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外科病棟看護師|西井 茉実さん

外科病棟看護師|西井 茉実さん

看護師のさまざまな働き方を紹介するコーナー。第9回はなんとなく進学した看護大学の実習で出会った患者さんの急変、希望していなかった外科への配属、同期の退職など、さまざまなピンチのなかで外科の面白さに気付いた西井さん。そんな西井さんが、ここに至るまでの経緯や苦労、やりがいなどを聞いてみます!

配属科をお教えください。外科病棟とはどんな病棟ですか?

混合外科です。メインは消化器外科で、泌尿器科や脳腫瘍外科も看ています。当院では消化器外科と泌尿器科の手術が多いです。悪性リンパ腫がある人の精密検査を目的とした手術も行っています。検査を終えて診断がついたのち、他の病棟(血液腫瘍内科など)に転棟する流れです。内科病棟との違いは、手術があるので手術前後の看護がメインになってくることです。

どんな患者さんを対象としていますか

消化器外科がメインなので、大腸がんを主としていますが、その他腫瘍性大腸炎やクローン病など難病疾患の治療、虫垂炎などです。手術や、手術前後の補助療法としてがんの化学療法も行っています。基本的に70代以上の患者さんが多いのですが、10~30代の患者さんもいます。

高齢者が多いので、最近は慢性期や回復期リハビリの役割も担うようになりました。また、独居や独り身、経済的に厳しい人などへ療養についての退院支援も行っています。緩和ケアの患者さんが入院してくることもあります。

外科病棟における看護とは何だと思いますか?

外科のため手術を受ける患者さんが多く、不安な思いを抱えている人が多いです。そのため、できるだけ不安を軽減して手術を受けられるよう、手術前後の流れについてイメージをもってもらうことを心がけています。

例えば、手術室への入室時間、麻酔がかかっている時間、その間は意識がないこと、病棟に戻った際は心電図モニター装着や血圧管理、疼痛管理、酸素投与を受けていることなどです。他にも点滴やドレーンなど管がたくさん入っていること。これらを具体的に説明してイメージをもってもらいます。

術後はその管が1つずつ取れていきますが、術後合併症が起こってしまうと治療期間の延伸につながってしまいます。そうならないために、患者さん自身でも頑張ってもらう必要があること。そこで私たち看護師がお手伝いすることも説明し、ご本人に理解してもらえるよう努めています。それには、手術後の患者さんの経過を念頭に置きながら患者さんと関わることが大切です。

しかし、術前に十分な説明をしていたとしても、実際に術後になると「痛い、どうしよう、歩けない、思うように治療が進まない」と、気持ちが落ち込む患者さんがほとんどです。初めて手術を経験した人はとくに、「こんなに痛くて歩けるのか」「こんなに管がついていて、このあと私どうなってしまうの?」などと考えてしまいがちです。

私たちはそのような訴えに対して、例えば「痛み止めはこれくらい使えます。今は積極的に使うのも手ですよ」「今の痛みが10なら明日は8、7、5と減っていきます」というように、一般的な治療経過を伝えています。

また、同じ手術を同じ日にしても人によって回復のスピードが違うため、それによって落ち込む人もいます。「あの人はもう歩いているのに…」「あの人の管はもうあんなに少ないのに僕はなんで3本も入っているのか…」など。歩けるようになったあとも、まっすぐ歩いている人がいる一方で自分はうずくまりながら歩いているような状態だとすると、術後の経過を周りと比較して落ち込んでしまうのです。

こういった場合、早期離床を促すこと、そしてその根拠をはっきり説明することで患者さんは安心できると思っています。また、私たちが元気でいることも大事です。元気に接しているほうが患者さんも気持ちが明るくなるのではと思っています。辛い気持ちに寄り添うこともあれば、ときには「大丈夫ですよ」と背中を押すことも必要です。術後の痛みは辛いのですが、患者さんを励ましながら、動いてもらわなければいけない場面もあります。

外科病棟における看護とは何だと思いますか?

