ヒトの深部体温は37℃程度で、多少の変動はあるにせよ、極めて狭い範囲に保たれています。さまざまな状況の変化に乱されることなく体温が一定しているのは、生体が常に熱のバランスを取ってくれているからです。
今回は熱産生・熱放散のメカニズムを振り返ることにより、調節機構が合理的に作用していることを納得するのが目標です。
生体は熱放散と熱産生のバランスを取っている
私たちの体の中では常に熱が生み出されています。その量は状況によって大幅に変わりますが、通常は1 日に2000~3000kcal 程度であり、例えば2400kcal であれば、60kg の水の温度を40 ℃上げる熱量に相当します(60×40=2400)。
生体は水だけでできているわけではありませんが、仮にこれだけの熱量が体重60kg の人に蓄積すれば、同様の体温上昇をきたす計算になります。実際にそんなことが起こらないのは、体表から絶えず熱が放散されているためです。
体温が一定に保たれるためには、この熱放散と熱産生とのバランスが取れている必要がありますが、生体の活動状況や環境によって、体温は変化をきたす危険に常に晒されています。そこで私たちの体は、体温が上昇している(あるいは上昇しようとしている)ことを察知すれば熱産生を抑えて熱放散を促し、下降を察知すれば逆方向に調節する機構を備えています。
これを実現するためには、体温に関する現状を把握するための情報収集(インプット)の仕組みと、それをもとに実際に熱バランスを変化させるアウトプットの仕組みが必要です。そして両者を統合する「体温調節中枢」と呼ばれる部位が、間脳の視床下部に存在します。
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