
紹介します! 全国都道府県看護協会をぐるっと巡る

取材:竜 トシ子さん<医療安全・災害医療対策課長>
医療安全を専門としてきたので、当会入職後に本格的に災害看護に取り組むことになりました。ですので、まだまだ勉強中。県内の看護職の皆さんと一緒に災害看護について考えていきたいと思っています。
被災時の視点から災害支援ナースの育成を強化
神奈川県看護協会では、災害救護対策委員会を組織し、看護職や県民に向けて、災害に関する知識や技術の普及・啓発を行っています。「災害看護」「災害時お役立ち情報」「かんご防災力 GO !」の発行や看護フェスティバルでの企画展示などにより情報を発信する一方、災害支援ナース(以下、支援ナース)の制度の周知と育成、災害看護研修への支援に努めています。特に支援ナース育成には、2017年度から重点課題として取り組んでいます。
当会では、2004年の新潟県中越地震(3名)、2011年の東日本大震災(8名)、2015年の関東・東北豪雨被害(27名)、2016年の熊本地震(28名)と、支援ナースを被災地へ派遣していたことから、その育成は順調だと考えていました。そんな折、鳥取県中部地震で被災した地域の看護協会から、支援ナースの数が足りず、発災後から外部支援が入るまでの間十分な支援体制がとれなかったという報告があったのです。
そこで、当会でも神奈川県の現状把握に着手しました。すると、2017年当時の支援ナースの登録数は152名で、人口10万人あたりに換算すると1.7名。残念ながら全国最下位という結果だったのです。900万人超の人口を抱える当県では、被災時に支援ナースの力を要する医療機関(クリニック以外)は340カ所、同じく指定避難所は2159カ所と多数に上ります。自分たちに「被災側になったとき」という視点が不足していることを痛感しました。
情報発信と育成環境の整備により現れてきた効果
そこで、支援ナースを取り巻く状況に対する危機感を県内看護職で共有するため、当会理事会で支援ナースについての情報発信を行い、さらに県下の看護部長会にも周知活動・登録についての協力を要請。年1回の当会通常総会においても、活動報告のなかで支援ナースの現状についての情報発信をスタートさせました。
また、「2020年度支援ナース登録数300名」を目標に掲げ、より研修を受けやすい環境作りも実施。支援ナースになるには、基礎編2日間(6時間/日)、実務編2日間(6時間/日)の研修の受講が必要ですが、2018年度からその実施回数を倍にしました。
同時に、医療現場でも支援ナースの研修受講・派遣への理解を深めてもらえるよう、看護管理者研修で支援ナースについてのカリキュラムの充足を図りました。その結果、2018年度の基礎編の受講生は207名(前年度比86名増)、実務編についても100名(同44名増)となり、支援ナース登録者数も199名(同47名増)と数を延ばすことができました。
2018年12月の神奈川県看護学会では、支援ナースの認知度アップのための紹介コーナーを設けたところ、約200名もの皆さんが立ち寄ってくれました。アンケート回答者のうち68名から「支援ナースに登録したい」との反応があり、周知活動の重要性を実感したと共に、支援ナースの存在が伝われば関心をもつ看護職は必ずいるという自信にもつながりました。これをヒントに、当会の事務所の一角にも支援ナース展示コーナーを作り、研修に参加する看護職にアピールできるようにしています。
これらの成果はまだわずかですが、今後も取り組みを継続し、県内看護職と一緒に災害に強い看護システムを構築できるよう努めていきたいと思います。


2018年度看護フェスティバルでの災害支援ナースや災害時対応の展示の様子

当会事務所に設置した災害支援ナースの紹介コーナー


災害情報を発信するツールの数々
神奈川県看護協会
会員数/3万6882名(2018年12月31日現在)
住所/神奈川県横浜市中区富士見町3-1
https://www.kana-kango.or.jp/

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2019年6月号 TiaraNo.122より転載しています。