一般社団法人知識環境研究会
執筆者の記事一覧2011年3月11日に地震が発生したあとさまざまなことが次々と起こり、合わせて国内外からの災害救助や医療支援が行われました。震災から災害に至った経緯を時系列でたどりつつ、どのタイミングでどんな支援が行われたのかを振り返ります。また、災害看護支援機構理事長の山﨑達枝さんの活動も時系列でたどっていきます。
震災直後
3月11日
■出来事
- 14時46分、三陸沖を震源とするM9.0の巨大地震が発生
- 宮城県栗原市で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県で震度6強を観測
■行政・医療関連支援の動き
- 各地で停電
- JR東日本の5新幹線終日運休
- 東北や関東地方で約840万戸停電、断水やガス停止も相次ぐ
- 日赤医療センターDMAT、日本赤十字社の12の支部から救護班1班の派遣を決定、出発
■災害医療センターDMATの活動
看護師の江津郢ォさんを含めた調査ヘリチーム、宮城県に向かう
■出来事
- 津波が発生
- 宮城、岩手、福島をはじめ、東北の沿岸部が被害にあう
■行政・医療関連支援の動き
- 地震の発生を受け、原子力災害対策特別措置法の規定に基づき、福島原子力発電所周辺3km以内に避難を指示
■出来事
- コスモ石油千葉精油所(千葉県市原市)ブタンブチレン貯槽の支柱が折れ、破損。ガス漏れ火災
■行政・医療関連支援の動き
- 自衛隊派遣を決定
- 災害用伝言板、安否確認サイトが立ち上がる
- 11日夜都内で帰宅難民は10万人以上
3月12日
■出来事
- 3時59分、長野県栄村で震度6強、M6.7
■行政・医療関連支援の動き
- 気象庁が「平成23年東北地方太平洋沖地震」と命名
- 国境なき医師団の2つのチームが岩手県、宮城県入り
■出来事
- 12時時点、東北、関東地方で停電は計510万戸
- 夕、いまだ東北地方は約368万戸停電
■行政・医療関連支援の動き
- AMDA、第一次派遣者出発。医師、看護師ら
■出来事
- 15時36分、福島第1原発1号機で爆発、避難指示を半径20kmに拡大
■行政・医療関連支援の動き
- 都内では5人が死亡、70人以上がケガ
■出来事
- 断水17道県、140万戸で
■行政・医療関連支援の動き
- 東北道、常磐道など一部区間を緊急交通路に指定
3月13日
■行政・医療関連支援の動き
- 第2原発の10km圏内に暮らす住民に避難を促す
- 東電、14日から計画停電実施を発表
災害看護師・山﨑達枝さんの被災地活動リポート
活動1 3月12~13日
12日夕方、集合先の福井県でレンタカーを借り、富山・新潟経由で13日に福島県看護協会入り。福島県看護協会長のご尽力により、医療支援のための緊急車両として認められたため、スムーズに現地入りすることができた。福島県は電気、ガス、水道のライフラインが途絶えた状態。
福島県看護協会では県内の医療機関とファックスによる被害状況の情報収集を行っていたが、医療者の安否確認ができない状態が続いた。原子力の問題が浮上し、情報の不足から専門家による適切な情報とアドバイスが必要であった。
震災から3日後の状況
3月14日
■出来事
- 11時過ぎ、福島第1原発3号機で水素爆発。11人が負傷
■行政・医療関連支援の動き
- 自衛隊が福島第1原発の20km圏内の病院、施設の患者や入所者の搬送を開始
3月15日
■出来事
- 6時15分頃、福島第1原発2号機で、原子炉格納容器の圧力抑制プール付近で爆発音。プールが損傷したもよう、と発表
■行政・医療関連支援の動き
- 福島第1原発から半径20km以内の住民への避難指示に加え、新たに20~30kmの住民にも屋内退避を指示
- 昭和大学医療救援隊第1陣を派遣
■出来事
- 9時40分頃、福島第1原発4号機の原子炉建屋で出火
- 22時31分、静岡県東部でM6.4、震度4以上を観測。富士宮、富士宮野中では震度6強
■災害医療センターDMATの活動
3月16日
- 看護師の熊倉英高さんを含めた放射線医療チーム、福島県に向かう

