
本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。
実は母親にも利点が多い母乳育児
母乳育児の利点というと“児に対する利点”と考えるがちですが、実は母乳育児は母親への利点も大きいのです。
母乳で我が子を育てることが自分の将来の健康にも結びつくものであるとわかると、母乳育児を継続する動機づけの1つにもなることでしょう。また、女性生殖器のがん、関節リウマチ、生活習慣病のリスクが減少することは健康な人生につながり、これらにかかる医療費の削減にもつながります。
短期的な恩恵としては、子宮収縮を促すことで出産後の出血量を減少させ、子宮をはやく妊娠前の状態に戻してくれます。また、授乳していると妊娠の間隔が自然にあきますので、母親の産後の回復を助け、健康を保つことができます。
長期的な恩恵をみてみると、授乳期間がながくなると女性特有のがんを予防する効果もあります。
乳がんの発症にはエストロゲンも関与しており、母乳育児によりエストロゲン分泌が抑制されることは、乳がん発症にも予防効果があります。1年間授乳すると4.3%乳がんが減り、1度も母乳育児をしなかった女性は、生涯に55か月以上授乳した女性と比べて、乳がんのリスクが1.4倍となるといわれています。卵巣がんについても同様に長期間授乳することはリスクを低下させてくれます。
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