
三次救急医療機関として、京滋ドクターヘリが滋賀県と京都府南部、福井県嶺南をカバーし、急性期医療を支える済生会滋賀県病院。2024年度の救急車受入台数は7500台余を数え、緊急入院の受け入れは24時間ほぼ絶えることがありません。
同院看護部では、このような状況下で看護師がより効率的に業務を行えるよう検討を行い、病棟と他部署との連携に行き着きました。どのような連携が行われ、どのような効果があるのでしょう。話を聞きました。

夜勤看護師増員から始まった他部署連携の取り組み
済生会滋賀県病院では、看護単位あたりの夜間看護体制が通常よりも多い4名の部署があります。看護部長の松村智子さんは「当院は夜間の緊急入院が多く、受け入れが立て込むときは看護師3名ではギリギリの状態。2年後には新外来棟が完成予定で受け入れの増加が見込まれることから、緊急入院の多い病棟から夜勤看護師を1名増員していきました」と話します。そして、増員した1名には、他部署との連携にも一役買ってもらうことにしたのです。
この試みが最初に行われたのは、9階東病棟(消化器内科、呼吸器内科)と内視鏡センター。消化器内科では近年内視鏡による検査が増えており、それは夜間も同様でした。夜間の内視鏡は看護師2名によるオンコール対応。どうしてもタイムロスがありました。そこで、病棟の夜勤看護師1名が先に内視鏡センターで準備を担当し、その後オンコール看護師1名が介助に入る流れをつくることにしました。
「まずは、この新たな連携に対する双方の看護師たちの抵抗感を取り除くようにしました」と話すのは溝口寿代さんと三?美佐子さん。ともに副看護部長で、当時溝口さんは内視鏡センター、三?さんは9階東病棟をサポートしていました。まず、センターでは看護師がより患者さんと向き合えるよう業務を整理。一方病棟では検査へのかかわりが継続看護と自身のスキルアップにつながることをスタッフに説きました。その後、病棟看護師が内視鏡検査についての学習を進め、取り組みが始まった2023年春からおよそ1年後に連携は軌道に乗りました。


連携により生じた変化は患者さんにメリットをもたらす
「内視鏡検査に携わった病棟看護師が、検査の様子から判断し、その患者さんが9階東病棟で受け入れ可能であることを医師に伝えていました。成長を感じました」(溝口さん)
「申し送りの際に、スタッフから『検査時の鎮静剤が多めだったので転倒に注意が必要』など自ら得た情報が伝えられ、病棟看護に反映されるようになりました」(三?さん)
病棟看護師はこれまで以上に継続看護が行えるようになり、センター看護師は業務が整理され、夜間オンコールによる負担も軽減されました。
「よりスピード感のある内視鏡検査の実施、継続性のある看護提供が可能になったことは、何よりも患者さんにとってのメリットだと思っています。医師からの信頼も得て、これがさらに看護師たちの充実感にもつながっています」と松村さんは話します。



看護師が他部署連携で得た専門性は自らの新たな働き方にもつながる
この実績を受け、病棟と他部署との連携体制の構築が進められています。中心となって進めているのが業務検討委員会。各部署の看護課長・係長24名が主なメンバーで、各病棟の連携先の検討、取り組みの進捗状況の確認などを行います。2025年度内にすべての病棟での他部署連携を目指しています。
「連携は夜間に限りません。例えば、6階西病棟(血液内科、糖尿病内分泌内科)では、外来化学療法センターやCDE糖尿病外来と連携。特に化学療法については、がん化学療法認定看護師*の指導を受けた病棟看護師が外来点滴(土・日・祝日)を実施するまでになっています。このように病棟看護師の専門性を高めることで、フレキシブルに人材を活用できるようになり、これが病棟間の連携にもつながると思っています」と三?さん。さらに溝口さんは「連携を進めて、ゆくゆくは病棟と外来の一元化を目指したいですね」といいます。
これらの連携を可能にするため、同院では看護師と看護補助者の採用数を増やし、看護補助者の教育も充実させました。「看護補助者にチームの一員として力をつけてもらうことで、看護師が『看護師の仕事』に専念し勉強にも時間が割けるような環境づくりができました」と松村さん。他部署連携にはタスクシフト/シェアの視点も生きていました。
*現在「がん薬物療法看護認定看護師」に名称変更。


DATA
済生会滋賀県病院
滋賀県栗東市大橋2-4-1
https://www.saiseikai-shiga.jp
開 設 ● 1937年
病床数 ● 393床
職員数 ● 1185名 うち看護職員578名(2024年4月現在)
看護体制 ● 一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/救命救急センター/災害拠点病院/地域医療支援病院/滋賀県地域がん診療連携支援病院/肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業指定医療機関

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2026年3月号 TiaraNo.159より転載しています。
