
本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。
乳腺炎は遭遇しがちな疾患
乳腺炎は、授乳中の女性でしばしば遭遇する疾患です。産後3ヵ月までに10人に約1人、全授乳期間では3-4人に1人はかかります。主な原因は母乳を適切に乳房から排出できないことです。
母乳は無菌ではありませんが、効果的に分泌されていれば、細菌も外に流れ出ます。しかし、母乳がたまってしまうようだと乳腺腔内に残り、細菌増殖に好ましい環境ができてしまいます。
また、母乳がうっ滞することにより乳腺腔内圧が持続的に上昇します。このため分泌細胞が圧迫されて平坦化し、やがて密着結合(tight junction)がこわれてしまいます。その結果、乳腺組織に炎症反応を引き起こすのです。
対策の原則は、罹患した部位からよく母乳を出すことです。
授乳前に暖かいおしぼりなどで乳房を暖めると射乳反射が起きやすくなります。吸着が困難なほどの痛みがなければ乳腺炎にかかった乳房から授乳し、赤ちゃんにしっかりと飲みとってもらいましょう。
母親が心地よいと感じるのであれば、授乳と授乳の間に冷たい圧迫をくわえてみてもよいでしょう。
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