
新潟大学医歯学総合病院は、新潟県唯一の特定機能病院として地域を支えています。新型コロナウイルス感染が広がる状況下においても、感染患者さんへの対応に貢献しており、そのなかで医療従事者の育成にも尽力しています。同院看護部では、これまでとは違った環境に対応した新採用看護職員研修のかたちを模索。新たな視点と変わらない視点を大切にした取り組みの様子をご紹介します。
研修の量と質を維持するためeラーニングを活用


「新型コロナウイルス感染症が国内で初めて確認されたのが2020年2月。正確な情報がなかなか得られないまま3月を迎え、新採用看護職員研修をどのように行うか悩みました。コロナ禍だからといって、研修量を減らすわけにはいかない。そこで着目したのがeラーニングです」と新潟大学医歯学総合病院看護部長の杉田洋子さんは話します。eラーニングは以前から活用してきましたが、今回は違うかたちで新採用看護職員研修に組み込むことにしたのです。
2020年度は、主に自宅待機で研修会場に来られない新採用者のためのプログラムとして活用しましたが、2021年度には、これを講義に代わるものとして研修内で視聴することにしたのです。教材はeラーニング用コンテンツやDVDを使用。感染対策から会場を2〜3カ所に分け、各会場に配置したトレーナーが受講者の理解度を確認して、それを演習につなげることで研修の効果を高めました。
「当院のルールとして、現在新採用職員は健康観察期間(2週間)を経てからの配置となります。その期間を研修に当て、集中して学べたこともよい結果につながったのかもしれません」(杉田さん)


*RICCA:「respect:尊重」「improvement:進歩」「compassion:思いやり」「concern:関心」「autonomy:自律性」の頭文字を組み合わせた造語
新採用者の不安解消のため新たなプログラムを企画
足を運ぶことなく、従来の集合研修を含めおよそ3週間を研修で過ごすことになります。学生時の実習機会が不足していることもあり、看護職としてやっていけるか不安をもつ懸念がありました。そこで、研修を企画・運営している看護職キャリア開発コアセンターのメンバーらは、新たに2つのプログラムを新設。それは、看護職としての原点に立ち返るものでもありました。
1つは「コミュニケーション」。対人サービス業ともいえる看護には必要なスキルです。基本を学ぶ講義(DVD)に加え、シミュレーションを交えた演習を行い、患者さんや職場の仲間、他職種など人とのかかわり方を確認・習得します。
そしてもう1つは「キャリアデザイン」です。看護職として自己実現を図るための動機付けをねらいとするもので、仲間づくりの機会も提供します。各新採用者が、配属先の先輩が作った部署の看護を紹介する動画メッセージを視聴し、看護職としての自分の仕事をイメージすることから始まるのが特徴です。
これらの研修を受けたことで、新採用者はすんなりと職場に溶け込むことができ、受け入れた各部署も彼らの患者さんへのアプローチに安心感を得たという報告を受けたといいます。杉田さんは「新しいプログラムに予想以上の効果を感じました。来年度も継続する方向です」と話します。



新採用看護職員研修の実績をほかの研修にも応用
この新採用看護職員研修は、同院看護部が「“気づく”を育て伸ばす」をコンセプトに構築したキャリア開発支援システムRICCA*に組み込まれています。RICCAは「六花(雪)」を意味し、1つとして同じもののない雪の結晶を個性ある看護職になぞらえたもの。教育プログラムやシミュレーショントレ ーニングプログラムを開発し、看護職が主体的に看護実践能力の向上を図れるよう支援しています。
看護部では、新採用看護職員研修の実績を参考に、 RICCAによるほかの研修でもeラーニングの活用を広げています。特に、専門領域のなかの「スキンケア/創傷管理」「感染管理」の研修で使用する教材は、同院で行っている看護師特定行為研修で使用するeラーニングプログラムを認定看護師が再編集。優れた教育資源を再活用できるようにしました。
「当院は医育機関として医療人材育成の使命を担 っています。ですから、当院でその道をスタートさせた看護職には、どのようなかたちであっても道を継続してほしい。そのような視点をもって学びを支援しています」(杉田さん)
DATA
新潟大学医歯学総合病院
新潟県新潟市中央区旭町通一番町754
https://www.nuh.niigata-u.ac.jp
開 設:1869年
病 床 数:827床
職員数:1675名 うち看現護在職872名(2020年5月1日現在)
看護体制:一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/地域がん診療連携拠点病院/地域災害拠点病院(新潟県)/高度救命救急センター/総合周産期母子医療センター/新潟県難病診療連携拠点病院

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2021年10月号 TiaraNo.133より転載しています。
