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【事例4】強心薬から離脱できず退院困難な心不全患者の看護 ~在宅での療養を実現するための支援~のサムネイル画像
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秋庭 拓生

公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院一般病棟 慢性心不全看護 認定看護師

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事例紹介

Dさん、80歳代前半、女性

現病歴
 弁膜症術後、心不全

既往歴
 X-23年 僧帽弁置換術、三尖弁形成術
 X-18年 徐脈性心房細動でペースメーカーの植込み
 慢性閉塞性肺疾患(在宅酸素療法:2L/分)、慢性腎不全

入院までの経過
 X年3月、下肢浮腫あり、心不全増悪のため入院となる。トルバプタンの内服を開始し症状が改善したため、トルバプタンを中止、アゾセミドを開始し退院。その後、心不全増悪がみられ、かかりつけ医の指示によりトルバプタンの内服が再開となった。X年7月に下肢浮腫増強、呼吸困難も出現し、心不全増悪で当院に再入院。

来院時検査所見
 ●採血結果
 BNP1,113pg/mL、BUN54.7mg/dL、Cre2.14mg/dL、推定糸球体濾過量eGFR17.7mL/分

●心エコー検査
 左室駆出率(LVEF)30.8 %、左室拡張終末期圧(LVD)(d)65.0mm、左室収縮終末期径(LVD)(s)57.3mm、大動脈弁逆流(MR)1度、僧帽弁逆流(AR)1度、三尖弁逆流(TR)2度

入院時内服処方の内容 
 イミダプリル1.25mg、ビソプロロール0.625mg、アゾセミド60mg、トルバプタン(サムスカ® )15mg、フロセミド20mg、ワルファリン1.25mg、ルビプロストン(アミティーザ®)48μg、フェブキソスタット(フェブリク®)20mg、ランプラゾール徐放錠15mg、アルファカルシドール1μg

患者背景
 夫、長男と3人暮らし。次男・三男は近くに住んでいる。長女は結婚して県内の他市に住んでいる。大腿骨頸部骨折の既往があり、要介護4の認定を受けているが、介護サービスは利用していない。倦怠感が増強して以降は、おもにベッド上で生活しており、家事も夫・長男がしていた。

入院後の経過
 入院後すぐ、点滴強心薬ドブタミン(ドブポン®注0.6%シリンジ)が開始となった。ピモベンダンの内服も開始したが、開始後より尿量がさらに減少したためピモベンダンは中止となり、心不全の改善はみられなかった。

Dさんは状態悪化に伴いせん妄状態となり、「家に帰りたい」とベッドから降りようとすることもあった。その後、環境調整でせん妄は改善したが、「家に帰りたい」と訴えることは変わらなかった。そのため、Dさんの思いを聴き、主治医は本人・家族に今後の療養に対する意向を確認することにした。

医師から、本人、夫、息子に「Dさんは心不全の改善がみられず点滴を外すことができないため、家に帰ることは難しいかもしれない」と説明があったが、Dさんは「状態が悪いことはわかっている。でも家に帰りたい」とはっきり答えた。それを受け家族は、Dさんを家に連れて帰ることを決めた。

しかし、点滴強心薬を減量すると尿量減少、腎機能悪化がみられ、心不全は増悪。内服強心薬のデノパミン(カルグート®)を追加するも、点滴を中止することは困難だった。

また、点滴の強心薬を減量しなくても呼吸困難、倦怠感がみられ始めており、症状が増強するにつれ、Dさんは「こんなにしんどかったら家には帰れない」と話すようになった。看護師もこの状態では、退院し家に帰ることは難しいのではないかと思っていた。

事例アセスメント

Dさんは、心不全ステージDであり、人生の最終段階に近いと考えられます。心不全の増悪により、呼吸困難、倦怠感、せん妄という症状がみられています。強心薬は心臓の収縮力を上げ、低拍出状態を改善します。心拍出量が増えることで全身を巡る血液量が増加し、倦怠感の軽減につながります。また、腎血流量も増加するため尿量が増え、肺うっ血も軽減させるので、呼吸困難の改善にもつながります。これらの効果がみられることから点滴強心薬を中止することはできません。

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