
東京逓信病院は、急性期一般病棟に加え、緩和ケア病棟、地域包括ケア病棟などを有する急性期ケアミックス型病院。地域の幅広いニーズに対応した医療を展開していることから、看護にも多様性が求められます。このような背景を受け、同院の専門領域看護師会では自らの専門性を有効に活用するための取り組みを模索し、現場への働きかけや横断的支援を行っています。その活動の様子を紹介します。

認定看護師らの専門性を現場の看護に生かすために
「救急から急性期、緩和ケア、リハビリテーション、地域での生活を考慮した支援など、当院では幅広い医療を提供しています。そのなかで、認定看護師として、現場での看護師のアセスメント力や看護実践力の向上に役立っているのかという思いをもつようになりました」と話すのは、東京逓信病院看護部専門領域看護師室看護師長で皮膚・排泄ケア認定看護師の秡川恵子さん。この思いをきっかけに大学院で看護管理分野を学び、2022~2023年に「急性期ケアミックス型病院における認定看護師の役割発揮に向けた取り組み」を主導しました。同取り組みでは、院内の看護の現状と課題、現場の看護師のニーズを洗い出し、認定看護師における自己評価尺度や事例検討などを実施。認定看護師の活動効果を分析・共有しました。
「その結果、多疾患併存患者さんに認定看護師らが複数でかかわるケースが増え、病棟看護師とともにケアのゴールを目指す様子もみられるようになりました。必要に応じてほかの専門領域看護師につなぐという流れも出ています」(秡川さん)
この動きの中心となっているのが専門領域看護師会です。2023年に認定看護師会から名称を変更してリスタートしました。メンバーは、認定看護師・特定認定看護師に専門領域のプログラムを修了した看護師を加えた19名*1。実践や課題の共有、事例検討、広報活動、教育プログラム作成などを行っています。
*1 感染管理、皮膚・排泄ケア、糖尿病看護、手術看護、認知症看護、がん化学療法看護、がん放射線療法看護、緩和ケア、乳がん看護、摂食・嚥下障害看護、救急看護分野の認定看護師と特定認定看護師、摂食・嚥下障害看護の認定看護師教育課程修了者、がん看護専門看護師教育課程修了者、ヘルスリテラシー分野修士号取得者がメンバーとなっている。



自分たちを知って活用してほしい「CN+通信」で院内にアピール
同会では専門領域看護師についての周知が必要プラスと考え、2025年度から院内に向け「CN+通信」*2による発信を開始。手術看護認定看護師で編集長を務める岡﨑大輔さんは「さまざまな領域・分野のメンバーがいるので、まずは個々についての理解を深めてもらうことを第一に毎号1分野ずつ取り上げています」と既刊号をみせてくれました。
「実際の取り組みだけでなく分野にかかわるトピックスも紹介し、読む人がより関心をもってくれるようにしています」と話すのは糖尿病看護特定認定看護師で副編集長の井出迫和美さん。医師や看護師の休憩室に掲示したり、電子カルテの掲示板に掲載するなど、看護師から他職種まで多くの職員の目に触れるようにしているとか。その効果もあり、看護師だけでなく医師から声をかけられることも増えたそうです。
「専門領域の看護師の存在と役割を再確認してもらうことが私たちの活用につがなり、現場の看護を深めていく一助になればと考えています」と話す岡﨑さん。この通信の先にあるものがうかがえました。
*2 一時休刊していた「CNニュース」 をリニューアルして新たに発行した。


専門性を発揮する認定看護師たちチームとしての強みにもなる
院内には専門領域看護師室があり、ここが専門領域看護師会の拠点。メンバーは、専任での活動日にはこの場所からチーム活動やラウンドをスタートさせます。秡川さんと摂食・嚥下障害看護認定看護師の長政美さんが専従看護師として所属しています。
ここでは日常的にメンバー同士が情報交換を行うことも多く、取材当日も長さんと認知症看護特定認定看護師の森川陽子さんが、コンサルテーションの依頼があった認知症患者さんの事例について経口摂取の可能性を話し合う姿がみられました。「お互い高齢者にかかわる分野なので協働することは多いです。他分野との連携ではいろいろな見方や考え方に触れることで気づきがありますね」と長さん。森川さんは「悩みや迷いを相談したり自分の考えを整理する場でもあります。顔をみて話すことでフランクな意見交換ができている気がします」といいます。
会では年に2回事例検討を行い、認定看護師の活動や病棟看護師との連携を振り返っています。
「病棟看護師だけでなく、認定看護師にとっても学びがあり、役割発揮に生かすことができます。お互いに支援し合える場になればと考えています。これからも自分たちに何ができるかを探っていきたいと思っています」(秡川さん)


DATA
東京逓信病院
東京都千代田区富士見2-14-23
https://www.hospital.japanpost.jp/tokyo
開 設●1938年
病 床 数●421床
職 員 数●947名、うち看護職員452名(2026年4月現在)
看護体制●一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/東京都がん診療連携拠点病院/東京都難病医療協力病院

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2026年9月号 TiaraNo.162より転載しています。
