
西村かおる
執筆者の記事一覧5月16日・17日に大宮ソニックシティにて、第23回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会(会長:南 由起子)が開催されました。今回は、高齢生活研究所・排泄用具の情報館、むつき庵代表・浜田きよ子さんが講演した、ハンズオンセミナー「おむつの選択がQOLを変えるーおむつと姿勢管理ー」をレポートします。
おむつがいかに動作と姿勢に影響するかを体験
まず配られたテープ止めおむつとフラットの2枚を参加者が装着し、用意されたベッドの上で寝返りをする時間が取られました。
体験しているところで浜田先生は「厚手のおむつをすることで股間が開くと寝返りがしにくいということを体験してください。元気な我々でもしにくいですよね。このように寝返りがしにくいので、じっとしていることが増えてしまいます。褥瘡というとマットレスをエアマットレスにしようかとか考えることが多いと思いますが、おむつほど皮膚に近いものはないんですね。マットレスをどうするかなどを考える前にお尻回りを見直すことも非常に重要だということがわかると思います」と話しました。
さらに、尿取りパッドを何枚も重ねたり、尿を吸ったおむつを装着していたりすると座位を取りにくいだけではなく、誤嚥しやすい姿勢になってしまうこともあるということにも触れました。
おむつの選択がいかに重要であるかということを、実際に参加者に体験してもらってから解説を始めました。
ギャザーはしっかり立てること
まずは、体験で使用したテープ止め紙おつむとフラットについて解説しました。「ほとんどのメーカーのテープ止め紙おむつには、立体ギャザーという防波堤の役割をするものが付いています。尿取りパッドが確実に中に入っていないとこの防波堤をつぶしてしまいます」と話しました。
立体ギャザーをつぶすことは、漏れてくださいといっているようなものだといい、フラットはムレやすいということも強調しました。
排泄アウターと排泄インナー
次に浜田さんは、おむつという言葉について解説。「おむつという言葉は共通概念ではありません。大きな尿パッドをおむつと考える人もいれば、テープ止めこそおむつだという人もいます」そうだとすれば選択するときには別の言葉を使うほうが明確になります。そして「おむつと呼ばれるものは、大きく排泄アウターと排泄インナーに分けられ、それぞれの特性を知ることが大切」と話しました。
排泄インナーとは尿などを吸収するもの、排泄アウターはインナーを固定するものと分けられています。おむつを選択するときは、排泄アウターと排泄インナーの組み合わせと思って選ぶことが重要だといいます。
おむつの選択で重要なポイントは、皮膚への影響、姿勢への配慮、動きやすいか
では、おむつを選択する際に、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
浜田さんは、重要なポイントとして、皮膚への影響、姿勢への配慮(座位保持を妨げる)、動きやすいか(歩行や寝返りなど)の3つを挙げ、それぞれどのように考えればいいのかを解説しました。
皮膚への影響
吸収量だけでなく、ウエット感、通気性も重要。仰臥位なのか、端座位なのかで臀部やおむつにかかる圧が違い、それで感じ方も違ってくる。皮膚への影響を考えて、バックシート(防水フィルム)に通気性のあるものを選ぶとよい。
姿勢への配慮
しっかり座れて、呼吸も楽になるように選ぶ。大吸収のものがある程度の尿を吸うと厚みが変わり、座位を取りにくくなることがある。排尿後の変化も考えておむつを選択する必要がある。
動きやすいか
あまりにも厚みがあると、股間が開いて寝返りがしにくくなる。おむつの当て方は、漏れやすさに関係するだけではなく、動きやすさにも関係する。基本的に鼠頸部の内側は動かないので、吸収体は鼠頸部の内側にあるようにするとよい。また大転子を圧迫しないようにすると、足を動かしやすくなる。
おむつの吸収量をどう考えるか
尿取りパッドに書いてある1回分というのは、ほとんどのメーカーで150mLとされています。浜田さんは「150mLと言われていますが、尿取りパッドの吸収量は姿勢によって異なります」といい、吸収量は目安であり、どのような姿勢か、またどのようなアウターで固定しているかで変わると解説しました。
最後に浜田先生は、選択する際に大切なことは「マニュアル的に決めるものではなく個別性を考慮すること。本人が不快であれば、自分で位置を変えたり触ったりしてしまいます。それは漏れの大きな要因となります。その方の好みや習慣を踏まえた選択を心掛けてほしい」と締めくくりました。

参加者には白十字株式会社よりおむつが配られ、参加者自身が体験できた
問い合わせ先
高齢生活研究所・排泄用具の情報館、むつき庵
白十字株式会社
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