【重要】WEBサイトのリニューアルとドメイン変更のお知らせ

訪問看護師|関口優樹さんのサムネイル画像
編集
ナース専科WEB編集部のプロフィール画像

ナース専科WEB編集部

編集部

編集者の記事一覧
新卒でウィル訪問看護ステーションに入職した関口優樹さん

新卒でウィル訪問看護ステーションに入職した関口優樹さん

看護師のさまざまな働き方を紹介するコーナー。第3回は、新卒で訪問看護師の道に進んだ関口優樹さん。現在で3年目の関口さんに、ここに至るまでの経験や苦労、やりがいを聞いてみます!

訪問看護師とは

名前の通り訪問する看護師のことで、利用者さんのご自宅にうかがい看護を行います。訪問看護師の多くは、訪問看護ステーションという事業所に所属しており、事業所には人員基準として2.5人以上の看護師が必要とされています。訪問看護師の平均年齢は、全国でみると約47歳ですが最近は若手の看護師も多くなってきています。

訪問看護ステーションから利用者さんの自宅に行くことは、看護師が、ナースステーションから患者さんのいる病室に行くのと同じイメージとして捉えるとわかりやすいでしょう。

訪問看護師は自宅でどんなことをしているのですか?

よく聞かれますが、できることは病院でも訪問先でも同じです。もちろん病院のように医療機器が豊富にあるわけではなく、手術をしたり頻回な検査はできませんが、利用者さんの状態を観察し、変化や徴候があればアセスメントし、必要があれば医師や他職種につなぎます。

よく行っているケアは排痰ケア、呼吸器の管理、点滴などの輸液管理、摘便などの排便コントロールです。多くはありませんが、輸血をする方もいます。障害をもったお子さんの場合は、入浴介助もよくあります。

どんな利用者さんが対象になるのか

生まれてすぐのお子さんから、成年、老年、看取り、精神疾患をもつ方など、すべての人を対象としています。私が勤める江戸川区のウィル訪問看護ステーションの場合は、小児や精神疾患の利用者さんが比較的多くいます。全体で小児2割、精神3割ぐらいでしょうか。これはおそらく、区内で小児や精神疾患の利用者さんを受け入れる事業所が少ないためだと思います。

精神疾患では、統合失調症、うつ、躁鬱病、発達障害などが多いです。小児では先天性の難病が多く、呼吸器を装着している割合が高いため、医療処置が多くなりまです。

どんな利用者さんが対象になるのか

小児や精神の利用者さんを受け入れる事業所が少ないのはなぜですか?

小児は成長発達に応じたケアが必要で、精神疾患にも専門的な知識やケアが必要になるからです。

小児は成長発達に応じたケアが必要で、精神疾患にも専門的な知識やケアが必要になるからです。

受け入れ手が少ないのは困りますよね。

受け入れ手が少ないのは困りますよね。

そうですね。

そうですね。最近は小児や精神に特化した訪問看護ステーションも増えてきましたが、まだまだ少ないのが現状です。

病院の看護と訪問看護との違い、役割や必要とされる視点とは

病院の看護と訪問看護の違いは何ですか?

病院との違いは2つあります。1つは、利用者さんからもよく聞く言葉ですが、「入院生活は自由が少ない」ことです。テレビを好きに見られない、他の患者さんに気を遣う、好きなときに好きなものを食べられないなどです。当然ですが、家の方が自由に過ごせますよね。

2つめは、病院では治療がメインの目的ですが、訪問看護では療養や生活のほうがメインになってきます。

例えば、糖尿病の場合、病院では食事制限をすることがあります。もし患者さんが好きなだけ食べていたら、看護師としては制限の必要性を説明したり、ときに注意しなければなりません。しかし在宅では、「あれもダメ、これもダメ」と制限などしきれませんし、長い目でみて制限した生活が続けられるとは思えません。他にも、転倒リスクが高くても本人の歩く意欲が高ければ、環境調整や補助具を検討しつつ、なるべく本人が自由に過ごせるように整備してきます。これが病院と在宅の違いになります。

訪問看護師の役割はどのようなものだと思いますか?

