
紹介します! 全国都道府県看護協会をぐるっと巡る

大和日美子さん<福岡県看護協会 会長>
COMENT:看護の道で出合う障壁を苦しみと捉えるのではなく、乗り越えることを楽しんでほしい。新型コロナウイルス感染症に打ち勝つことは、看護職としてプラスになるはずです。みんなで協力、前進していきましょう。
在宅療養の拠点を目指しモデル事業としてスタート
「看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)」は、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせて提供するサービスで、主にデイサービス、ショートステイ、訪問介護、訪問看護の機能を有します。2012年度介護報酬改定で創設された「複合型サービス」が2015年度の改定で名称変更になったもので、福岡県看護協会は、新たな名称がスタートしたこのタイミングでいち早く看多機を開所。新事業として運営を開始しました。背景には日本看護協会が複合型サービスを創設時から推し進めていたこともありますが、本会としても地域包括ケアシステムのなかに課題があると考えてきたことから、モデル事業として踏み出すことにしました。新たな在宅療養のかたちを地域に普及させる目的もありました。
こうして誕生した看多機「すぴか☆くるめ」は、訪問看護ステーションくるめ(以下、ステーション)に併設されています。ステーションは、1995年から地域の在宅療養を担っており、久留米市との連携も深めてきた実績があります。そのため市の協力も得られ、同地での看多機も含めた在宅療養の拠点整備が可能になりました。

すぴか☆くるめでは看護や介護などスキルミックスのケアが展開されている

すぴか☆くるめは訪問看護ステーションくるめに併設
メリットと課題を明確にしながら看多機を地域に根付いた存在にしたい
すぴか☆くるめは、管理者はじめ、看護師、介護支援専門員、介護福祉士のほか、リハビリテーションスタッフ(ステーション兼務)で構成され、多職種がチームとなり、利用者さんのニーズに応じた対応を行っています。施設の活用も定着してきており、小児から高齢者まで、2020年度は218名の方にご利用いただきました。
すぴか☆くるめが利用される場面としては、退院時の在宅移行支援、在宅療養中に病態が不安定になった場合、在宅での看取りなどのほか、介護をする家族のレスパイトや不安の軽減といった目的もあります。また、介護家族が短期入院することになり、ショートステイを利用した例もあります。緊急的な対応が必要でしたが、受け持ち看護師が情報のやりとりを行い、家族の状況に配慮して日程などを調整。スムーズに在宅療養に戻れるようにしました。
このように、すぴか☆くるめでは受け持ち制を採用しており、担当看護師がコーディネーターとなって多様なケースに柔軟に対応しています。ステーションも含め、多職種が連携することで、施設と在宅で24時間365日継続したケアも可能です。
施設内では、利用者さんが楽しく過ごせるよう、七夕やおはぎ作り、クリスマスなど季節を感じさせる行事も行っています。看多機を地域に認知してもらう機会として年1回「すぴか☆くるめ祭り」も開催。健康教室やおやつ作り、利用者さんの作品展示などを行い、地域住民との交流の場となっています。

デイサービスでは季節の行事を行っている。おはぎ作りを楽しむ利用者さん

「すぴか☆くるめ祭り」では、健康にかかわる話題を取り上げた教室も開催している
本事業は公益社団法人としてのものですが、施設を運営する以上、経営を考え、継続させていかなければなりません。そして、在宅療養拠点として地域に根付いた存在にすることが重要。本会では、今後も看多機のメリットだけでなく、制度上の問題点なども含め課題についても発信していく方針です。それが、社会に働きかけることのできる職能団体が、看多機事業に取り組む意義なのだと思います。介護度の高い方であっても、みなさんが安心して在宅で療養し、最期を迎えることができる地域づくりの一端を担っていきたいと考えています。
公益社団法人 福岡県看護協会
会員数/4万3376名(2020年度)
住所/福岡県福岡市東区馬出4-10-1
https://www.fukuoka-kango.or.jp/

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2021年8月号 TiaraNo.132より転載しています。
