
紹介します! 全国都道府県看護協会をぐるっと巡る

取材:石山光枝さん<岐阜県看護協会 会長>
COMENT:どんな診療科であってもスペシャリストを目指す──それを積み重ねれば総合的な専門性を備えた看護職になれます。自らが変われば周囲も変わるという気持ちをもち、前向きに看護に取り組んでほしいと思います。
看護職がコーディネートする重症心身障がい在宅支援センター
岐阜県看護協会では、2014〜2015年にかけて行われた「岐阜県在宅重症心身障がい児者等実態調査」の一部に携わりました。これは県からの委託によるもので、その背景には、医療の知識を備え、本人および介護者の心情に寄り添うことのできる看護職の能力を活用したいという要望がありました。この調査により、医療(NICU)と福祉・介護(在宅)をつなぐ役割の必要性が浮き彫りになったことから、本会では、引き続き県からの委託事業を受託。「重症心身障がい在宅支援センター みらい(以下、みらい)」を立ち上げました。
みらいは、2015年に岐阜本所、2018年に飛騨サテライト、2019年に中濃および東濃サテライトが開所。現在4カ所の拠点があり、各拠点に相談員(看護職。うち1名が家族看護専門看護師)が常駐して、家族や医療・福祉施設からの相談に対応しています。
ほかの都道府県では例をみない事業なだけに、開所当初は、相談員の動き方や支援対象者の理解の獲得など手探り状態で進めていた時期もありました。しかし現在は、NICUを有する医療機関、訪問看護ステーション、訪問介護サービス、行政保健師などと連携を図り、支援体制の構築・整備を行っています。
相談員は、NICU入院時から退院支援を開始。不安を抱える両親の話に耳を傾け、児の快方・成長を共に見守りながら、在宅での生活にも目を向けられるよう支援します。さらに、その児や家庭にはどのようなサポートが必要かを考え、訪問看護ステーションなど関係各所と相談・調整を行います。また、すでに在宅療養中でサービスを受けていないケースでは、その理由を探り、介護家族に寄り添って、必要な支援の導入を進めています。
地域でのネットワークづくりもみらいの重要な役割です。各地区で実施している家族交流会は、児や家族にとって、楽しみの場であると共に、情報交換や学びの貴重な機会になっています。


家族交流会の様子。児も家族も多くの人と交流しながら、一緒に楽しいひとときを過ごす
NICUから在宅までの看護をつなげる さまざまな人材育成の取り組み
重症心身障がい児を在宅で支えられるようにするためには、NICU看護師には小児急性期看護だけでなく在宅を見据えた退院支援のスキルが、訪問看護師には小児急性期看護のスキルが求められます。みらいで年1回開催している「小児在宅支援研修会」では、訪問看護師を中心にさまざまな看護職が参加し、医療依存度の高い児に対するケアや在宅で求められる視点などを学んでいます。
その一方、本会でも2018年からNICU看護師に対する教育プログラムの作成に着手。退院支援に取り組める人材を医療機関内に継続的に育成していくことがねらいです。このような人材育成により、NICUから在宅まで継続した看護が展開できようにすることを目指しています。
重症心身障がい児が増えている現状において、その在宅支援体制の整備は重要な課題です。しかし、重症心身障がい児がどのように生活しているかは、あまり社会で知られていないように思われます。本会がみらいの事業に取り組むことで、児に対する支援が“見える支援”になることを期待しています。そしてそれが、児は家族の愛情を受けながら安心して生活でき、家族はその成長に幸せを感じられる──そんな在宅支援につながっていくことを願っています。

小児在宅支援研修会には多くの看護職が集まった

みらいの機関誌(年2回発行)
岐阜県看護協会
会員数/12,122名(2019年8月31日現在)
住所/岐阜県岐阜市薮田南5-14-53
http://www.gifu-kango.or.jp/

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2019年12月号 TiaraNo.125より転載しています。