
岐北厚生病院は、岐阜県岐阜市の北側に隣接する山県市唯一の病院として中核的に地域医療を支えています。同院では新病院(南館)の開院を機に「安全・安心に配慮した良質な医療の提供」を新たな理念として掲げており、看護部でも「安全」を見据えた取り組みをスタートさせました。外部研修を活用しながら、確かな力を備えたIVナースの育成を進めようとする看護師たちの奮闘をご紹介します。

看護師のIVスキルを高めるため指導者の育成に着目
「2020年度から3週間の新人看護師研修を設け、より確実な人材育成にシフトチェンジしました。しかし個々の講義にはまだ改善の余地がありました」
こう話すのは岐北厚生病院看護部長の森利恵さん。特に安全を踏まえたとき、看護師の静脈注射(IV)のスキルを高めることは重要だと考え、研修の充実には何をすべきか検討したといいます。
同院は、消化器内科・外科、循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科、血液内科、外科、脳神経外科など26の診療科を有しています。看護師は日常的にIVに携わっており、2014年からはIVナース院内認定制度を始めていました。
「入職2年目の看護師を対象にIVナースの研修・認定を行っていましたが、指導する側にも教育の必要性を感じていました。技術以外の指導内容や方法については手探りの部分がありました」(森さん)
そんなとき、医療安全室のスタッフから勧められたのが「IVナース指導者養成研修*(以下、指導者養成研修)」でした。IVの基礎から、安全な手技と輸液管理、指導者としてのスキル、院内での指導法までを学ぶことができる外部研修です。院内での指導者教育に頭を悩ませていた森さんは、これを活用して指導者の人材育成を図ることにしたのです。
* ニプロ株式会社が主催する研修。各医療機関で充実したIVナースの育成が図れるよう、指導に必要な知識・技術・態度を習得できる内容構成になっている。eラーニングと対面研修を組み合わせたプログラムで、年1回実施。


IVナース指導者養成研修が引き出した看護師たちの熱意
そして、2021年に南5階病棟主任の大畑亜由美さん、2022年に南4階病棟師長の堀陽子さんが、それぞれ指導者養成研修を受講しました。大畑さんは「教育委員になって3年目にIVの担当となり、どのように研修を行えばいいのか悩んでいたときでした。自分たちのIV研修を振り返るためにも必要だと考え、受講することにしました」と話します。一方、堀さんは「がん看護でもIVの技術は重要。がん性疼痛看護認定看護師なので、講義は行ってきましたが、実はIVという分野を掘り下げたことはありませんでした。指導者の育成方法にも関心をもちました」と、研修参加の理由を述べます。

指導者養成研修後、自分たちの病院がIVナース研修においては発展途上だと感じた2人は、新たな教育システムの構築を決意しました。まず目指したのは入職1年目からのIVナース研修。2023年度からスタートできるよう動き始めました。師長会での承認を得て、病棟や外来からメンバーを推薦してもらいワーキングループ(WG)を結成。3月から約1カ月で新IVナース研修を作り上げたのです。
「WGのメンバーは8名。臨床経験の豊富な人たちですが、IV関連の研修を構築するのは初めて。そのため、指導者養成研修で得た知識をフルに活用させてもらいました。メンバーたちも、シミュレーション研修の組み立て方や指導者としての視点など、新しい知識に触れることでどんどんやる気が高まり、それが結果につながりました」(堀さん)




新たなIVナース院内認定に向けWGの取り組みは続く
新IVナース研修は受講した新人たちに好評で、その意欲も高めました。配属先で研修の成果を発揮している場面もみられているようです。9月にはこの研修をベースにした新しいIVナース院内認定を開始予定。まずは2022年度に入職した2年目の看護師を対象に、新IVナース研修と試験による認定を行う方向です。さらに年明けには2023年度入職者への認定を実施。2024年度からは1年目でIVナース認定を受ける体制に移行する考えです。
「堀さんや大畑さんを始めWGのメンバーたちの熱量には頭が下がります。今後も楽しみです」と森さん。外部研修の成果は期待以上だったといい、 2023年度も1名が参加します。
きちんと技術を磨いて安全を確保する──当たり前のように思えますが、これは医療・看護の原点にあるもの。そこに立ち返って研修を見直した同院の取り組みには看護師たちの熱い思いが感じられました。


DATA
JA岐阜厚生連 岐阜・西濃医療センター岐北厚生病院
岐阜県山県市高富1187-3
http://www.gihoku.gfkosei.or.jp/
開設 ●1951年
病床数 ●284床
職員数 ●359名 うち看護師202名(2023年8月1日現在)
看護体制 ●一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/二次救急指定病院
[病棟構成]
一般急性期病棟144床・療養型病棟54床・地域包括ケア病棟58床・緩和ケア病棟28床

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2023年10月号 TiaraNo.145より転載しています。
