今回は、在宅ホスピスの医師として、患者さんを看取る子どもを含めた家族にかかわってきた、川越厚さんに「客観的情報を伝える」という医師の役割について、子どもへのケアが整いやすい在宅ホスピスの例をもとに紹介してもらいます。
子どものショックをフォローできることが条件
在宅ホスピスでは、疾患をもつその人と家族とを合わせてケアの対象と見なしてかかわっています。ですから、患者さんの子どもにも、患者さんの状況をきちんと話すことが多いです。それが、子どもへのケアになると考えているからです。
ただし、どのようなケースでも無条件に子どもに親の病状を話すわけではありません。子どもに話をするのは、患者さんやそのパートナーが望むとき、さらに告知後のフォロー体制が整っている場合に限ります。
というのは、親の病気について子どもに告知した後は、必ずリバウンドがあるからです。そうした子どもの反応をしっかり支えないと、大人が思いもよらないところで子どもが深く傷付くことがあります。親がそこをフォローできない状況なら、話をするべきではないと考えています。
親の看取りを通じて、子どもは生きることの大切さを実体験することになり、大きな成長を遂げます。子どもに親の病気について話をするということは、子どものケアにもなるので、条件がそろっているのであれば、話をするべきでしょう。
その際の医師の役割は、「客観的情報」を伝えることだと考えています。どのような病気なのか、余命はどれくらいなのか、臨死期にはどのようなことが起こるのかといった病態の説明から、新たな症状が出てくる可能性、症状の悪化などについて、わかりやすく説明すること──科学的な客観的事実の説明が医師の第一の役割なのです。
子どもには、わかりやすい言葉で説明する必要があります。そのような実践の様子がわかる事例を紹介します。
事例[1]──親の病状を伝え、残された時間を側で過ごす
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