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第14回 せん妄の治療やケアはどうするの?②促進因子と患者へのケアのサムネイル画像
取材
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餅田 佳美(もちだ よしみ)

東大阪市立総合病院 医療安全管理室 室長

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大きな手術後やがんの終末期などに極めて高頻度にみられる「せん妄」。せん妄は、注意力や意識が低下することで患者さんが転倒・転落したり、幻覚が見えて暴れたりと治療を大きく阻害するものです。特に低活動型のせん妄は見落としがち。本連載ではそんなせん妄へのアプローチ法をやさしく解説します。


▼せん妄についてまとめて読むならコチラ
せん妄とは? せん妄の症状と看護


今春から外科病棟に配属された看護師のAさん。担当患者さんが手術後にせん妄を発症してしまい、日夜悪戦苦闘・・・。これを機に、せん妄について体系的に勉強したいと考えています。

看護師が行なうせん妄へのケア

井上先生:「今回は、せん妄のケアについて解説しましょう。早速ですが、まずは下の図を見て下さい」

看護師Aさん:「思いのほか、できることはたくさんありそうですね」

井上先生:「そうですね。例えば、患者に日にちや時間、場所の感覚(見当識)をもっていただくことはとても重要です。よく言われていることですが、見やすい場所にカレンダーや時計を置くようにしましょう」

看護師Aさん:「置くだけでなくて、一緒に確認することも大事ですよね」

井上先生:「その通りです。看護師さんが配膳する際、『○○さん、お昼12時になったので、お昼ご飯を持ってきましたよ』などと声をかけるのも効果的です。ふだん何気なくしている声かけでも、少し工夫することで日時の感覚を確認しておくことができます」

看護師Aさん:「なるほど。ぜひやってみたいと思います。あと、『日中はカーテンを開けて部屋を明るくする』というのはわかるのですが、前の日に寝ていない患者の場合は、お昼でも少し暗めにして休んでもらったほうがいいのでしょうか?」

井上先生:「それは、家族からもよく質問されますね。家族のなかには、患者が少しでもお昼寝できるようにと部屋を暗くしておく方もおられます。もちろん良かれと思ってのことでしょうが、それによってまた夜眠れなくなってさらに症状が悪くなったり、昼夜逆転がすすんでしまうこともあります」

看護師Aさん:「ということは、やはり昼は明るく、夜は暗くというメリハリが重要なのですね」

井上先生:「それは正しいのですが、夜真っ暗にしすぎるとかえって患者の混乱が強くなったり、転倒などのリスクが高くなるので、夜は足元がわかるくらいの薄明りがよいとされています」

看護師Aさん:「なるほど。さっそく実践に活かすようにします」

次のページは、「蛇がうじゃうじゃいる!?」

井上先生:「最近、せん妄で『蛇がうじゃうじゃいる!』と言ってひどく興奮する患者がいました。お部屋に伺うと、からだの前に点滴やドレーンなど、いくつものライン類がごちゃごちゃになっていました」

看護師Aさん:「それが気になっていたのでしょうか」

井上先生:「まさにそのとおりだと思います。促進因子をなくしてゆくためのキーワードは、『不快を快に/非日常的を日常に』です。点滴やドレーンは必要最小限にして、可能な限り視界に入らないように工夫しましょう」

看護師Aさん:「わかりました。ぜひその視点を持つようにします」

井上先生:「ほかに、英国NICEのガイドラインでも、せん妄に推奨される介入内容が述べられています。そこでは、例えば促進因子である便秘に対して『排便の確認』『排便コントロール』、安静に対しては『動くように促す(早期離床、歩行器の使用)』、感覚遮断については『眼鏡や補聴器の使用』などの介入が示されています」

看護師Aさん:「いずれも、看護師が行うケア内容ですね」

井上先生:「その通りです。特に、せん妄の促進因子を取り除くことについては、看護師がキーパーソンになります。ただし、病室でのケアであっても、当然家族に協力していただくこともあります。その際、家族には看護ケアの代行や患者の監視をお願いするのではなく、一緒に相談しながらすすめていくという姿勢が大切です」

看護師Aさん:「代わりに家族に見張っておいてもらおうということではなく、患者の安心につながるために協力してもらう、ということですね」

井上先生:「その通りです。あと、家族に適切な対応のしかたをお伝えすることも医療スタッフの大切な役目です。患者から辻褄の合わないことを言われると、家族はしっかりしてほしいという気持ちから、患者の言葉を否定してなんとか説得しようとする方もおられます」

看護師Aさん:「私も最初はそのようにしていたのですが、患者が思い違いに気がつくことはほとんどないように思います。かえって怒ったり、興奮が強くなってしまうことがほとんどです」

井上先生:「私もそのように思います。ですので、無理に修正しようとせず、その場は話にあわせるので十分ということを、あらかじめ家族に伝えておくことが必要です」

看護師Aさん:「確かにそうですよね。これを機に、私自身の対応についても見直すようにします!」

井上先生:「ぜひ頑張って下さい。では、今回はここまでにしましょう。次回からは2回シリーズでせん妄の薬物療法について解説します。いよいよラストスパートです」

看護師Aさん:「薬の話はとても興味があります。楽しみにしています!」

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