病状コントロールをしながら本人の望む生活と調整していくことです。本人の意向は大事ですが、あくまで病状コントロールが土台にあってこそ。意向を優先することが大きなリスクにつながる可能性があれば、それを説明してすり合わせます。管理するのではなく、思いを傾聴して叶えるために本人ができることを一緒に考え、病状と照らし合わせてマネジメントしていく。それが訪問看護師の役割だと思います。

他職種と連携をとることも役割の1つです。例えば、訪問看護師よりも頻回に利用者さん宅を訪れているヘルパーさんがいるなら、「熱が出たときはこれ飲ませてください」「痛みがでたときはこの湿布を貼ってあげてください」などと、対応に困りそうな場面を予測してお伝えしていきます。また、利用者さんの日々の細かい変化を教えてもらったりもします。

訪問看護師ならではの視点を教えてください

「利用者さんと家族の生活が成り立っているか」を見ていきます。例えば痛みがある場合、病院では痛みの原因や治療も考えていきますが、在宅では生活のどこにどれだけの影響があるのか、本人や家族にどんな困りごとや不安が出ているのかに焦点を当てます。

足が痛くてトイレまで歩けず、介助のために夜中に家族が起こされて困るなら、ポータブルトイレを部屋に置く提案をするなどです。家族は利用者さんと密接に関わる存在であるため、在宅では家族看護も非常に大切です。

訪問看護師ならではの視点を教えてください

本人や家族の思いを聞き出すために工夫していることありますか?

対話しかないですね。

対話しかないですね。ひたすら「なんで?」の連続になります。

本心を引き出すために質問を重ねるんですね?

本心を引き出すために質問を重ねるんですね?

そうですね。

そうですね。家族への遠慮などから、本心をなかなか言い出せない方もいますから。

例えば、利用者さんが入院から退院するとき、施設へ帰るか家に帰るか選択することがあります。

利用者さんは家に帰りたいと言い、その理由が「家族に会えるから」だったとします。そんなとき「じゃあ家の近くの施設に入って、家族が毎日面会に来てくれたらいいかな?」と聞いてみると、「家族と今まで過ごした時間があるから、あの家がいい」など、もっと本質的な理由が出てくることがあるのです。それを聞くことで、本人がどこに重きを置いているかを知っていきます。

しかし一方で、家族が受け入れられないケースもあります。本人の希望を優先したくても看るのは家族。だから対話を何度も重ね、両者の落としどころを見極めていくのが仕事の1つでもあります。

ウィルの特徴を教えてください

ウィルの特徴を教えてください

関口さんが働くウィル株式会社の皆さん(写真提供:ウィル株式会社)

一番の特徴は24時間365日対応していることです。利用者さんからの緊急コールも受けています。24時間・365日体制の事業所は少ないため、地域のケアマネさんからは「土日にやっているステーションがあって助かる」と言ってもらえています。また、先ほどもお話ししたように、小さな子どもから大人、高齢者、精神疾患をもつ方など、幅広い対象を看ていることも特徴です。

私たちウィルの理念は「全ての人に家に帰る選択肢を」です。ここでいう「全ての人」には、病院から帰したいけど帰せない患者さんだけでなく、医師や地域のケアマネさんなども含めています。医療従事者も利用者さんも含めた「全ての人」に、家に帰る選択肢をつくっていきたいと思っています。

まだ訪問看護ステーションは少ないのが現状です。そこで、「家に帰る選択肢」という資源を社会に増やしていきたい、という意味もあります。選択肢といっても、家がすばらしい、家が一番良い、というわけではなく、なかには病院にいるほうが安心という人もいます。本人がどちらを望んでるかを大事にしています。

他にも特徴はありますか?

緩和ケア、摂食・嚥下障害看護といった認定看護師、在宅看護、家族支援、小児看護、精神看護といった専門看護師、さらにナース・プラクティショナーなど、高い専門性をもつスタッフが多いことです。このスタッフたちは全国にあるウィルグループ内で相談チームを組み、社内用SNSを通してスキルや知識の共有をはかったり、困ったケースの相談を受けたりもしています。

これらの資格は、ウィルに就職する前に取得した人もいれば、一時的に退職し取得してから戻ってきた人、働きながら取得した人もいます。こういった資格を取ることを事業所としても推奨してます。

また、スタッフの平均年齢が30代と若い、男性が多い、スタッフの人数が多いことも特徴です。

他にも特徴はありますか?

活気のあるメンバーが集まっている感じがしますね。採用担当者の腕がいいのかな?

就職希望者が見学に来たり面談することになったら、できる限り多くのスタッフで会うことにしているんです。

就職希望者が見学に来たり面談することになったら、できる限り多くのスタッフで会うことにしているんです。

珍しい方針ですね。

珍しい方針ですね。例えば何人くらいですか?

