正確な尿量を測定する理由
尿の生成には、血液循環が大きくかかわっています。心臓から拍出された血液は腎動脈を通って腎臓へと流れ込み、糸球体でろ過されて体内の老廃物や水分を含んだ「原尿」となります。原尿は尿細管を通る過程で必要な成分が吸収され、尿管を通って膀胱に溜まり、体外へと排出されます。
このように尿の生成と血液循環は直結しているため、尿量を管理することにより、腎機能だけでなく、循環血液量や心臓の働きといった全身の循環動態を推察することができます。そのため、ICUでは膀胱留置カテーテルを用いて正確に尿量を測定することが多いのです。
正確な尿量を維持するための観察ポイント
では、尿中の浮遊物が多い患者さんでカテーテルが詰まりそうなとき、看護師として何に気を付ければよいのでしょうか。
例えば、50mL/時間ほど出ていた尿が急に0〜5mL/時間になったとします。このとき、「腎機能が急激に悪化した」とだけ考えてしまうと、尿の通り道であるカテーテルの閉塞や屈曲に気づきにくくなります。患者さんの姿勢を整えたあとに、カテーテルが患者さんの身体の下敷きになっていた、なんて経験がある人もいるでしょう。
何らかの要因で尿の流れが滞ると、カテーテル内で徐々に浮遊物が沈殿し、やがて閉塞してしまうおそれがあります。そのため、尿量が減少した場合には、原因がどこにあるのかを以下の2つの視点で観察・評価していくことが求められます。
●尿はそもそも作られているのか、いないのか(腎臓、心臓、循環血液量の視点)
●尿は作られているが、膀胱留置カテーテルに流れていないのか(尿の通り道の視点)
下腹部が張っている、膀胱のあたりが硬い、患者さんが尿意のような不快感を訴えている、あるいはカテーテルの周りから尿が漏れているといったサインがみられる場合は、カテーテルの屈曲や閉塞を疑います。
残尿測定器や膀胱エコーが使える施設であれば、膀胱に尿が溜まっているか確認してみましょう。尿が作られているか、それともカテーテルのトラブルなのかを知る大きな手がかりになります。
現場でできるケアの工夫とアセスメント
現場でできるケアの工夫としては、尿の流れを妨げないような視点に加え、浮遊物が生じる要因をアセスメントする視点が大切です。
カテーテルの屈曲・閉塞予防、採尿バッグの位置調整
清潔ケアや体位変換のあと、検査から戻ってきたときなどは、カテーテルや採尿バッグの位置が変わりやすいため、尿の流れを適宜確認します。また、カテーテルが折れ曲がっていないか、患者さんの身体で圧迫されていないか、寝衣やベッド柵の間に挟まれていないかを確認し、採尿バッグは膀胱より低い位置に設置します。
カテーテルの牽引予防
膀胱の出口や尿道粘膜が傷ついて出血すると、血の塊や浮遊物が増えて詰まりやすくなるため、カテーテルが引っ張られないように注意します。カテーテルに適度なゆとりをもたせ、患者さんの姿勢が変わるたびに尿道口が引っ張られていないかを確認します。
浮遊物の要因のアセスメント
尿中に浮遊物が多い患者さんでは、その要因をアセスメントすることも必要です。浮遊物の原因を根本から取り除くことが、カテーテルの閉塞を防ぎ、正確な尿量の維持につながるからです。浮遊物の要因としては、尿の濃縮、感染症による膿尿、血尿、長期留置によるバイオフィルムなど、さまざまなものが考えられます(表)。
実際、カテーテルが挿入されている患者さんは、尿の混濁や浮遊物がみられることは珍しくありません。だからといって、いつものことと終わらせず、現在の治療疾患やバイタルサインの推移、尿量の推移、尿の混濁や浮遊物の程度、尿の臭い、さらには発熱や炎症反応の有無など、全身状態を総合的に考えて観察していくことが必要です。これらを観察するなかで、何らかの異常や変化があれば、速やかに医師へ報告します。
表 浮遊物の主な要因と観察項目
| 主な要因 | 観察項目 |
|---|---|
| 尿の濃縮 | 尿の色調、尿量の推移、脱水の有無、IN-OUTバランスの推移など |
| 感染(膿尿) | 尿の混濁の程度、尿の臭い(異臭)、発熱の有無、白血球やCRPなどの炎症反応の上昇、尿定性・尿沈渣の異常など |
| 血尿 | 尿の色調(肉眼的血尿の有無・程度)、血塊の有無、Hbの推移、抗凝固薬の使用歴など |
| バイオフィルム | カテーテルの留置期間、尿の混濁や浮遊物の推移など |
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