災害看護師・山﨑達枝さんの被災地活動リポート
3月14~15日
14日、宮城県看護協会入り。宮城県看護協会では住民にトイレの使用や携帯電話の充電ができるように協会施設を提供。在宅看護を受けている患者さんのもとへヘルパーが行けないなど、ガソリン不足は医療者のケアを制約していた。在宅者の安否確認や、行政機関や施設へは自転車で行くケースが見られた。
避難所では寒さ対策が急務で、トイレ、食糧、日用品(おむつ・生理用品・トイレットペーパー・下着類・ホッカイロ・マスク・消毒薬・ミルク・哺乳瓶・離乳食・電池など)、医薬品(特にインスリン)の不足が続いた。避難所には看護師がほとんど配置されていなかったために、県の災害対策本部を通して看護師の派遣要請をアドバイス。ガソリン給油のために山形県と行き来しながら、避難所での被災者の健康相談、バイタルサインの測定、精神面のケアなども実施。
さらに岩沼市内数カ所の避難所を訪問。津波で濡れた状態で数人が1枚の毛布で過ごしていた。また、近隣のクリニックに通院していた内服希望者に対して患者さんのリストをつくり、それを頼りに、電気がなく、床上10cm泥が埋まっている状態のクリニックで紙のカルテを探す支援も行った。そのかいあって必要な薬剤を手配できたが、ガソリン不足などのために病院や薬局へ行けない患者さんが目立った。
震災から5日後の状況
3月16日
■出来事
- 早朝、福島第1原発4号機原子炉建屋で火災が発生
- 10時頃、福島第1原発周辺で白煙のようなものがあがった
- 12時52分頃、千葉県北東部で震度5弱の地震
- 3時33分、岐阜県下呂市で震度4の地震。M4.0
■行政・医療関連支援の動き
- 岡山大学第1班を岩手医科大附属病院へ派遣
3月17日
■行政・医療関連支援の動き
- 仙台市は宮城野、若林両区の指定避難所に精神科医を派遣し、被災者のメンタルケアを開始
3月18日
■行政・医療関連支援の動き
- 厚労省は、被災地で活動中の救急救命士に対し、医師と連絡が取れない場合でも救命処置を認めることを決定
- 災害派遣医療チーム(DMAT)は徐々に撤収し、代わりに被災者の健康相談などにあたる保健師が現地入り。避難所の感染症防止なども課題
3月19日
■出来事
- 18時56分頃、茨城県北部で、余震とみられる震度5強の地震。M6.1と推定
■行政・医療関連支援の動き
- 宮城県気仙沼市立病院で透析を受けていた200人のうち、歩ける透析患者約80人が、北海道の医療機関へ避難
3月20日
■出来事
- 10時10分、コスモ石油千葉精油所の火災が鎮火したと発表
■行政・医療関連支援の動き
- ボランティアナースの会、「キャンナス」、気仙沼に看護師を派遣
3月21日
■行政・医療関連支援の動き
- AMDAが岩手、宮城両県での活動報告、今後は介護支援という形で活動を継続していきたいと報告。AMDAは21日までに医師・看護師を計52人派遣
- 福島の介護老人保健施設「小名浜ときわ苑」から入所者と職員ら190人が千葉県鴨川市の「かんぽの宿鴨川」に集団避難。亀田総合病院が医療面を支援
- 国境なき医師団は宮城県南三陸町などでの救急医療と並行し、被災者の心理状態の調査を開始
次ページは「山﨑達枝さんの被災地活動リポート」です。
災害看護師・山﨑達枝さんの被災地活動リポート
3月16~17日
16日には岩沼市の保健センターやデイケアセンターで活動を継続。
被災者が必要とするおむつや尿採りパッドやタオルなどを、自衛隊が管理する支援物資集積所から分けてもらい、避難所に供与。
この頃から救援物資が多く到着するようになったが、避難所では、菓子パンやお菓子があまるほど支給されるところもあれば、3食の食事がおにぎりか食パン1枚のどちらかという避難所もあり、救援物資に偏りが見受けられた。
東北の地域性か被災地によっては、地域内の人々が協力し合い役割担当を決めて活動している。ボランティアはまだ入っていない。
震災から10日後の状況
3月22日
■行政・医療関連支援の動き
- 厚労省が医薬品の不足の解消にむけ、医薬品運搬車両への制限無し給油を開始、さらに空路と海路も活用し輸送を実施