この前は見学者をスタッフ4人で囲んで、代表はオンラインで繋がった状態で面談しました。

この前は見学者をスタッフ4人で囲んで、代表はオンラインで繋がった状態で面談しました。いま、うちの方針としては、採用は全員で決めることにしているんです。

関口さんの働き方[ある1日]

緊急コール当番の日

08:00起床(家から職場までは5分)
09:00出社後、すぐに1件目の訪問先へ(30分の訪問)
10:002件目を訪問(60分の訪問)
11:303件目を訪問(40分の訪問)
12:30休憩(ステーションや自宅へ帰って昼食。たまに外食することも)
13:304件目(60分の訪問)に出発
15:005件目(60分の訪問)
16:306件目(30分の訪問)
17:15ステーションに戻る。利用者さんの状態に変化があった場合など、サービスの調整のために利用者さんに電話で連絡。スタッフ間で利用者さんについての相談を行う。週1回はミーティングもある。
18:00帰宅
18:30夕食
20:00お風呂
21:30勉強
22:00読書や動画を見るなどして過ごす
24:00就寝
関口さんの働き方[ある1日]

ウィルでは、利用者さんのお宅への直行・直帰はOKです。対象エリアはかなり広く、利用者さんの家は一番遠いところでは、自転車で30分ぐらいかけて移動します。運転ができる人はバイクや車で移動することもあります。小児の利用者さんはケアが多いので、ケアに1時間以上かかることもあります。
緊急コールは当番制です。私のステーションはスタッフ数が多いので、月2回ぐらいの当番になります。他の事業所では2~3日に1回程度が多いようです。当番の日であれば、必要があれば夜間でも利用者さん宅を訪問します。実際に訪問まで行うのは、ウィルの事業所全体で月10件ぐらいです。

医療依存度が高いケースが多い小児の訪問ではケアが多くなりがち(写真提供:ウィル株式会社)

医療依存度が高いケースが多い小児の訪問ではケアが多くなりがち(写真提供:ウィル株式会社)

訪問看護師にはどんな人が向いている?

向いている・向いてないはあまりないと思っていますが、あえていうなら向いてる人は、本人や家族の立場に立ち、思いを汲み取れる人ですね。こうして信頼関係が築ける人が向いてると思います。

向いていない人は、強いていうなら管理的なタイプの人でしょうか。訪問看護師は、利用者さんの生活の場に入るので、例えば病状コントロールに目が行き過ぎて管理的になってしまうと、本人から拒否されて信頼関係が築けなくなります。特に在宅では信頼関係がないと成り立たないことが多いのです。

ただ、利用者さんとの相性もあります。もっと指導してほしい、というやる気のある利用者さんには管理的な人と相性がいいかもしれません。そう考えると、相手がどういう人かを見極めて対応できる人が向いているのかもしれません。

同僚や先輩の訪問看護師には、どんな経歴の人が多いですか?

ウィルにとっては、私が初の新卒入社だったので、同期はいないのです。先輩には、認定・専門看護師の人が多いのですが、経歴はバラバラです。消化器外科、循環器科などで働いていた人や海外で医療を学んだ人など、いろいろな職場を経験してる方が多いです。

少し珍しいタイプでは病棟やオペ室で働いたあと、ワーキングホリデーで海外に行き、ツアーナースとして働いたり、ディズニーリゾートの救護室で看護師として働いた人もいます。たくさんの経験を積んでいるので利用者さんとの会話でも話題が尽きない先輩ですね。在宅での雑談力はとても大事だと思うので、すごいなと思います。

同僚や先輩の訪問看護師には、どんな経歴の人が多いですか?

雑談力が意外に大事なのですね

趣味でもいいので、いろいろな話題を持っている人は強いですね

趣味でもいいので、いろいろな話題を持っている人は強いですね

強いとは?

強いとは?

コミュニケーションをとるのが上手で、信頼関係も築きやすいんです。

コミュニケーションをとるのが上手で、信頼関係も築きやすいんです。

どんなスキルアップ・キャリアアップの道があるの?

スキルアップにはどのような道があるの?

