寉見康子
取材者の記事一覧看護師を志したきっかけ
小さな頃は保健室の先生になりたいと思っていたんです。学校で体調が悪くなって保健室に訪れた時の安心感や、先生がずっと傍に付いていてくれたという信頼感がずっと印象として強く残っていたんですよ。その時の想いは、将来を考え始める年齢になってもブレませんでしたね。
看護師になるために看護師免許を取る必要があるということを知って、じゃあ看護学校に入ろうと思いました。「誰かのために何かしたい」という思いが私の看護を志す原点だったんです。 入職してからはこの病院一筋です。
働き始めてからというもの、患者さんから頂く学びや支えがどんどん増えて、愛着が湧き出る一方で。他院に行ってみたいと思ったことも少しあったけれど、自分の好きな看護がここで全うできるから不安はなかったです。それに、私は子ども3人を育てながら働いてきたんですが、そういう働きやすさも看護師を続けてこられた理由ですね。
ちょうど、最初の子どもを産んだ年に病院に保育所が出来たんですが、私よりも上の世代になると、出産を機に離職せざるを得ない人がほとんどだったんですよ。だけどその先輩たちの尽力のおかげで、子どもを育てながら働く女性に対して、社会全体がバックアップ体制を取るようになった。私はその恩恵を受けられた世代なんです。自分の成長と、社会の成長の歩調が合っていた。幸運でしたね。
自身の看護観
入職以来ずっと、「その人らしさ」を大切にした、患者さん一人ひとりの心に寄り添って対話をするような看護を心がけてきました。そのために必要なのは、「ゆとりある心」ですね。たとえば、看護師はどれだけ忙しくても患者さんにそれを見せるべきではないと思っています。
忙しそうな看護師に向かって、患者さんは頼みたいことを頼めないですから。そして、そういう「忙しそうに見せない」ことこそが、「ゆとりある心」の表れだと思うんです。
この看護観の実現のためには、「自分は何をする人なのか」を自覚して動くことが大切だと思っています。例えば、急性期病院は病気や怪我を治療するところ、当院のような慢性期病院は治療を繰り返す患者さんの心身のケアをするところという違いがありますよね。
身体だけではない、心だけでもない、その両方をケアすることが私の仕事。それを自覚すること、実践することで、看護観を具体化するようにしています。
新戸塚病院のこだわり
老年期看護のエキスパートになってもらうこと。これがこだわりですね。そのためのしっかりした研修制度がありますし、時間をかけたプログラムの中で皆のびのび育ってくれています。
また、看護体制も固定チームナーシング制で、チーム全体で患者さんを看るので、それぞれの看護知識や情報の交換が盛んに行われますね。 「療養環境で看護力の向上は望めないのでは?」なんて心配する向きもあるでしょうが、うちではそれは杞憂なんじゃないかなと思います。
急性期の病院を経て当院に来た看護師長も言っていました。「慢性期の病院だからって、自分の看護力を卑下する必要ない。もっと自信を持ってもらいたいな。だって、こんなにも患者さんが喜んでくれているんだから」って。そういう師長たちの言葉が、看護師たちの勇気と自信に繋がっています。
慢性期ケアならではの認定、たとえばリハビリや、皮膚排泄、摂食嚥下障害看護の認定を目指していく看護師を組織で支援していきたいです。以前までは知識や経験を得るために当院を飛び立っていく看護師が多かったですが、最近は「ここでエキスパートにチャレンジしてみよう」という風潮もでてきているんです。
それでも…どうしても「自分の好きな看護がここでは出来ない」という人もいますよね。やっぱり急性期がやりたいとか小児科をやりたいとか。そういう人にも、私は「ここで得たフィジカルアセスメントを十分活かしてね。ここで学んだことは絶対に役立つから」って言ってあるんです。
自信がない看護師がいるなら、ここで自信をつけて飛び立ってくれてもいい。もちろん、仲間や師長との信頼関係があることが前提ですけれど…。え、欲がないって?でも…この新戸塚病院だけに看護師がいればいいってわけではないですから。それに、そういう人が外で活躍すれば、中の皆にとっても大きな自信になりますし。母校の後輩を「あなたもここで勉強しなさい」って繋げてくれたり、なんてこともありますしね(笑)
ともに働きたい看護師の人物像
老年期看護が好きな人であってほしいです。今日までこの国を支えてくれた、偉大な先輩方へ敬意を持って対峙(たいじ)してくれる人ですね。
老年期特有の加齢現象は、身近にその世代の人でもいない限り実感しがたいものです。特に認知がある方に対して尊厳を保つのは、なかなか難しいことかもしれません。それでも、その患者さんの一つひとつの言動について原点探りをしてほしい。
「なぜこの人は子ども還りをするようになったのか?」
「なぜこの人は同じ言葉を繰り返すのか?」
常にそういう風に考えられる人であってほしいですね。もちろん、考えてもすぐには答えに辿りつけないでしょう。 それでも逃げずに根気よく向き合って、その患者さんが今の状態に至るまでにあった「人生」を繋げて考えられる人たちが集まってくれればいいなと思います。
私は、今でこそこうして部長職に就いていますが、ほんの1年前まで仲間の看護師たちと一緒に働いていた現場人間。 そんな「新人看護部長」の強みとしては、現場に対する深い理解の基に、現場の意見を出来るだけ柔軟に取り入れていくことだと思うんです。
働く環境で何か困っていることがあるのであれば、それをどんどん改善していきたい。患者を支える現場スタッフがいて、その現場スタッフを支えていくのが、今後の私の役割だと思っています。のびのびとした環境で、患者さんのその人らしさを大切にした看護を、ぜひ実現していきましょう。一度、新戸塚病院を見に来て下さい。
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