
野原 幹司(のはら かんじ)
監修者の記事一覧日々の看護のなかに意外に多く潜んでいる倫理的問題。それらの解決のためには、まず、倫理的な違和感に気づくセンスが大切です。
今回は、胎児の障害のリスクのある妊婦さんの不安から逃げてしまったケースをもとに、センスを磨く練習をしてみましょう。
今回の患者さん
- 中山朋子さん(仮名)
- 20歳代
- 女性
- 子宮腺筋症合併妊娠
中山さんは、過去に流産・死産の経験をもつ妊婦さんです。
今回も妊娠18週目で、妊娠継続のために子宮頸管の手術が必要となり、入院・手術となりました。
入院時には、エコーでは胎児に奇形の徴候は認められず、中山さんも「どんなことがあっても妊娠を継続し、障害が残る可能性の高い週数であっても出産をしたい」と話していました。
ところが、手術2週間後(妊娠20週1日)に自然破水してから、中山さんの不安は増強しています。
胎児の心拍聴取を拒否し、「子の障害や将来を考えると、妊娠の継続を迷っている」との発言もみられました。
さらに「障害がある子どもを育てていく自信はないし、障害を負わせたことを責めながら生きるのは、私もつらい」と話すようになりました。
また担当の助産師は、中山さんと同居している母親から、「もしあなたが同じ境遇であれば、妊娠の継続をどう考える?あなたに障害をもった子どもが生まれたら、医療者としてではなく母として、どう思う?」と質問されました。
一方で母親は、友人にも相談しており、その友人から「自分なら産まない」と言われたことが、頭から離れないとも話していました。
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