基本的に病院勤務の看護師と変わりなく、専門や認定看護師の資格を取りにいくことも1つの道です。在宅看護の現場では、嚥下障害や皮膚ケアに関する対応が多いので、その分野を学びに行く人が多い印象です。訪問看護の経験が5年以上あればケアマネジャーの資格を取ることもできます。看護師でケアマネジャーを持ってると、利用者さんの身体のことも介護保険制度のこともわかり、強いと思います。

他には、訪問診療をしているクリニックに転職し、訪問看護のスキルを活かしてる人もいます。病院で退院支援や地域包括支援に関わることもできると思います。

キャリアアップにはどのような道があるの?

一般的には事業所の管理者になることでしょう。ただ、ウィルは全スタッフのフラットな関係を大切にしているので、社長が管理者的なことをしてはいますが、他に管理者は立てていないのです。基本的に、それぞれの個人の強みを活かしていくために、「役割はあっても役職はつけない」をスタンスにしています。そうですね。ウィルでは専門や認定看護師の資格を取って、相談支援チームに入ることがキャリアップの1つになると思います。

もう1つは訪問看護ステーションを立ち上げることですね。起業することもキャリアアップの1つになると思います。

ここまで、訪問看護師という仕事について伺いました。後半は、関口さんの人物像に迫ります!

キャリアアップにはどのような道があるの?

先輩と訪問先へ向かう関口さん(写真提供:ウィル株式会社)

社会的マイノリティや多様性について学び訪問看護の道へ

改めて、関口さんいついて教えてください

看護師を目指したきっかけは、母親が看護師だったことです。小さい頃から、なんとなく看護師になりたいと思ってました。高校生のとき、職業体験でも母の勤める病院へ見学に行きました。カウンセラーにもなりたかったのですが「看護師なら心も身体も看ることができる」と母に言われて納得したところもあります。

高校生のとき東日本大震災があり、災害時のメンタルヘルスに関わるDPAT(災害派遣精神医療チーム)にも興味をもちました。なので、大学は看護学部の災害看護コースに進みました。私は茨城の田舎で部活しかやってこなかったうえ、コミュ障だったので、いろんな人に会って、いろんなことを知らなきゃ成長できないと思い、入学後はいろいろな学生団体や外部活動に参加しました。

いろいろな場でいろいろな人に出会っていくなかで、自分のやりたい看護や大切にしていきたい価値観を見つけていったように思います。

訪問看護師を選んだ理由を教えてください

学生時代の活動を通して「困難を抱えながら、いかによりよく、幸せに生きていけるか」を考えていきたいと思ったのです。医療系学生団体の交流サークルで、多様性に関するテーマとして岡山のハンセン氏病の施設に行く機会がありました。正直、ハンセン病のことも全然知りませんでしたからショックを受けました。そこからLGBTやホームレスなど、社会的マイノリティのことをもっと知りたいなと思うようになりました。

その後、社会的マイノリティに焦点を当てるメディアで、インターンシップを経験させてもらいました。重症心身障害児、その地域支援をしている人などたくさんの人と出会い、いろいろな人生観や考えがあることを知ったのです。そんな学生生活を送るなかで、どれが良い・悪いではなく「それぞれを大事にする看護がしたいな」と思いました。

病院勤務の看護師は違うと思ったのですか?

新卒では病院勤務を前提としている学校では、病気を治すための勉強や、ケアの勉強が中心です。病気を抱えながらいかに生きていくか、その生活について学ぶ機会は少ない。例えば、治らない病気に罹り、治すことに執着すれば永遠につらくなるじゃないですか。私は、それでもいかに幸せに生きていけるか? それを抱えながらも、どうしたらよりよく生きていけるか? を考えていきたくて、生活の場を支えていく訪問看護師になろうと思ったのです。

病院勤務の看護師は違うと思ったのですか?

直行・直帰もOK。バイクで訪問先へ向かうスタッフ(写真提供:ウィル株式会社)

はじめは新卒で訪問看護ができるとは思っていなかったのですが、3年生のときに新卒で働いている看護師に出会ったんです。そこから全国新卒訪問看護師の会(https://freshvisitingnurse.themedia.jp/)というものを知り、参加してみました。実際に新卒で訪問看護師として働いている人から話を聞いて、私の理想に近い仕事だと思えました。

でも、母には「大丈夫なの?」と最初は反対されました。母は病棟を経験してきているので、今でも「今からでも病院に行きなさい。病状や治療の現場が見られないと危ないでしょ」と言われます。一理あるとは思いますが…。

学校の先生はどんな反応でしたか?

学校の先生はどんな反応でしたか?