- 日本看護協会、災害支援ナースを被災地の医療機関や避難所に派遣
3月23日
■出来事
- 7時12分頃、36分頃、福島県いわき市で震度5強、推定M6.0の余震
- 18時55分頃、福島県いわき市で震度5強の地震。地震の規模はM6.0と推定
3月24日
■行政・医療関連支援の動き
- 名古屋大学病院の医療チームは、今後感染症が広がるおそれがあるため、被災地の衛生面の強化対策を求めた
- 東北自動車道は一般車両の通行止めも解除
- 日本臨床心理士会と日本心理臨床学会は、「東日本大震災心理支援センター」を開設。被災者の心のケアに携わる人たちを支援する。要請に応じて、心理支援チームも派遣し、日本赤十字社などの活動に参加協力する予定と発表
3月28日
■出来事
- 7時24分頃、宮城県石巻市で震度5弱、M6.5
■行政・医療関連支援の動き
- 日本オリンピック委員会が結成した救援医療チームが、岩手県大船渡市に向けて出発。整形外科や産婦人科の医師ら6人
3月20日
■出来事
- 10時10分、コスモ石油千葉精油所の火災が鎮火したと発表
■行政・医療関連支援の動き
- ボランティアナースの会、「キャンナス」、気仙沼に看護師を派遣
3月30日
■行政・医療関連支援の動き
- 厚労省は、理学療法士や視能訓練士について、被災自治体から要請があった場合、速やかに現地に派遣するよう、日本理学療法士協会など4団体に協力を要請
3月31日
■出来事
- 16時15分頃、岩手県花巻市で震度5弱、M6.0と推定

12都道府県の死者数と6県での警察への届出があった行方不明者数
次ページは「山﨑達枝さんの被災地活動リポート」です。
災害看護師・山﨑達枝さんの被災地活動リポート
3月22~29日
特に被害が大きかった石巻市、気仙沼市、陸前高田市などで活動。在宅ケアを受けていた患者さんの自宅を訪問し、現状を把握し、ニーズの収集に努めた。依然として電気が消えたままの状況が続いていた。
福祉避難所も十分に整備されてなく、マンパワーの不足で受け入れ体制が十分にできてない。病院から退院しても帰れる自宅がないためにまた避難所へ戻るなど厳しい状況である。
震災から20日後の状況
4月1日
■出来事
- 16時56分頃、茨城県鉾田市で震度5弱の地震。M5.0と推定
- 23時38分頃、福島県いわき市で震度4の地震。M4.9と推定
■行政・医療関連支援の動き
- 今年日本に派遣されるインドネシア人看護師候補者と介護福祉士候補者が、被災者への義援金約14万円をジャカルタの日本大使に手渡す
4月5日
■行政・医療関連支援の動き
- 国境なき医師団、心理ケアのため臨床心理士を派遣、活動開始
- 東北自動車道は一般車両の通行止めも解除
4月6日
■行政・医療関連支援の動き
- 厚労省、被災した人の医療費の自己負担分や介護サービスの利用料について、原則として全額国費で負担する方針を固めた。同様に医療保険と介護保険の保険料も国費で負担
4月7日
■出来事
- 23時32分、宮城県北部と中部で震度6強。M7.1と推定
■行政・医療関連支援の動き
- 7日、正午までにあったM5.0以上の余震は394回となった死者・行方不明者1人当たり、35万円を目安に遺族に配分すると発表
4月9日
■出来事
- 17時2分頃、茨城県で震度4の地震。M4.3と推定
- 18時42分頃、宮城県で震度5弱の地震、M5.4と推定
4月10日
■出来事
- 20時22分頃、福島県いわき市で震度4の地震。M4.1と推定
4月11日
■出来事
- 6時36分頃、福島県と茨城県で震度4の地震。M5.2と推定
- 13時51分頃、福島県で震度4の地震、M4.9と推定
次ページは「山﨑達枝さんの被災地活動リポート」です。
災害看護師・山﨑達枝さんの被災地活動リポート
4月4日~8日
宮城県災害保健医療支援室の知人の医師より県に入ってくる情報への対応の要請があり、宮城県庁内で活動。
福祉避難所も十分に整備されてなく、マンパワーの不足で受け入れ体制が十分にできてない。病院から退院しても帰れる自宅がないためにまた避難所へ戻るなど厳しい状況である。
