
紹介します! 全国都道府県看護協会をぐるっと巡る

取材:豊田久美子さん<京都府看護協会 会長>
COMMENT:若い皆さんは憧れる看護職像をもってください。先輩たちは憧れられる存在になってください。人がこうありたいと願う生命と生活の在り方を整えられる看護職を、私は素敵だなと思います。
急務となる地域包括ケアの推進看護職のネットワーク構築を
京都府は日本海側の北部から内陸へと伸びる細長い地形で、地域ごとに違った特性をもっています。京都府看護協会は、12地区支部ごとの課題に目を向けて事業を展開。2023年度は、?地域包括ケアの推進、?働き続けられる職場環境づくり、?看護職の資質向上と専門性発揮に向けたキャリア支援、?災害時看護支援体制の充実、?感染症対策の充実と看護職支援体制の強化を重点目標として掲げています。なかでも、2040年問題*1を見据えたとき、地域包括ケアの推進は急務。本会は、2023年4月に京都府訪問看護総合支援センターを設置し、訪問看護事業所に対する支援強化をスタートさせました。また、全世代型地域包括ケアを目指し、医療施設と地域のさまざまな場所で活躍する看護職のネットワーク構築も進めています。
*1 少子化での急速な人口減少とピークに達した高齢者人口により、日本が2040年に直面すると考えられる問題の総称
看護の根幹に立ち帰り誕生した「思いをつなぐシート」
看護職のネットワーク構築のなかで、大きな役割を果たしているのが「思いをつなぐシート」です。本会では、地域医療介護総合確保基金*2の採択事業を2015年度から継続して行ってきました。その最初の事業である山城地区での「在宅療養移行整備事業」(2015〜2017年度)から誕生したのがこのシート。がん患者さんの診断から人生の最終章までの支援を整備し冊子にまとめたのですが、この過程で「医療職の連携のなかで患者さんの思い(どう暮らしていきたいか)をつなげられているか」という点にあらためて着目。単なるサマリーだけでなく、患者さんや家族の思いも在宅チームにしっかり伝えられるような様式(シート)を作成しました。2018年〜2020年度に事業を行った南丹地区でも、2021年〜2023年度現在進行形中の中丹地区、京都市下京・南地区でも、患者さんや家族に寄り添い、伴走するために、この「思いをつなぐ」という視点は取り組みの柱の一つになっています。南丹地区の「入院から在宅療養まで院内外でどのように多職種連携・協働を行っているかを可視化したフローチャート」の作成の際にも思いをつなぎ、下京・南地区の「院内と在宅チームをつなぎ療養生活を支える外来看護師の連携強化」の検討などにも活かされています。
常に患者さんを中心に置いて看護をつないでいけるよう、このシートの活用などを広く周知しているところです。
*2 2025年に向け「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」を後押しするため2014年に創設。消費税増収分を活用し各都道府県に設置された。

事業を通して若い世代にも寄り添い憧れをもたれる看護職の在り方を発信
本会では教育事業にも力を入れており、講座数は200を超えています。私は看護教員としての経験が長かったことから、受講される皆さんの様子を見ていると「?啄動機(そったくどうき)」*3という言葉が思い起こされます。特に新人看護職の育成ではタイミングが重要で、指導・支援する側には時に待つことも求められます。管理者や専任教員を目指す人から、若手看護職との意識の違いに戸惑っているという声も聞かれますが、まずはこちらから歩み寄ってみてほしい。そして、最善のタイミングを見極め、看護職として羽ばたけるよう手伝ってあげてほしいですね。
今後も事業を通して多くの看護職と意見を交わし、一緒に切磋琢磨し、より信頼される職能団体としての役割を果たしていきたいと考えています。そして、若い世代が憧れを抱ける看護職の在り方を発信し、これからの看護に貢献できればと思います。
*3「?啄同時」ともいう。卵の中のヒナと外にいる親鳥が殻を破ろうとするタイミングが一致してこそヒナ鳥はこの世に生を受けることができるという禅語。


公益社団法人 京都府看護協会
会員数/ 1万6600名(2023年度10月)
住所/京都府京都市左京区高野泉町40-5
https://www.kyokango.or.jp/

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2023年12月号 TiaraNo.146より転載しています。
