
本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。
母乳が出ない?
乳腺の低形成や乳房の外科手術を行ったなど特殊な場合を除けば、妊娠した女性は母乳を作る能力をもっています。その能力を発揮するには出産後できるだけ早くから頻繁に赤ちゃんにすってもらうことが有効です。
これは母乳をつくるホルモン―プロラクチン―が分泌されるだけでなく、プロラクチンの受け皿となる受容体も増えるからです。
養子をもらった場合でも、乳汁分泌を刺激する薬剤を使用しながら乳房を吸わせているとある程度は母乳を与えることができるようになります。出産のあと、すぐに吸わせることができなかったり、赤ちゃんと離れていた場合にはスタートが遅れてしまいますこの結果、母乳の量が減ってしまうかもしれません。
そこからでもできることはあります。すこしでも母乳を増やしたいという母親には、授乳前に乳房を温める、授乳中に心地よいマッサージや乳房圧迫を行うよう提案してみましょう。
産生される母乳の量は、どれだけ乳房から出されたかによって決まります。従って、母乳を増やしたい場合はなるべく「空」になるまで赤ちゃんに飲んでもらうか、授乳後に搾乳するよう伝えましょう。
母親への精神的支援
母乳だけでは不十分で人工乳を必要とするとき、母親は自分への自信、育児への自信を失ってしまっているかもしれません。そのうえに“母乳で育てたい”という心の叫びを医療者から否定されるとさらに落ち込んでしまうことでしょう。
このような状況に陥ると母乳分泌はさらに低下してしまうだけでなく、子育てにも前向きに取り組めなくなるかもしれません。そのような母親には、心に寄り添ったサポートこそが必要なのです。
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