「私たちが元気でいることが大事」という西井さん。端末で記録を入力中

大変失礼ながらオペの経過と処置のやり方さえ知っていればなんとかなると思っていました…

大変失礼ながらオペの経過と処置のやり方さえ知っていればなんとかなると思っていました…

精神面のサポートは絶対に必要ですね。

精神面のサポートは絶対に必要ですね。手術後1日目はとくに必要です。
外科は在院期間が短く、1週間で退院される患者さんも多くいます。開腹した患者さんは術後の生活に注意する必要があり、入院前の食生活の聴取や、デスクワークなのか身体を動かす仕事なのかといった情報収集は、退院指導までのタイトな時間で行わなければなりません。

西井さんがお考えになる医科研病院の外科の特徴をお教えてください

難病指定医がいるため難病を抱える患者さんにとって安心できる環境であり、潰瘍性大腸炎などの手術にも対応しています。2020年は泌尿器科がオープンし、ダヴィンチ(ロボット支援手術)が導入されました。まだ取り入れている医療機関は少ないと思うので、そこは最先端だと考えています。ダヴィンチを使った手術は侵襲が少なく、傷も小さく済みます。また、痛みも少ないなどメリットが多いです。

そして脳腫瘍外科では、当院でしか行っていないウイルス療法を受けに他県からも患者さんが来院します。ウイルス療法とは、がん細胞だけで増えるように改変したウイルスをがん細胞に感染させ、ウイルスそのものがガン細胞を殺しながら腫瘍内で増幅していくという治療法で、脳腫瘍の患者さんに行っています。

こういった最先端の治療は教科書などには載っていないため、自分で調べたり分からないことは医師に聞いたり、勉強会に参加したりして学んでいます。あくまで治験段階にある治療法のため、手術後や治験後に何か起こる可能性もあることを患者さんは納得したうえで治療に臨んでいます。

西井さんの働き方[ある1日]

日勤の場合

7:00起床。準備して徒歩で病院へ
7:50病棟到着
8:00ペアのNsと受け持ち患者の指示を確認
8:30担当の患者さん達に挨拶、観察・確認、点滴準備、検温、全身状態確認、医師が来たら術後の患者さんのガーゼ交換
10:00点滴交換。終わり次第、ペアのNsと保清(1人で行うこともある)
11:30リーダーに報告。交代で45分ずつ休憩。血糖測定、食前薬・昼薬、配下膳など
13:30カンファレンス(曜日ごとに内容が決まっている。看護計画の修正、退院支援カンファ、Drカンファ、など)
14:00点滴更新、抗生剤投与、保清、バイタル測定、インアウト測定
15:00リーダーに報告
16:00記録、ナースコール対応、処置など
16:30夜勤に引き継ぎ
17:00退勤
17:30家に到着。すぐシャワー
18:00夕食を作る
19:00夕食
21:00勉強、動画鑑賞など
24:00就寝

夜勤(週1~2 月5回ぐらい)の場合

9:00起床。家事など
10:00朝食
12:00昼寝
14:00起床
15:00出発
15:40病院到着
16:00始業。夜勤は2人。Wチェック、お互いに指示確認。オペ前日の人は禁食、オペ出しの時間などの確認
16:20日勤リーダー申し送り。患者さんへ挨拶。異常確認、点滴準備。夕食配下膳、血糖測定、食前薬・夕薬19:00 バイタル測定
19:30交代で30分休憩
20:00歯磨き、トイレ誘導、リーダー報告
20:30当直の看護師、医師に報告
21:00眠前薬
21:30消灯
22:00点滴交換、インアウトをしめる
23:00ラウンド、点滴対応など
24:001時間ずつ休憩、ラウンド、患者さんのトイレなどの対応
6:00起床。検温、採血、点滴
7:00リーダーに報告
7:30朝食、血糖測定
8:00ナースコール対応、配薬、記録、申し送り
9:00退勤

