
「ありがとう」の一言は、相手のやる気を引き出し、働きやすい環境づくりにつながります。
とはいえ、その一言がなかなか言えないのが現状です。「ありがとう」がよい循環を生み出している「奏の杜耳鼻咽喉科クリニック」のケースを紹介します。
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看護師のコミュニケーションとマナー
「ハイ」よりも「ありがとう」がもたらす効用
開業からまもなく2年を迎える当クリニックでは、感謝の気持ちを表す言葉の「ありがとう」がスタッフ間で飛び交っています。単純なことですが、例えば患者様が来院し、私たちスタッフが診察前に問診し、問診を済ませたカルテを院長の隣にいる秘書に渡します。次々と手渡すのですが、そのたびに「ありがとう」という言葉が返ってきて、私たちも「ありがとう」と答えます。
普通は「ハイ」と渡して、「ハイ」と受け取るところですが、「ありがとう」の言葉でやりとりをすると、こちらも相手も気持ちがよくなるのです。
インフルエンザや花粉症が流行する時期は患者様で混み合い、スタッフも大忙しになるのですが、そういうときほど「ありがとう」が増え、忙しさによるギスギスした雰囲気をスムーズに変えているような気がします。
≫次ページは、『気持ちよくなり、自然と広まっていった「ありがとう」』です。
気持ちよくなり、自然と広まっていった「ありがとう」
「ありがとう」がクリニック内で言い交わされるきっかけは、ごく自然なことでした。
当クリニックには、院長が「本当によいクリニック」をめざして「4つの誓い」という医療理念を掲げているのですが、その一つに「私たちはすべての人のおかげで今があることを知り、常に感謝の気持ちを忘れません」と、「感謝」を挙げています。
だからといって、スタッフ間で「ありがとう」を言い合おうと準備したわけではありません。たまたま、開業当初に入ってきたスタッフの中に「ありがとう」が自然に出てくる人が数人いたのです。
仕事中に彼らから「ありがとう」と頻繁に言われると、なんだか気持ちがよくなりました。自分ももっと言ってみようと「ありがとう」を口にすると、自分の気分がさらによくなります。
「ありがとう」という一言には、言う人も言われる人も気持ちよくさせる働きがあることに気づき、スタッフ間に自然に広まっていきました。しかし、スタッフ間のコミュニケーションで問題がなかったわけではありません。
例えば、あるとき、院長が一人のスタッフに注意したところ、本人としてはショックだったのでしょうか、むくれてしまったのです。その後、目を合わせたり笑顔で話をしてくれることがなくなり、このスタッフとほかのスタッフの間では「ありがとう」が出にくくなってしまいました。
誰からも注意されなくなると、小さなミスが増えるようになり、あるとき大きなミスへとつながる悪循環に陥り、人間関係がぎくしゃくしてしまいました。
あえて感謝を表現する行動の大切さ
そこで気づいたのが、気持ちをシャットアウトされる前に、スタッフの表情が硬くなるなどのちょっとした変化を見逃さず、こちらから「何かあった?」などと声をかけていくことが大切だということでした。
院長も同様に、「スタッフに対して『このクリニックで働いてくれてありがとう』という気持ちで接することが大切なのだと、あらためて気づかされた」と言っています。
単に「ありがとう」を言葉のうえで連発するのではなく、心から感謝の思いを伝える気配り、そしてそれを表現する行動が大切なのだと痛感した出来事でした。
現在は、院長もスタッフ間も互いを思いやり、とても風通しのよい人間関係ができ上がっています。そんなスタッフのよい雰囲気が患者さんにも伝わっているのでしょう。患者さんの増加など目に見える成果に現れ、それが私たちスタッフのやる気にもつながっています。
「ありがとう」のひと言がよい環境をつくり、潤滑油としてよい循環に役立っていることをとてもうれしく思っています。
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