株式会社ミレニア
監修者の記事一覧口腔ケアとは
ここ数年来、看介護の現場で「口腔ケア」という言葉を良く耳にすると思います。ところが、実際に看介護現場では、歯磨きのことを口腔ケアと呼んでいるケースもあれば、歯磨きを含む口腔清掃からマッサージなどの口腔リハビリまで行って初めて口腔ケアと呼んでいるところもあります。
何故、こんな違いがあるのでしょうか。実は「口腔ケア」という言葉の確実な定義があるわけではないのです。それは厚生労働省から出される様々な報告や発表などを見ても「口腔ケア」の意味が統一されていないことからも判ります。
つまり、医療の世界において、明確な「口腔ケア」の定義付けがされていないのです。では看介護現場で行うべき本来の口腔ケアとはいったいどんなものなのでしょうか。
看護介護現場での口腔ケアとは
今から遡ること3年前の平成18年度に「口腔機能の向上」が介護保険制度上位置付けられました。この「口腔機能の向上」こそが「口腔ケア」の本質です。そして同じ平成18年の3月に日本大学歯学部・植田耕一郎教授を主任研究者とした「厚生労働省 口腔機能の向上についての研究班」から発表された「口腔機能の向上マニュアル ~高齢者が一生おいしく、楽しく、安全な食生活を営むために~」に記載されている内容が口腔ケアのひとつの指針となるでしょう。
この「口腔機能の向上マニュアル」の冒頭にある「口腔機能の向上支援の目的」では、下記のように記述されています。
目的
高齢者がおいしく、楽しく、安全な食生活を営むことにより、自己実現達成の支援を行う。
口腔機能の向上支援の実施内容
- 摂食・嚥下機能訓練
- 口腔衛生状態の改善・口腔衛生指導、支援、介助
また、この「口腔機能の向上マニュアル」には「介護認定の作業の中に口腔機能についてのアセスメントは嚥下機能障害の有無だけであるため、身体は健康であっても口は寝たきりという多くの要介護高齢者を見逃すことになってしまった」とあります。
このように、口腔機能の向上、即ち本来の口腔ケアが看介護現場で行われていないがための問題点も指摘されています。
口は何のためにあるのか
それでは、そもそも口の果たす役割とは何でしょうか。最も重要なのは、食べる、つまり摂食・嚥下機能です。即ち、捕食・咀嚼・食塊形成・移送・嚥下という役割です。また、口は呼吸をするための気道としての役割もありますし、言葉を話すための器官としての役目も負っています。更には、表情をつくるのにも関連します。
つまり、口は、生命活動をしていくためにとって非常に重要な器官であり、口の持ついずれかの機能に障害が起きるということは、すなわち、生きるということに大きく影響をおよぼすということになるのです。口腔ケアとは、その大切な機能を保っていくための重要な手法・技術であり、おいしく、楽しく、安全に食べられる口の機能を維持・向上させることで、QOLの向上に大きく寄与するのです。
「機能的口腔ケア」と「器質的口腔ケア」
それでは、その重要な口を「寝たきり」にさせないための口腔ケアとはどういうことをすればいいのでしょうか。「口腔機能の向上マニュアル」にある2つの項目を、もう少し具体的にしていきたいと思います。まず最初の「摂食・嚥下機能訓練」とは、言い換えれば「機能的口腔ケア」ということです。
その目的は、摂食・嚥下機能の改善にあります。そのためには、口唇・舌・頬・咽頭の刺激やマッサージ・嚥下訓練による口腔リハビリを行ない、自浄作用を促進し口腔乾燥を防ぐために唾液の分泌を促し、発音・構音に関与する口唇・舌・軟口蓋のリハビリを行うことが必要です。
2つめの「口腔衛生状態の改善・口腔衛生指導、支援、介助」とは、言い換えれば「器質的口腔ケア」となります。その目的は、口腔衛生状態の改善、細菌叢の正常化にあります。そのためには、歯だけでなく、舌、口腔粘膜の清掃を行います。高齢者の場合は義歯の清掃も必要となります。
残念ながら、看介護現場では、歯磨きや口腔内をガーゼで清拭しただけのケアを口腔ケアと認識していることも少なくありません。しかし、「口腔ケア」とは、先に挙げた「機能的口腔ケア」と「器質的口腔ケア」の2つが確実に、しかもバランスよく行われていなければならないのです。
次回は、口腔ケアを行う目的と効果についてもう少し詳しく触れていきたいと思います。
\ この記事をシェアする /












