
東邦大学医学部の3番目の付属病院として開院した東邦大学医療センター佐倉病院は、地域の人々の健康を支えるとともに、広域に向けた高度医療の提供を行っており、多様な患者さんを受け入れています。そのため、さまざまな背景をもつ患者さんの退院後の生活を支えたいと医療連携・患者支援センターを設置。そこで患者さん一人ひとりと向き合う看護師たちに話を聞きました。
入・退院支援の加算新設がセンターの機能拡充を後押し
東邦大学医療センター佐倉病院に医療連携・患者支援センター(以下、センター)が設置されたのは2003年。当初は、病院と地域をつなぐため、社会福祉士と事務職員によりスタートしました。その後、看護部では看護相談を開始し退院患者さんをサポートしていましたが、2016年に退院支援加算1が新設されたことを契機に、センターに看護相談機能を集約。さらに、2018年の入院時支援加算新設に伴い入院支援の機能が追加され、現在の形となりました。
「在院日数短縮化の流れのなか、当院では入・退院支援に継続的に力を入れてきました。加算の新設がセンター機能の拡充を後押ししたという感じです」と話すのは副センター長の京谷みよ子さん。同院は印旛保健医療圏*の中核病院ではありますが、隣接する千葉市や八千代市などからも広く患者さんを受け入れており、異なる地域性に対応するために、きめ細かな入・退院支援が求められたといいます。
*成田市、佐倉市、四街道市、八街市、印西市、白井市、富里市、酒々井町、栄町をカバーする二次保健医療圏

入院支援面談室では、外来通院時に患者情報の収集と入院生活等の説明を行う。4つのブースがあり、切れ目なく面談が行われている
入・退院支援看護師が各々の役割を果たし患者支援を
センターで入退院支援にあたるのは入・退院支援部門のメンバーで、入院支援看護師6名と退院支援看護師6名に、看護師長1名と医療ソーシャルワーカー3名を加えた16名です。

京谷みよ子副センター長

岡田繭美看護師長

高橋幸花看護師長補佐(退院支援看護師)
入院支援では外来で行う入院前面談が中心。面談により、患者さんは入院中の生活を具体的にイメージできるようになり、看護師は事前に入院中あるいは退院後の患者さんの課題を把握することができます。事前情報を病棟や退院支援部門、他職種につなぐことで、入院前に院内調整を行い、場合によっては対応を開始し課題を減らすことが可能です。

退院支援には多くの職種がかかわっている。日頃からカンファレンスを行い、患者さんの今後について検討し、退院計画につなげていく
「入院前面談が、円滑な療養や退院支援に結びつき、入院期間を短縮したり、退院後のQOLを高めることにも結びつきます。患者さんや家族の安心にもつながっていると思います」
看護師長の岡田繭美さんはこう話します。入院支援看護師は1日30〜40名の患者さんと面談し、定められた8項目について情報収集・記録を行います。
これに対し、退院支援は院外も含めて他部門との調整が主になります。退院支援看護師は、支援が必要な患者さんを病棟看護師と分担し、入院時のカンファレンスで難渋しそうと判断されたケースを担当します。退院支援看護師の高橋幸花さんは「院内外の多職種、ケアマネジャー、地域の介護施設など調整先は多岐にわたります。それだけに退院支援には『交渉力』が求められます。時には患者さんの代弁者にもなる。私たちが主導して、最善の環境をつくっていかなければなりません」と話します。


退院支援看護師の日常は、電子カルテからの情報収集と支援対象患者の把握から始まる。電話で院内外のさまざまな職種に対し交渉することも多い
病棟との連携を深めてより充実した入・退院支援を
「入院支援は始めてまだ3年程度。病棟との連携をより密にしていければと思っています。退院支援についても、病棟との分業になってしまわないよう工夫が必要。入院支援?病棟看護?退院支援を一連の看護過程として、病棟看護師とともにどうかかわっていけるか模索しているところです。それが入・退院支援の充実につながると思います」と岡田さん。入・退院支援を専門に行っている部署として、時間をかけて丁寧に患者さんとかかわれる強みを、病棟との連携に還元できたらと考えているようです。
「退院支援看護師として入院支援からバトンを受け取り、院内、地域、行政を結びつけることは大変。でも、一人の患者さんを支える大きなチームとして軌道に乗せられたときには、大きな手応えがあります。患者さんが無事に退院することは、退院支援看護師にとって何よりのやりがい。情報交換をしながら、そのやりがいを共有しています」(高橋さん)
医療処置をもち帰る、介護力が不足しているなど、退院後の生活に問題を抱える患者さんが増えている現状のなか、人々が地域で暮らしていくための支援に力を入れる同院。そこには、自らの役割にやりがいを見出している看護師たちの姿がありました。
DATA
東邦大学医療センター 佐倉病院
千葉県佐倉市下志津564-1
https://www.sakura.med.toho-u.ac.jp/
開設1991年 病床数447床
職員数971名(うち看護職527名)※2019年9月現在
看護配置一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/地域周産期母子医療センター/認知症疾患医療センター/災害拠点病院/地域医療支援病院/千葉県がん診療連携協力病院

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2020年9月号 TiaraNo.129より転載しています。