宮城県内の避難所などからの情報が集約される。避難所内の人数が少なくなり、統合されたりしてきている。瓦礫の片付けによる埃などから風塵被害が心配である。避難所の代表者からはトイレが汚いのでそうじをしてくれる人、炊き出しを手伝ってくれる人、高齢者の方々を介護してくれる人等、なんでもしてくれる人をお願いしたいという要望がある。熱や下痢など、体調を崩している人の情報もある。
海外からの支援
3月12日
- 午前8時の段階で、世界50カ国が支援の申し出
- 韓国からの救助隊が羽田空港に到着、隊員5人と救助犬2匹の構成
- シンガポール隊到着、捜索活動に
3月13日
- ドイツやスイスの救助犬チームが成田空港に到着、バスで宮城県に向かう
- 中国からの救助隊受け入れ
- 米空母、東北沿岸海域に到着
- ニュージーランド先遣隊を派遣
- 米国際開発局(USAID)のレスキューチーム約150人が三沢基地に到着
- トルコ隊、岩手県内で活動
- 支援の申し出、69の国と地域、5つの国際機関
3月19日
- イスラエル、緊急医療チーム先遣隊を派遣。医師2人を含む3人で、宮城県栗原市に入る予定。被災地の状況やニーズなどを調査
3月26日
- イスラエル緊急医療チームが、同国を出発。震災被災地に外国政府が医療支援団を派遣するのは初めて。医師、看護師、薬剤師、通訳を含めて約60人。宮城県栗原市を拠点に南三陸町に仮設診療所を開設する
3月29日
- 宮城県南三陸町で、イスラエルの緊急医療チームが被災者の診療を開始
次ページは「山﨑達枝さんの被災地活動リポート」です。
災害看護師・山﨑達枝さんの被災地活動リポート
■2週間にわたる現地での活動でわかったこと
- 災害現場での調査やアセスメントを迅速に行うためには、それまでに蓄積してきたフェース・トゥ・フェースの関係が力を発揮する。
- 放射性物質などから自分の身を守りながら災害活動することが今後のテーマになるため、看護職は放射線の知識も必要になる。
- 寒冷、ストレスなどから肺梗塞症・感染症の増加などの2次的疾患の発症が多くなるのではと懸念される。
- 寒さ・低栄養などからくる関連死の防止に要注意。体調管理の指導が重要。
- 現場に行かなくても支援はできる。支援者が行きやすい環境をつくる、支援後に温かく迎えてあげる、近くに避難してきた方々をケアする、なども立派な支援。
- 避難所や福祉避難所では、支援者は被災者のところに行くアウトリーチをすべきである。構えて待っていては駄目。
- 被災者(特に子どもたち)への心のケアや学習指導はもちろん、ケアする側への精神的なケアも必要になる。
- 長期的な避難所生活が続くと、避難所内の人間関係が問題となる。避難所等で働く人々も被災者であり、圧倒的に支援者の不足が目立つ、行政の方々も被災を受けながらも頑張っている。この緊張感が取れたころ心身ともに限界になるのではないか。
- 避難所では、マネジメントの難しさと環境整備の大切さを痛感。共同体意識をベースに秩序だって役割を決めて運営している避難所もあったが、寝る場所と食べる場所が同じという避難所も。食事する場や運動スペース、個室スペースをつくるなどの工夫が必要。
- 避難所の環境を早期に整え、改善を図るには、外からの適切な人・物の支援が絶対に必要であり、組織的にさらに長期的な支援が必要である。
- 避難所や特別養護老人ホーム、職員。特に看護職の不足、ゆっくりとケアすることができない、手一杯である。被災地の支援者には休息が必要、やはり一刻も早い外からの支援が必要。
- 事前に避難訓練や受け入れ訓練等をしていたために短時間で避難できたケースや患者さんを無事に搬送できたケースを現地でいくつも聞いた。
- 主体は地元の人であり、地元の人ができることは任せるというスタンスが支援者には求められる。
(『ナース専科マガジン』2011年6月号より転載)
次回は、「被災地の現状を知ろう」です。
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