千葉宏紀(ちば ひろき)
執筆者の記事一覧A-DROPやI-ROADを使って評価する
日本人のCAP予後予測に優れているA-DROP
前回までの市中肺炎ガイドラインには現在の医療・介護関連肺炎(NHCAP)が多く含まれていましたが、新しいガイドラインでは市中肺炎(CAP)とNHCAPを明確に分けるようになりました。CAPは、基礎疾患がない、またはあっても軽微な基礎疾患がある人が発症するため、耐性菌リスクや誤嚥性肺炎のリスクをあまり考えなくてよくなりました。耐性菌リスクや誤嚥性肺炎の影響が少ないと、重症度の判断は行いやすくなります。
従来からA-DROPという方法でCAPの重症度を判断していましたが、今回のガイドライン作成時の検証でA-DROPは日本人のCAPの予後予測能に優れていることがわかったため、シンプルで使いやすいA-DROPでの重症度判定を今後も行うこととなりました。なお、今回から肺炎の重症度だけでなく、敗血症の有無も治療の場と治療内容を決める上で重要視するように変更されています。

NHCAPではA-DROPをメインとしCURB-65やPSIを補助的に使ってもよい
院内肺炎(HAP)とNHCAPではCAPと比較すると、さまざまな基礎疾患を有する人や耐性菌リスクをもっている人など患者さん背景が多様なため、重症度判定が難しくなります。
HAPについては従来通りのI-ROAD以外によい判定方法がないため、今回も採用することとなりました。NHCAPについては今回の検証ではA-DROPの予後予測能が比較的良好であり、使用することとなりましたが、A-DROPに類似するCURB-65や、A-DROPより煩雑なものの米国の市中肺炎ガイドラインで用いられるPSIも補助的に用いてよいこととしました。

A-DROP、I-ROAD、CURB-65、PSIはいずれも肺炎の重症度判定に用いるもので、肺炎発症30日後の死亡に関する因子をまとめたものです。元々A-DROP、CURB-65、PSIがCAP用、I-ROADがHAP用で、日本で作成されたのはA-DROPとI-ROADなので、この2つを使うことをおすすめします。
A-DROPやI-ROADではいずれもバイタルサインが大変重要で、特に意識状態、呼吸状態、血圧の変動には注意してください。また、両者ともに脱水も評価項目となっているため、脱水や乏尿がないかに注意しましょう。
肺炎の重症度評価に用いるCURB-65とPSI
肺炎の重症度の評価基準には、A-DROP やI-ROAD の他に、CURB-65 やPSI があります。
CURB-65 は、混迷、尿素窒素、呼吸回数、血圧、年齢の5つの項目で評価します。PSIは、患者背景(年齢や介護施設入所)、基礎疾患(悪性腫瘍、肝疾患、うっ血性心不全などがあるか)、身体所見(意識状態、呼吸数、収縮期血圧など)、検査および胸部X線所見(pH、BUN など)の項目を評価し、重症度を判定します。どちらの評価スケールも重症度、治療場所、死亡率を判定することができます。


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