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森山 美知子(もりやま みちこ)

広島大学大学院医歯薬保健学研究院成人看護開発学 教授/日本プライマリ・ケア連合学会看護師養成プロジェクトメンバー

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認知症・認知機能障害の看護ケア|原因、症状、アセスメントのポイント


「過去に生きる」ことを受け容れる

認知症、特にアルツハイマー病の高齢者によく見かける、あたかも過去に生きているかのような状態は、発病してから現在までの記憶だけでなく発病前の記憶まで遡って失われることによって生じると考えられます。失われた記憶の世界は認知症の人には存在しないに等しく、残された記憶のなか、すなわち「過去に生きる」ことになるのです。しかし「過去に生きる」認知症の人はこの現実の世界をどう捉え、どう生きてよいか戸惑うでしょう。

介護者は、こうした認知症の人に現実をよりよく理解してもらう試みをしたくなります。認知症の人に「私はあなたの妻です。子供はみんな結婚して別に暮らしています。20年前に退職しました。会社に行く必要はありません」と現実を理解してもらいたく説明します。

でも「過去に生きる」認知症の人は、そうした説明に納得できないでしょう。介護者に向かった「私の妻はもっと若い。子供はまだ学校に行っている、夕方に帰ってくる。会社を休むわけにはいかない」と言い張るかもしれません。  

「過去に生きる」認知症の人に対して、一応、現実を理解してもらうような試みはしてもよいでしょうが、あまり強制にならないように注意しましょう。むしろ生きている過去を受け容れた方がよいと考えます。

とはいえ受け容れてばかりいるわけにはいきません。受け容れながら婉曲に修正して現実の世界のなかで精神的に安定して生きる方法を考えなければなりません。

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