
大阪府看護協会では、さまざまな先進的取り組みを展開しています。そこには、会長である高橋弘枝さんの「看護職をもっと理解してほしい」という強い思いがあります。高橋さんにお話をうかがいました。

お話:高橋弘枝さん<大阪府看護協会 会長>
プロフィール
大阪大学医療技術短期大学部(現在廃止)卒業後、1981年大阪厚生年金病院(現JCHO大阪病院)入職。1988年大阪厚生年金看護専門学校専任教員、1997年同校教務部長。1999年大阪厚生年金病院看護婦長、2010年同院看護部長。2014年JCHO大阪病院看護部長。 2015年4月〜 2016年3月独立行政法人地域医療機能推進機構本部企画経営部医療副部長、2016年6月より現職。認定看護管理者。
専門職としての看護職をアピールしていきたい
学生時代の私にとって、看護職は数ある選択肢の1 つでした。進路を決めかねているときに、テレビ番組で助産師の仕事をみてお産に関心をもち、看護を学ぶことにしたのです。私の看護は、学問としての興味から始まりました。
卒業後は大阪市内の地域中核病院に勤務。そして看護教育に携わった後、管理職として臨床に復帰しましたが、その過程で、看護職が自立した専門職であるにもかかわらず、社会的にそうはみられていないと感じました。そして、看護職の質の高さ、素晴らしさを広くアピールすべきだと思うようになりました。この思いはずっと私の芯にあって、現在の自分のなかにも息づいていると思います。
やらなければという思いがさまざまな事業につながった
誰かがやらなければスタートしない「誰かがやらなあかん」というときは、必ず手を挙げて、やってみるようにしています。ですから、これまで本会が行ってきた事業は、そうして始まったものが少なくありません。急を要する場面も多く、私自身も走り回りましたが、スタッフたちがよく協力し、頑張ってくれたからできたのだと思います。
2020 年は新型コロナウイルス感染症という新たな脅威にさらされました。国民一人ひとりが現在もなおそれぞれに大変な思いをしています。そして、何よりも医療従事者には重い役割が課せられています。感染が確認された当初から、私は看護職には専門職だからこそできること、やらなければならないことがあると考えていました。ですから、大阪府が宿泊療養施設を設置する際には、看護職の派遣と人員のコントロールは本会に任せてほしいと手を挙げました。さらに、大阪コロナ重症センター開設に際しては、勤務する看護職の募集・派遣にも協力し、予定していた数のスタッフの確保につなげました。
スペシャリストの育成についても、いち早く手を挙げてスタートさせたものがいくつかあります。旅行者や長期滞在者など国内にいる外国人の方々に対する看護提供を専門的に学ぶ日本国際看護師養成研修、認定看護師や専門看護師に対する特定行為研修、さらに認定看護師の分野再編により誕生したクリティカルケア認定看護師教育課程も実施しています。いずれも看護職の専門性を高めるために行っていますが、これはスペシャリストとしての看護職の存在感を示すことにもつながっていくと思っています。

現場の看護職のためポジティブな姿勢を忘れずに
このように、必要性を感じたら、看護職能団体として道を切り拓いていくという思いをもって、さまざまな事業に取り組んできました。現場で医療に相対している看護職のため、本会は何ができるか、何をすべきかを常に考えるようにしています。私自身、副看護部長や看護部長時代には、これまでの固定概念にとらわれず、新しい取り組みに挑戦してきました。そうすることで、看護職が働きやすい、一人ひとりが活躍できる現場にしたいと考えてきました。この姿勢が今につながっているのだと思います。
新しいことをやるときは、リスクをきちんと想定しながら、まずは 1 歩踏み出す勇気をもつことが大切。そうすることでみえる景色が変わってくるんです。すると気持ちも上がります。やるからにはワクワクしながらやりたいですよね。これは、個人のチャレンジでも同じではないかと思います。
これからの大阪府看護協会としては、今まで切り拓いてきたことをいかに継続していくかが重要。続けていける仕組みを作っていかなければと考えています。同時に、これからもポジティブな姿勢を忘れず、「やらなあかんこと」にはどんどん取り組んでいきたいと思っています。
第5回「大阪サクヤヒメ大賞」を受賞 高橋さんは、大阪商工会議所が主催する「大阪サクヤヒメ表彰」で大賞に選ばれました。この表彰は、今後さらなる活躍が期待され、後進のロールモデルとなる女性リーダーに対して贈られるもの。大賞1名のほか、大阪サクヤヒメ賞10名、活躍賞40名が選定されます。
「歴代受賞者のみなさんは、大企業や団体の役員や管理職などそうそうたる面々です。そのようななか、看護職の代表として評価していただいたことを誇らしく思います。看護職が、確立された専門職として魅力ある職業であることを、世の中に知ってもらうきっかけになりました」と高橋さん。自身の活躍を情報発信にもつなげているようです。


大賞受賞の副賞であるプローチ
本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2021年3月号 Tiaraティアラ別冊「キラリ」より転載しています。