
紹介します! 全国都道府県看護協会をぐるっと巡る

取材:廣原惠子さん<滋賀県看護協会 会長>
COMENT:これから求められるのはより地域や在宅に目を向けられる看護職。一人ひとりが笑顔を大切に、看護実践の核「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」を向上させ、プロとして誇りをもって活躍してほしいですね。
地域包括ケアを確立するため地域看護ネットを構築
「三方良し精神で“看護の力で滋賀を元気に” 〜県民一人ひとりが輝ける健やかな滋賀の実現を目指して〜」が、2019年4月に策定した滋賀県看護協会の看護の将来ビジョンです。これは、近江商人の三方良しの精神*にならったもので、看護職にも、患者さんにも、地域にも良い看護を目指すことを表現しました。地域包括ケアシステムの構築が進められる社会のなか、看護職が連携し人生のあらゆる段階の人々を支援することを活動方針としています。
*近江商人の経営哲学で「売り手に良し、買い手に良し、世間に良し」を示す。自分の利益だけでなく、相手や社会の幸せも願う考え方。
このビジョンの中核ともいえるのが、大津、湖南、甲賀、東近江、湖東、湖北、湖西の7地区で行う「地域看護ネット(以下、看護ネット)」です。県内の就労看護職は1万7000人余り(2018年度)。その限られた看護職の力を効果的に生かすため、保健・医療・福祉・教育の垣根を超えた看護師によるネットワークを地区ごとに構築しました。病院、診療所、訪問看護ステーション、介護施設、行政などで活躍する看護職がつながり、自分たちの地区や施設等の課題を共有・解決し、最終的には事業化を目指します。これにより地域の看護力を向上させ、それを地域に還元していくねらいです。現在各施設等の管理者・代表者がメンバーとなっています。
年1回の報告会では、7地区の代表が発表。高齢化率の高い地区では「あらゆる場での看取り」、多くの機関・施設が混在する地区では「災害対応と連携」など、地区ごとに課題を抽出し、それぞれの看護現場における状況の共有と話し合いを行っています。これらの発表を聞き、地区内の立場を超えた看護職の連携は確実に進んでいると感じています。

2020年8月に行われた地域看護ネットの報告会。活動内容は多岐にわたっている。日本看護協会の鎌田久美子常務理事による講演も行われた
目指す看護を実現するため地区支部活動と看護ネットを両輪に
看護ネットの発想には、かつて地区の看護部長会を通して地域で看護職同士がつながることの大切さを実感した、私自身の体験も関係しています。本会会長職に就き、このようなつながりを全県下で、しかも働く分野を超えて行えないかと、多くの方々に協力を仰いで、実現に至りました。地域包括ケアシステムにおいては、各分野のさらなる連携が求められています。看護ネットは、これまで継続してきた地区支部活動と併せて重要な位置づけにあると考えています。実際、新型コロナウイルスの感染拡大により地域全体での病床調整が必要になった際にも、看護ネットによって構築された関係がスムーズな連携を生みました。
ビジョンでも示しているように、本会では、地域包括ケアシステムを軸に看護の方向性を考えています。その柱となる看護職の連携は、現段階では看護ネットの設置で「顔の見える関係」ができつつあるところ。引き続き「目的達成のための体制構築」、さらに「看護ケアの継続・統合」へと段階を踏んで、目指す看護の役割や機能が発揮できるよう歩を進めていきたいと思っています。
本会では、かねてから地域での看護展開の重要性を認識し、ビジョンの策定に先駆けて、訪問看護支援センターを開設しています。訪問看護ステーションの機能強化支援、人材の確保・育成を中心とするその活動は6年目を迎えました。このセンターの存在も、地区支部活動と看護ネットを両輪に進める地域連携の歩みのなかで、力強い後方支援の役割を果たしてくれると期待しています。


各地区ごとに地域包括ケアフォーラムも開催。多様な現場から看護職が集まり、テーマに基づいてそれぞれの看護を考えた(写真は東近江地区)
公益社団法人 滋賀県看護協会
会員数/9002名(2019年度現在)
住所/滋賀県草津市大路2-11-51
http://shiga-kango.jp/

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2020年9月号 TiaraNo.129より転載しています。