外科病棟の看護師にはどんな人が向いている、また向いていないと思いますか

向いている人は、アセスメントが好きな人です。この患者さんはなぜ息があがっているのか?手術中に出血が多かったせいか?というように、解剖学的かつ疾患的にも学びたい人には向いていると思います。テキパキ仕事をする人も向いています。

外科では一度にさまざまなことが起こるので、起こったことに対しすぐに優先順位をつけて対応する必要があります。例えば術後の患者さんの心電図モニターがアラーム作動している、離床センサーが鳴った、ナースコールが鳴った、点滴投与に行かなければならない、医師の処置に入ることになったなど、実施することが複数あるときはその場で優先順位をつけ、どういう順番で回るのか、誰に頼む必要があるかなど、すぐに判断して行動できるとよいです。また、術後の早期離床に対応するため、動くことが好きな人もよいと思います。

向いてない人は、患者さんの変化が怖い人でしょうか。患者さんの回復過程を看ていけるのが外科の醍醐味と思うのですが、その日々の変化についていくのが大変そうと感じてしまう人は向いてないと思います。変化といっても回復だけではなく、例えば出血したり縫合不全が原因で食事開始後に腹膜炎を発症し、再手術になったりすることもあります。

そもそも外科は急変のリスクが高く、侵襲的な処置も多くあります。そのため、突発的なトラブルに対応する機会は避けられません。もし急変したらどうしよう、急変が嫌だ、怖いと思う人には大変かもしれません。

外科病棟の看護師にはどんな人が向いている、また向いていないと思いますか

今までの取材のなかで向いていない人の共通点は「人と関わるのが好きではない人」と言われる方が多かったのですが、外科ではどうですか?

人と関わりたくない人でも大丈夫だと思います。

人と関わりたくない人でも大丈夫だと思います。術後は寝ている患者さんが多く、全身状態を観察することが多いので。
 手術直後の患者さんは、夜はゆっくり休んでもらうことが大切なので、声をかけすぎても良くないことがあります。もちろん患者さんの訴えを聞くことも大事です。全身状態を診て、バイタルサインに異常がなければ、無理に関わる必要はないとも思います。しっかり全身状態から読み取ることができれば、人との関わりが苦手な人でもなんとかなるのではと思います。

同僚の看護師には、どんな経歴の人が多いですか

経歴はさまざまですが、外科やICUなど、他の病院で経験を積んできたスタッフが多いです。当院は血液腫瘍内科や臍帯血移植が有名で、それらを扱う病棟から異動して来るスタッフもいます。

子育て中のスタッフも多いです。看護部がワークライフバランスを重視しており、育児休暇や産休制度、福利厚生が充実していて定時にあがれることも多くあります。新卒の割合はそんなに多くはないかもしれません。スタッフの年代は幅広く、20~50代まで万遍なくいます。

このほか、治験を行っていることもあり、そこに興味を抱いて来られる人もいます。

外科病棟の看護師には、どのようなスキルアップの道がありますか

看護師キャリアパスというものがあり、看護管理者・スペシャリスト・ジェネラリストがスキルアップの道としてあげられます。認定看護師や専門看護師などを目指す場合は支援制度があります。人事交流制度もあり、外科を突き詰めたいのなら救急や手術室、心臓血管外科などに異動を希望することもできます。当院は二次救急のため、三次救急を学びたい人はこのような制度を使って本院(東京大学医学部付属病院)に行くこともできます。最終的にそこで学んだことを当院に還元する、というスキルアップもあります。

当院はチャレンジし続けている病院なので、他の科にチャレンジしてみたい人にはよいと思います。スキルアップとして大学院に進む人も多いです。学びたければ学び続けられる環境だと思います。

他の国立病院に行くこともできます。国立大学病院同士で転勤できるので、家族の仕事で転勤が多い人や今は東京にいるけど数年後は地元に帰りたい場合は、そのままのキャリアをもって異動することができます。

