共催:第61回日本透析医学会学術集会・総会/株式会社メディコン
第61回 日本透析医学会学術集会・総会のランチョンセミナーが2016年6月10日(金)リーガロイヤルホテル大阪で開催されました。水井理之先生(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)を座長に迎え、末光浩太郎先生(関西ろうさい病院 内科(腎臓))から「バスキュラーアクセスカテーテルの新たなる展開~脱血不良の低減を狙いとした非カフ型カテーテルの選択~と題して、興味深い発表が行われました。
患者さんや医療者の負担を減らすために最良のカテーテルを模索
緊急透析やシャントの使用が難しいとき、非カフ型バスキュラーアクセスカテーテルを一時的に留置します。このカテーテルトラブルの1つに脱血不良があります。脱血不良を起こしたカテーテルは逆接続をしたり、カテーテル先端位置を調整したりと、カテーテル操作に忙殺され、業務の効率が著しく落ちてしまいます。
末光先生が関西ろうさい病院に赴任した2014年以降、シャント造設術の件数が一気に増加しました。これに伴い非カフ型カテーテルの使用頻度も高まり、脱血不良が起こるたびに対応に追われ、医療者の業務量も増してしまいました。
そこで、使用する非カフ型カテーテルをサイドホールからエンドホールタイプに切り替えたのですが、期待するほど脱血不良の低減や使用可能期間の延長につなげることはできませんでした。
新たな非カフ型カテーテルの特徴とその利点
このような課題を抱えていたとき、新しく発売されたのが非カフ型カテーテル「パワートリアライシス®」(株式会社メディコン)でした。そこでさっそく導入に踏み切り、従来使用していたサイドホールやエンドホールタイプのカテーテル(以後、「従来品」)と「パワートリアライシス®」の脱血不良や感染の発生率、使用可能期間を検討しました。
非カフ型トリプルルーメンカテーテルを右内頸静脈に挿入した透析患者さんのうち、「従来品(12Fr)」は2014年6月~ 2015年3月の連続80例、「パワートリアライシス®(13Fr)」は2015年6月~ 2016年1月の連続42例を対象としました(表1)。

脱血不良の発生率を検討したところ、「従来品」は62.5%の脱血不良が発生していたのに対し、「パワートリアライシス®」では14.3%でした(p<0.001)(表2)。

カテーテルの使用可能期間については、2週間経過時点でのカテーテル開存率は、「従来品」の66.6%に対し、「パワートリアライシス®」は93.4%と高い開存率を示していました(p=0.002)(図1)。

なぜ脱血不良は軽減され、使用可能期間は延長したのか?
脱血不良の発生率および使用可能期間の差がみられた理由について、2つの製品特徴を踏まえ、末光先生は以下のように考察します。
1.エンドホールが立体流線型の楕円状に開孔しており、さらにサイドホールが備えられている。エンドホールが血管壁に接触することを考慮し、カテーテルシャフト側面に沿って開孔部が設けられた製品になっている。
2.カテーテルシャフトが楕円型となっており、身体の動きなどによるカテーテルの折れ曲がり、キンクに強い製品になっている。
また使用可能期間の延長については、「脱血不良によるカテーテルの抜去や逆接続が少なくなったことが影響したのではないか」と考察しています。
脱血不良に伴うカテーテル操作は、感染率に影響を及ぼすか?
カテーテル感染について、「従来品」は10.0%であったのに対し、「パワートリアライシス®」では7.1%であり、有意差はみられませんでした(表3)。
ただし、「抜去や逆接続などのカテーテル操作を重ねることによって、感染は増えていくのではないか」と末光先生は考察しており、今後症例数を増やして検討していくと話されました。

最後に、カテーテルシャフト外径が1Fr細い12Frの「パワートリアライシススリム®」(株式会社メディコン)が2016年より新たに発売されているため、その使用経験について報告がありました。
関西ろうさい病院において、「パワートリアライシススリム®」は2016年2月~現在までの連続20例で使用されており、脱血不良の発生は5.0%という結果になり、13Frの「パワートリアライシス®」と比較しても遜色のない結果になりました。引き続き症例数を増やし、製品機能を評価していく予定です。
終わりに・・・
セミナーの最後に、座長の水井理之先生からは、「先端形状の違いにより脱血不良が低減された可能性について説明いただきましたが、先端形状のどのような部分が脱血不良低減に効いているとお考えですか?」と質問がありました。
末光先生より「脱血不良の多くは血管壁へのへばりつきが原因であると考えています。パワートリアライシスはエンドホールが立体流線型の楕円状に開孔しているため、血管壁にカテーテルがへばりついたとしても、どこかの一部分は開孔しているのではないかと考えています。左右対称にエンドホールが設けられ、ねじったように斜めにスリットが入っているのが従来品との一番の違いです」とコメントがありました。

協力:株式会社メディコン
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