応援してくれる先生もいましたが、心配する先生もいました

応援してくれる先生もいましたが、心配する先生もいました

訪問看護は増えてるけど、新卒でなるっていう選択肢はまだまだ馴染みがないんでしょうね

訪問看護は増えてるけど、新卒でなるっていう選択肢はまだまだ馴染みがないんでしょうね

ウィルを就職先として選んだ理由を教えてください

就職活動でたくさんの事業所を見て回りました。ウィルはそのなかの1つです。最初に惹かれたのは「全ての人に家に帰る選択肢を」という理念でした。インターンシップとして5日間、現場に入って、スタッフや利用者さんもしっかり見ることができました。理念にそった働き方をするスタッフの姿を見て「ここで働きたい! この人たちと働きたい!」って思えたんです。

また、最初の就職先では、リハビリ中心より、より医療的なことを多く学べるステーションがいいなと考えていました。ゆくゆくは小児や精神疾患の利用者さんも看てみたかったので、なるべく医療的視点が学べるところがいいなと思ったんです。その点でウィルはぴったりでした。

訪問看護師として入職する前と後でギャップはありましたか?

インターンシップを経験していたのでギャップはありませんでしたが、すごく不安ありましたね。新卒かつ同期がいなかったので、成長のレベルを比較することもできず、「私、今どれぐらいのペースで前に進めているんだろう?」「これでいいのかな?」と悩むことが多かったです。むしろ何がわからないかも自分でわからない状態でした。

私の場合、最初の壁は、先輩に質問することや誰かを頼ることでした。「当たり前のこと聞いちゃったかな?」とか、「自分でちゃんと調べてから聞くべきかな、ちゃんと完璧に準備してから質問しなきゃ」と思うと、どんどん質問できなくなるし、学びも遅くなってしまって…。私自身の性格的なところもありました。先輩から「どんどん質問してね」と言わると、その優しさや励ましの言葉がかえってしんどく感じてしまうこともありました。

訪問看護師として入職する前と後でギャップはありましたか?

なぜ励ましの言葉がしんどく感じてしまったんですか?

先輩たちが優しすぎて逆につらくなったんです。

先輩たちが優しすぎて逆につらくなったんです。

え、なぜ?

え、なぜ?

病院に就職した他の友人たちはすごく頑張っていて、ときに理不尽なほどの指導を受けたり、難しい患者さんの対応にもあたっていて、大変な目にあっている。でも、私はこんなに恵まれた環境で育ててもらってるのに、なんでこんなポンコツなんだろう、って。当時は自分を責めるしか方法がなかったんです。「こんなに優しい先輩たちなんだから、頑張らなきゃ」と思っても、頑張り方もわからなくて。新卒の同期がいなかったので、比較できるモデルがいなかったのもあるかもしれません。

それからは意識して質問したり、先輩を頼るようにしました。こんなこと聞いても大丈夫なんだ、っていう成功体験を重ねました。「そもそも自分から聞かないと、何に困っているのか先輩たちもわからないよな」ということにも気づきました。それに、先輩たちはみんな教育好きで優しいんです。

今の仕事の楽しさ、やりがい、醍醐味は?

やりがいばっかりです。利用者さんの生活を一緒に考えられるのは楽しいし、そこがやりがいかもしれません。江戸川区ならではかもしれませんが、キャラの濃い利用者さんが多いんです。

旦那さんは認知症が強く、奥さんは割としっかりされているご夫婦がいるのですが、夏場にクーラーが壊れて扇風機だけで生活していたところ、旦那さんが寒がりで扇風機のコンセントをいちいち抜いてしまうんです。奥さんは暑がりなので「私、殺される」とまで言っいて。そこで「抜かないで」という張り紙をコンセントの横に貼ってみたり、コンセントが抜けないようにテープで巻いたりして対応し、なんとか解決することができました。奥さんが旦那さんに文句を言うとケンカになるので、私のような第三者が入ったことも良かったのかもしれません。

看護師って病状のコントロールだけでなく、こういった生活のトラブルにも対応できるんです。生活のトラブルに対応できるサービスって、意外とないんですね。このご夫婦は私が新人の頃からかかわっているので、なんでも相談してくださいます。それが素直にうれしいですよね。

利用者さんとのエピソードで心に残っているものは?

