ヒトの深部体温は37℃程度で、多少の変動はあるにせよ、極めて狭い範囲に保たれています。さまざまな状況の変化に乱されることなく体温が一定しているのは、生体が常に熱のバランスを取ってくれているからです。
今回は熱産生・熱放散のメカニズムを振り返ることにより、調節機構が合理的に作用していることを納得するのが目標です。
エネルギーの行く末は?
熱放散の理解には物理学的なメカニズムが重要でしたが、熱産生はそれ自体が生命活動の結果として起こるため、生理学的な知識、特に代謝の知識に関連づけて理解する必要があります。
そもそも熱はどのような局面で発生するのでしょうか。
栄養素の異化によって、つまり栄養素を「燃やして」得られたエネルギーは、ATPという物質の形で蓄えられ、生体のさまざまな機能を発揮するために利用されます。
しかし、異化の際に取り出されるエネルギーのすべてがATP合成に用いられるわけではなく、大半が熱となってしまいます。
実は、熱が発生するポイントはここだけではなく、いざATPを分解してエネルギーを利用する際にも、有効に使えるのは一部であり、残りはやはり熱となります。
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