前回に続き、終末期を迎えた母親と子どもたちとのかかわりの事例から、堂園メディカルハウスの副院長であり、MSW(メディカルソーシャルワーカー)である堂園文子さんが、社会的・心理的支援を行うMSWの役割についてまとめます。
事例――最期のときに向けて、子どもたちに伝えること
8月20日、Aさんの兄と子どもたちに、医師とMSWから、「悲しいけれど、もう1週間もたないと思われる」ことを話しました。
その際、「亡くなる前のご様子」という用紙をとともに、意識や体の状態について話したうえで、「長く生きてほしいと思うより、1分1分を大切にしてほしいこと」「そのときはゆっくりと時が過ぎていくように安らかになるだろうこと」「最期まで耳は聞こえるから、優しい別れの言葉をかけてあげてほしいこと」などを伝えました。
そして、Aさんとの最期の過ごし方について、「楽しかった思い出を話したり、将来の自分の夢を話してあげるとお母さんの心が落ち着くこと」「死ぬのはいなくなるのではなく、遠くに行って見えなくなるけれど、子どもたちをお母さんはずっと見守ってくれること」「息が苦しそうに見えるのは、舌がのどのほうに下がっているためであること」「子どもたちの頬をお母さんの手に触れさせてあげると安心できること」などを話しました。
その夜、子どもたちは、お母さんへの手紙をレポート用紙に数枚ずつ書きました。
「お母さんとたくさん話したこの数日間も、一緒にいられる今の時間もとても幸せ。私はもう大丈夫。私たちを愛してくれてありがとう」(長女)。「お母さんは本当によく頑張った。僕はお母さんから元気と勇気をもらったよ。お母さんはもう頑張らなくていいから、ゆっくり休んでね。僕も悔いのないように生きていく」(長男)。次女からは、「ママは、姿が見えなくなってもずっと私の中に生き続けてくれる…ありがとうね。大好き。ママのようになります」。
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