外科病棟の看護師には、どのようなキャリアアップの道がありますか

まず、当院は主任がいないので、副師長、師長、看護副部長、看護部長といったキャリアアップができます。認定看護師になって専門領域に卓越した実践者として、病棟内の患者さんがよりよい看護を受けられるように病棟を助ける役割を担っているスタッフもいます。当院には皮膚・排泄ケア、感染管理、がんに関する認定看護師が在籍しているため、これらの関連症状で困ったときはコンサルタントを受けています。

外科病棟で取得できる専門・認定看護師は救急看護や集中ケアなどです。当院は二次救急なので、他の病院で経験を積んでから取得を目指す人もいます。がん患者さんも多いので、それに関連した専門・認定看護師資格を取得している人も多いです。


ここまで、外科病棟でのお仕事について伺いました。後半は、西井さんの人物像に迫ります!

患者さんにとって自分がどんな意味をもつのかを感じて

改めて、西井さんが看護師になった経緯を教えてください

最初は看護師になりたいとは思っていませんでした。国立大学の理系を目指していましたが、途中で国立大学は無理だと思い、国数英で受験できるところに変更していくつか受験しました。それで受かったのが慶応義塾大学看護学部です。

ただ、看護学部に入ってからも看護師になるつもりはありませんでした。その考えが変わったのは、大学3年の実習で受け持った患者さんが亡くなってからです。前日までの私の関わりがその人にとってどのような意味をもつのかを考え、私にとってはいつもの1日でも、その人にとっては亡くなるまでの大切な1日だったのだと思いました。

その人は前日までピンピンしていたのですが、急変して亡くなりました。それをすごく刹那に感じ、その人との関わりを振り返って毎日を大切にしなければならないと感じたのです。看護師は、その患者さんの人生にとって大事な環境であり重要な人物だっていうことが分かりました。その人の人生に関わるという責任を果たすにあたり、よい関わりができる人になりたいと思うようになりました。それが看護師になろうと思ったきっかけです。

最初は内科で働きたいと考えていた

実習を通してとても印象的な経験をされたのですね

そのような出来事があったので、患者さんとじっくり関わりたいと思い、内科で働きたいと考えるようになりました。最初はいろいろな病院を見てみようと思ったのですが、実際に就職試験を受けたのは大学の付属病院と今の病院だけでした。

実習先であった付属病院は、忙しいなか患者さんと関わる時間を十分に確保するのは難しそうだと感じました。今の病院はインターンシップでお世話になっていたのですが、看護部長や看護師の話を聞いたり実際に患者さんと関わっている姿を見たりするなかで、患者さんファーストで関われる環境があると思い就職を決めました。

就職後は血液内科に希望を出していたのですが外科の配属になりました。最初の頃は、患者さんの変化についていけず、「あっ、今日も1日終わってしまった…」と思うことがほとんどでした。初心に返ったとき、「患者さんの1日1日に関わる」と決めていたのにそれが達成できていないと思い、勉強をしっかり取り組むようにしました。

すると、きちんと理解できるようになり、患者さんにも説明できるようになる。患者さんからも「西井さんのおかげで頑張れました」や「笑顔に救われました」などと言われ、もっと頑張ろうという気持ちになり、外科がどんどん好きになっていきました。分かると楽しいし、分かったうえで患者さんと関われるのが嬉しかったです。1年目は大変でしたが、2年目からは少し余裕もでてきました。結局「1年目から外科でよかった」と思えるようになりました。

実習を通してとても印象的な経験をされたのですね

今でも内科に行きたいって気持ちはありますか?

いえ。

いえ。今は外科を極めたいと思っています!

患者さんファーストであることに惹かれて

この病院を就職先として選んだ理由はほかにもありますか?

