
高度先進医療の提供を求められる大学病院として、地域医療を支える中核病院として、社会のニーズに応える広島大学病院には、広島県唯一の医育機関としての側面もあります。その一翼を担う看護部も、看護職員一人ひとりの学ぶ心を後押しし、役割を拡大することを目指した看護部認定制度を整備。すでに多くのスタッフが認定を受けています。制度の内容と認定を得て活躍する看護職員の姿をお伝えします。
教育と看護実践を2本の柱に5分野で認定を実施

広島大学病院の看護部認定制度(以下、認定制度)は2013年からスタートしました。(1)教育担当者、(2)実習指導者、(3)輸液管理指導者、(4)輸血療法看護師、(5)がん化学療法看護師という5分野で認定が行われています。
「2010年に国により新人看護職研修が努力義務化されたことを受け、指導者の質の担保を図るため(1)と(2)についての認定制度を設けたのが始まりです。さらに看護師への役割拡大が求められるようになり、当院の幅広い診療科で活用できるスキルを磨けるよう、2017年から(3)〜(5)の分野でも認定を開始しました」と話すのは、認定制度を立ち上げた副病院長で看護部長の佐藤陽子さん。
これまで必要なスキルは部署内で教育を行っていましたが、多くの部署で活用できるものは看護部が研修を行い、その成果を評価・認定することにしました。スタッフのモチベーションを高め、活躍の場を広げたいと考えたそうです。
認定制度へのエントリーには、看護部のキャリア開発ラダーで一定のレベルに達していることが条件。受講者は、規定の数の講義と演習を受け、さらに看護実践にかかわる?〜?については現場実習を経て、筆記と実技の試験に合格して初めて認定が得られます。2020年度までにのべ1015名の看護職員が認定登録をしています。


すでに現場で活躍する認定取得後の看護職員の実際
9階西病棟の川崎なつみさんは、輸血療法看護師として認定を受けました。血液内科、内分泌・糖尿病内科を主科とする病棟で、化学療法を受けている患者さんが多く、骨髄抑制によって輸血療法が必要になることが少なくありません。「輸血療法の知識や技術を深めたいと認定を取得しました」と川崎さん。同病棟の看護職員の約半数は輸血療法看護師で、 2人体制で輸血に当たります。月50〜110件のうち約7割を認定看護師が施行しているといいます。
「以前は患者さんが骨髄抑制による貧血でつらそうにしていても、医師に報告することしかできませんでした。でも今は自ら実施することで、より早い対応が可能に。認定を取得したことが患者さんのメリットにつながっていると思うと自信になります」さらに川崎さんは、自分が得た知識・技術を患者さんや後輩に還元していきたいと話しました。
一方、大久保茜さんは、呼吸器内科・外科、リウマチ・膠原病科を主科とする6階西病棟で、がん化学療法看護師として業務にあたっています。同病棟では肺がんの患者さんが多く、メインの治療あるいは術前・術後のほか、レジメンの変更により入退院を繰り返すケースで化学療法を施行。その約半数を認定看護師が担っています。大久保さんは「講義・演習は自分の実践をイメージしながら受講しました」と認定取得のための学びを振り返ります。
看護実習でがん末期の患者さんとかかわったことが印象に残っているという大久保さん。予後が悪く落ち込んでいる患者さんに寄り添う同院の看護に触れ、目標とする看護師像がみえたそうです。
「安全に施行することが第一ですが、今は化学療法を通して生まれる患者さんとのかかわりも大切にしています。自分が目指している看護師像に近づけたらいいですね」(大久保さん)


患者さんから学ぶことがスタッフたちを成長させる
看護職員の現場での実践にあたっては、医師をはじめ他職種も交えてルール作りをしました。「(3)〜(5)の認定はタスクシェアも大きな目的だったので、病院全体で環境作りをしました。そのため認定制度の認知度は高く、看護職員への期待は大きくなっています」と佐藤さん。期待に応えるため、今後も認定者を増やし、現場で実践できる看護職員を育成していきたいと話します。認定制度という仕組みを作 ったことが、スタッフの自主性を高めることにもなりました。今後の活躍がどのように広がるか楽しみです。



DATA
広島大学病院
広島県広島市南区霞1-2-3
https://www.hiroshima-u.ac.jp/hosp
開 設:1945年
病床数:742床
職員数:3003名うち看護職940名(2021年4月1日現在)
看護体制:一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/都道府県がん診療連携拠点病院/災害拠点病院/高度期母子医療セン救命救急センター/地域周産ター/難病診療連携拠点病院

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2021年12月号 TiaraNo.134より転載しています。
