
千葉市立青葉病院は、千葉市の救急医療を担う一方で、地域支援病院として、さらに感染症指定医療機関として、その役割を果たしています。同院では、2022年度から新人看護師に向けた研修を一新しました。コロナ禍の影響により学生時の臨地実習が十分に行われていない状況を受け、より経験が重ねられるカリキュラムへと変更しています。どのような工夫がなされているのか、その研修内容についてお伝えします。


中央での教育から各病棟での育成に移行
コロナ禍では、学校教育での臨地実習の機会を奪われた新人看護師が多く、患者さんとのかかわりをはじめ臨床における経験値が低いことは否めない状況にあります。また院内においても、研修にさまざまな制限が生じ、その内容や実施方法に工夫が求められるようになっています。千葉市立青葉病院では、 2021年度の研修実績を受け、これまでの新人研修を大きく見直しました。
「本物の看護の現場に身を置き、経験から学んで成長していく『経験学習』に研修内容を変更しました。見て、感じて、五感をフルに使いながら、看護師としての自分自身を意識してもらえるよう考えています」と話すのは、副看護部長の日暮奈緒美さん。教育担当として、新人看護師の育つ場を奪わないよう、どのような状況下でも持続可能な研修を目指していきたいといいます。
院内教育をまとめて担っていたキャリア支援室をなくし、各病棟の委員からなる人材育成委員会(以下、委員会)のあり方を再考。各病棟が、早い段階から新人看護師を受け入れる研修カリキュラムにしました。その結果、看護部のオリエンテーション(集合研修)は従来より1週間短くなり、配属後にOJTを実施するかたちになりました。



「体験」を加えた研修で個人の成長を見据えた育成を
今まで集合研修で行われていたシミュレーション研修を「体験する→考える→学ぶ→実践する」という体験型OJTに変更。褥瘡対策・口腔ケア・輸液管理などの決められたテーマでシャドーイング*し、その気づきを集合研修で知識に変え、再び病棟で実践につなげます。この研修は病棟のスタッフだけでなく、各委員会や専門・認定看護師も協力して、みんなでサポートしています。
「これまでよりも学びの期間は長くなりますが、個人の成長に応じて支援を行い、1年後に目標に到達できればよいと考えています」(日暮さん)
同院はプリセプター制ですが、プリセプターの主な役割は学習支援と心理的サポート。具体的な業務については、病棟の先輩たちがジョブトレーナーとして指導に当たります。キャリア支援室で教育についての情報を集約・発信してきた看護師長の木下智絵さんは「病棟の師長や主任たちは、支援室と連携して、人材育成に対する意識を醸成させてきました。それをベースに、人間関係を築きながら新人支援に取り組んでくれると思います」と話します。



看護部そして病棟師長の新人看護師育成に対する思い
2022年度は29名(新卒者)の新人看護師が病棟に配属になりました。各病棟はどのような思いをも っているのでしょう。委員会のメンバーでもある看護師長たちに聞きました。柴田郁子さんは「新人にはまず『看護って楽しい』と思ってもらえたらいいですね。そのうえで、患者さん中心の看護を目指してほしい」と話します。「自らで考え、発信し、行動して、内省できる看護師を育てたいと思います」というのは中村繭美さん。また、吉川聡美さんは「同じ研修カリキュラムであっても、病棟によって違いが生じると思う。それを発信し、協力し合いたいですね」と病棟間の連携にも言及しました。
各病棟を支えるのは日暮さんほか看護部。新人担当を中心に院内をラウンドしながら、研修の内容が活かされているか、運用に問題はないか、確認・サポートします。状況によっては軌道修正も考えていく予定だとか。
新たな取り組みだけに、この研修を総括するのは1年後。日暮さんは「現場での人材育成によって、病棟内での仲間としての意識が高まり、それがお互いを支え合う環境を創り上げると考えています」と話します。看護部が目指すのは、困難に出合っても折れることのない、しなやかな強さをもった看護師。新人、先輩にかかわらず、この研修を通し、目指す看護師の育成が進むことにも期待を寄せています。
* ロールモデルの後ろを影のようについて同行する学習方法


DATA
千葉市立青葉病院
千葉県千葉市中央区青葉町1273-2
https://hospital.city.chiba.jp/aoba/
開設●2003年
病床数●369床
職員数●747名 うち看護職365名(2022年6月1日現在)
看護体制●一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/災害拠点病院[病棟構成]一般病棟307床、精神科病棟56床、感染症病棟6床

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2022年8月号 TiaraNo.138より転載しています。