患者さんファーストであることと、ペアシステムです。ペアシステムとは看護師2人で患者さん1人を看護する体制のことで、一人ひとりと関わる時間がもてます。アセスメントをお互いに深められると思ったのもきっかけです。1人で看護を実践することに不安感を抱いていたので、最初は先輩と一緒に行えて安心でした。自分が先輩になったときも、後輩とお互いを高めあえるので、病棟全体にとってもプラスになると思っています。

ほかには、研究所の付属病院なのでさまざまな症例が経験でき、自分の学びにもつながるのかなと思いました。

インターンで血液腫瘍内科に行ったのもきっかけです。検温に看護師2人で行った際、患者さんが辛い思いを話し出したことがありました。すると、1人の看護師はその場で話を聞き、もう1人はそのまま次の人の検温に行ったのです。業務に追われていると患者さんの話をゆっくり聞くことは難しいですが、患者さんが話したいと思ったタイミングを逃さずに傾聴できる環境を作り対応する。もう1人は業務が滞らないように動く。それがぐっときました。ここがペアシステムのよいところだと思います。

もう1つは、看護部がライフワークバランスをしっかり考えてくれていることです。「看護師が健康でなければよい看護はできない」と話していたのを強く覚えています。それを今、身をもって感じていますし、看護部はその宣言通りの職場環境を体現し続けようと頑張っています。看護部長も、志し高く、妥協しない看護をしましょうと掲げ続けてくれているので、私たちも頑張ろうと思えます。コロナ禍で大変ではありますが、みんなで頑張っていこうという空気があります。

この病院を就職先として選んだ理由はほかにもありますか?

コロナ禍で大変ななかでも頑張っていこうと話し合っているという西井さん

外科に配属になって感じたギャップ

外科病棟で働き始めて戸惑ったことと、おもしろいと思ったことを教えてください

今の病棟に来て戸惑ったことは、患者さんとの関わりです。その病気に初めてなった患者さんもいれば、毎回がんの治療で入院してくる馴染みの患者さんもいます。初めて治療導入する患者さんだと、不安な気持ちが強くあるので、その寄り添い方には悩みました。何度か入退院をしている患者さんの場合は、その人なりの入院生活の過ごし方があります。しかし、最初の頃はその過ごし方について知らないこともあったので、ついていけないことがありました。また、手術後の流れについていけず戸惑うこともありました。これは全て1年目のときの話です。

仕事でおもしろいなと思えるのは、術後の患者さんが離床してどんどんできることが増えていくことです。ベッド上で歯磨きをしていた患者さんが洗面台でできるようになったり、管が少しずつ減って日常生活に戻っていったり。そういった過程を看られるのはとてもおもしろいなと思えます。

相談できる同期がいなくなってしまったこと

悩んだことや苦労したことはありましたか?

1年目のときに同期が辞めてしまい、相談できる人がいなくなったのが苦労した点です。その同期とは今でも連絡をとっていますが、元気に過ごせているようです。

先輩も話を聞いてくれるのですが、新卒の1年目同士でしか分からない悩みもあります。他の病院に就職した大学の同期と話すこともありましたが、病院も違う、働く科も違う、一緒に働く人も忙しさも違うので、共感できることは少なかったです。それが精神的に苦労したところです。

しかし、このままではいけないと思うようにもなりました。自分の悩みを話すことがストレスコーピングではないと考え、明るく努めようと仕事で発散するようになりました。患者さんによい看護をすれば自分も成長できるし、そうすれば悩まなくなると思いました。勉強を頑張り、術後の生活に適応する方法を患者さんと一緒に考えました。患者さんが不安なく退院できれば自分も患者さんも嬉しいことだと思い、とにかく頑張っていました。

やりがいはプリセプティとともに学ぶこと

今感じている仕事のやりがいを教えてください

今のやりがいはプリセプターです。今年3年目になりプリセプターを任されました。プリセプティを見ると昔の自分を思い出して一緒に学ぶことが多いです。プリセプティが頑張っていて、他の先輩から褒められているのを見ると、私も褒められたような気分になって嬉しいです。

分からなかったことを教えることが自分の学びにもなりますし、私とは違う視点を与えてくれることもあるので、「それってどういうことだろう」と一緒に考えることがまた新たな学びにもなります。

来年からは、異動で本郷の東大病院に行くことになっています。ICUか救急を希望していて、もしそれが通れば新しい分野を1から学べるので楽しみです。今関わっている患者さんに対して、もっと違う視点、ICU的視点で看るといったアセスメントができればと思っています。