軽度認知症のある方で、腹膜透析を限界量までしている利用者さんがいるのですが、次の治療を血液透析に切り替えるかどうかを検討する段階にきているんです。家族を含めて話し合いたいのですが、私が訪問するとき家族は仕事などで不在で。血液透析になると医療機関に通わなければならず、移動方法や透析する時間、負担を考えると、本人の体力や気力がもつかわからない。本人も血液透析になるのは嫌、とおっしゃるので、どう意思決定していけばいいのか考えている最中でした。

もともと、訪問看護を始めた当初、私は入浴介助で訪問していたために、看護師ではなくお風呂屋さんと認識されていたみたいで、深い話はあまりしてくれず、関係も構築されていない状態だったのです。半年ぐらい前から、腹膜透析も看るようになり、透析している間は時間があるので、ゆっくり話すことができるようになりました。するとだんだん心を開いてくれるようになり、昔のアルバムを見せてくれたり、家族を大事にしていることや、仕事に誇りをもっていたことを話してくれるようになりました。今は体重60kgぐらいなのですが、働いてた頃は90kg近くあったようで、その頃の写真を見ながら盛り上がったこともありました。

その方のこれまでの背景や大切にしたいことを聞きながら、治療の選択を今も共に考えています。もちろん揺れ動くものなので、そのつど、ご本人の希望を確認しながら。これが訪問看護の醍醐味かもしれません。

これからの目標や希望を教えてください

しばらくは訪問看護をしつつ、訪問看護師以外の形でも地域に携わっていければと思っています。いまは訪問看護師―利用者―家族という「線のかかわり」がメインになっていますが、点や線を増やして拡げていきたいです。その一環として、休みの日に地域でコミュニティイベントのようなものをやっています。認知症の方と子どもたちとの料理教室とか、車イスに乗って町中を散歩する体験イベントとか。いろいろな人が繋がっていく機会を生み出すのが趣味みたいになってます。

自分でイベントを主催しているのですか?

そうです。例えば、高齢者と子どもたちが触れ合う機会ってなかなか少ないですよね。おじいちゃんや子どもたちが触れ合うなかで、面白い場面やいい表情を見れるのがとても好きなんです。そういうものに携わりたいと思っています。

以前、認知症カフェも企画しました。サポートスタッフとともに認知症の方たちにウェイトレスをやってもらうカフェです。注文を間違えたりしますが、そんなトラブルもみんなで楽しむんです。なかにはウェイトレスをやっていたはずなのに、いつのまにかお客さんとしてテーブルに座ってケーキを食べてるおばあちゃんもいて、なんだかほっこりしました。すごく盛り上がりましたね。

自分でイベントを主催しているのですか?

主催ってことは自分で企画を持ち込むの?

そうです。

そうです。近所のカフェや、自立生活センターに乗り込んでお願いしてます。

行動力ありますね(昔、先輩に質問できなかったってウソじゃないのか?

行動力ありますね(昔、先輩に質問できなかったってウソじゃないのか?)

訪問看護に関心をもつ新卒予定の読者にアドバイスをお願いします

やりたいという思いがある人はぜひチャレンジしてもらいたいので、勧めます!

よく「全部の診療科を経験しないと訪問看護はできない」と言われるのですが、新卒で何科も経験していない私でもできています。先輩たちも1つの科しか経験してない人もいます。だから大丈夫です。

ただ勤務するステーションはちゃんと選んだほうがいいですね。ステーションによっては、いきなり独り立ちさせられることもあるようです。

新卒で訪問看護師になるなら、医療依存度が高い利用者さんを多く受け入れている事業所を勧めます。また、教育に割けるスタッフ数がいるかどうかも大事ですね。そのマッチングがうまくいけば、どの科も経験していなくても大丈夫だと思います。

それでも、私がこの2年間働いてきて思うのは、「看護って大変は大変」。それは病院も訪問看護も変わらないと思います。新卒の時期は、どっちにしてもつらいこともあるので、やりたいことをやるほうがいい。だから新卒でも訪問看護がやりたければぜひ、挑戦してもらいたいです!

square_235382_icon1

訪問看護に行くなら最低5年の臨床経験がいる! 新卒では無理! なんて話をよく聞いてきましたが、もはや看護界の都市伝説になっていくかもしれません。これからは新卒で訪問看護に進むことが当たり前になるかもしれませんね。自分の価値観を知り、なりたい姿を目指して行動してきた関口さん。今後の活躍が楽しみです!

\ この記事をシェアする /

この記事に関連する記事