうと、心疾患で緊急入院し手術を受けた高齢患者さんでは、ほぼ全員がせん妄を発症していました。特に術後は、全身麻酔、疼痛や安静、不安が加わり、容易にせん妄を発症しやすい状況にあるといえるでしょう。

高齢者の場合は、ほとんどの患者さんがせん妄を起こすものと考えて対応することが重要です。


参考文献
●日本精神神経学会,日本語版用語監修,高橋三郎,他 監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014.
●亀井智子 編著:高齢者のせん妄ケアQ&A 急性期から施設・在宅ケアまで.中央法規出版,2013.
●酒井郁子 他編:どうすればよいか?に答える せん妄のスタンダードケアQ&A100.南江堂,2014.
●八木一馬:入院患者におけるせん妄のマネージメント.みんなで解決!病棟のギモン.レジデントノート 2016;18(9):1758-63.
●林安奈 他:せん妄の鑑別診断と鑑別のポイント.せん妄に対する治療戦略最前線.臨床精神薬理 2017;20(2):149-55.
●粟生田友子 他:らくらくせん妄/不穏 予防・アセスメント・対応マニュアル.BRAIN NURSING 2017;33(3):7-49.


この記事はナース専科2017年10月号より転載しています。

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