ほかには、がん看護のワーキングの委員会に入りがん看護についても学んでいます。事例検討をしたりがんの患者さんとの関わり方を学んだりすることが、仕事のやりがいにつながっています。

末期の患者さんとの関わりのなかで

振り返って、印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

元医療従事者で末期の患者さんです。私と関わるなかで、「安寧とはこういうことを言うのだよ」と話してくださったことが心に残っています。「安寧」という言葉は学生のときに習ったと思うのですが、私はよい看護ができたのだなと嬉しくなりました。

その人は継続的に嘔気があり、吐き気止めが効かないなかでつねに嘔吐しているような状態でした。辛い状況のなかで、私が手術後の患者さんや危険行動のためセンサーがついている患者さんも受け持っている状況を把握していました。「私のことは後でいい。いつものことだから」と言ってくださっていたのですが、そんななかでも背中をさすったり、温かいおしぼりを渡したり、吐き気が落ち着いたときに話をしたり、声掛けを行ったりしていました。

「みんな優しいけど、西井さんはとくに優しくてとても安心しました」と。私が担当のたびに「あっ、西井さんだ。よかった」と喜んでいただき、「安寧を感じました」と言っていただけました。その会話をしたのは亡くなる1週間前。まだ、お話ができる1番最後の日に受け持ったときのことでした。「天から見ているから。西井さんの成長をもっと見ていたかったけど、上から見ているから。もうすでによい看護師さんだけど、もっともっと良い看護師さんになってね」と声をかけられました。

その後会話はできなくなり、1週間後に亡くなりました。嬉しさや悲しみ、いろんな気持ちが混ざっている心に残ったエピソードです。

振り返って、印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

これは泣いてしまう…実習での伏線が回収されたようなエピソードですね。

あ、ほんとそうですね!

あ、ほんとそうですね!

最終的に自分のやりたいことを見つけたい

これからの目標や希望は何ですか?

今まで「患者さんが安心して退院する」という目標をもとに頑張ってきました。来年、本郷の東大病院で救急やICUといったクリティカルな領域に行っても、患者さんファーストを忘れないようにしたいです。治療中の患者さんの不安に寄り添い、しっかりアセスメントしながら関われる看護師になりたいと思っています。

将来こうなりたい!というものは、あまり決めていません。救急やICUに行けても行けなくても、最終的に自分のやりたいことを見つけたいと思っています。そこで患者さんの全身状態をきちんと読み取れる看護師になりたいです。管理職になることはあまり考えていません。ただ、大学院には興味はあるので、今の領域での学びを深められたらいいなと思っています。

大学時代、実習で精神科のときにシーサーさんにお世話になり、看護の根底は精神だと学んだので、精神科看護にも興味はあります。全身状態が看られるようになれば、もっと興味がでてくると思います。患者さんを看るにあたり、どの領域でも精神科は切っても切れないと思っています。今は全身状態を見られるようになりたいですが、集大成としていつか必ず、精神科看護について学びたいです。

さまざまな側面から患者さんを看られる

外科病棟の看護に関心をもっている読者にアドバイスをお願いします

外科の看護はおもしろいです。患者さんのことを総合的にアセスメントしたい、手術前後の患者さんに関わりたい、回復過程に携わりたい、患者さんの身体面・精神面・社会面、さまざまな側面から患者さんのことを考えていきたいと思う方に向いていると思います。

外科病棟の看護に関心をもっている読者にアドバイスをお願いします

なんとなく進んだ看護への道。しかし人との出会いや直面した出来事から、真剣に向き合うようになるだなんて、人生どんなことが起こるか分かりませんね。

しかも実習で受け持った患者さんへの思い、決意を、臨床現場で伏線回収するようなエピソードも泣けました。1年目で1人になってしまったときの「勉強をして乗り越えた!」というのも個人的には驚きでしたね。これからの西井さんの大活躍を期待しております!

写真提供:phot AC


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