
看護師特定行為研修で実臨床で活用できる知識・技術を得る
写真撮影/生越知樹さん(おおせかずき・水戸済生会総合病院初期研修医)

小堀 明子さん<水戸済生会総合病院 救命救急センター ICU 看護師看護師特定行為研修生(術中麻酔管理領域)>
現在、特定行為に係る看護師の研修制度(以下、看護師特定行為研修)の「術中麻酔管理領域」を受講しています。2020年度に共通区分の受講を終え、2021年度は区分別科目研修(講義・演習・実習)に入りました。毎週木曜日に麻酔科主任部長の小林可奈子先生の指導のもと実習を行っています。
当院では、2018年度から看護師特定行為研修を始めており、私は第3期生。初年度にも声をかけていただいたんですが、当時は血管造影室勤務でINE(インターベンションエキスパートナース)*の資格取得に取り組んでいました。さらに、子育て中でもあったのであきらめることに。でも、昨年次女が小学校に入学したことから、再度検討し受講を決めました。INE取得の過程で学ぶことの楽しさを感じ、生活と勉強の両立を考え始めたタイミングでもあったように思います。
今は、動脈ラインを確保し血液ガス分析をしたり、人工呼吸器の設定やウィーニングに向けての調整をしたり、手術室内で演習も兼ねた実習を行っています。術中麻酔管理領域を選択したのは、手術室看護師を目指したというよりも、現在勤務しているICUでの実臨床に活用できる知識と技術がまとめて身につけられることから。これまで術前・術後の治療や処置にかかわってきましたが、この研修で術中にもかかわることができ、患者さんの状態や看護の継続性など経時的に考えられるようになってきました。私が学んだことを、ICUのスタッフと共有し、術後管理に役立てていければいいなと思っています。
経験値を形式値に変換しより安全・確実な看護提供を
看護師特定行為研修を受講したのは、このまま現状に留まっているのは嫌という思いからでした。日々進歩する医療に取り残されないためにも、これまでの経験値を形式値に変えることが必要だと考えたのです。研修を通して医師との共通言語・認識をもつことで、治療計画にかかわることも可能になります。そうすれば、先を予測し、より安全で確実な看護を提供できるようになる。そんな看護師を目指しています。
とはいうものの、手術室での研修は緊張の連続です。医師や研修医、手術室看護師の目があるので、その前では、末梢ラインを取るだけでもプレッシャーを感じてしまいます。緊張のなかで冷静さを保つメンタルトレーニングにもなっているかもしれません(笑)。
後に続く研修生のために道ならしをしたい
自分の性格を一言で言えば「負けず嫌い」。この気の強さに助けられ、ここまで頑張ってこられたように思います。INEの資格取得も、周囲の先輩に刺激され、私も追いつきたいという気持ちからでした。そして看護師特定行為研修受講でも、看護師としての自分を高めたいという強い思いがありました。看護師は、人の痛みと向き合うことの多い仕事です。悲嘆だけでなく、時には荒々しい感情を向けられることもあります。そういう場面でも、自分を強くもたなければならないので、この性格は看護師という職業に合っているのかもしれませんね。
研修を修了した、いわゆる特定看護師は、まだまだ広く世の中に認知されているとはいえません。だからこそ、今後より多くの看護師に受講してもらえたらと思っています。それが院内の看護スキルの底上げにもつながる。ですから、まずは当院の第4期生、第5期生が特定看護師として活躍しやすいよう、先陣を切った私たちが道ならしをしなければと思っています。それが、研修中の私の業務をフォローしてくれている上司や同僚への恩返しにもなると信じています。
私から一言:指導医 小林可奈子さん(麻酔科主任部長)

写真右:小林さん
当院の看護師特定行為研修では、臨床研修センターが協力し、総合内科、循環器内科、救急科、麻酔科など複数の診療科の医師が指導を担当しています。小堀さんには基本的に初期研修医と同等の研修を行っていますが、看護師だからというような職種による違いは感じていません。よく勉強していて、とても意欲的です。小堀さんは救急やICUで経験を積んでいるので、術後管理に求められる情報も熟知しており、申し送りなどでは私も勉強させてもらっています。
プロフィール
小堀 明子(こぼり・あきこ)
2001年国立水戸病院 (現水戸医療センター)附属看護学校卒業。同院(救命救急センター)入職、2006年退職。2007年水戸済生会総合病院入職、救命救急センター勤務。2010年および2012年に出産、産休・育休取得。2013年救急外来に復職。2015年血管造影室、2020年救命救急センターへ異動。現在に至る。



*日本インターベンショナルラジオロジー学会と日本心血管インターベンション治療学会の認定資格。カテーテルを用いる治療や検査について、高度な技術と専門的な知識を有する看護師を認定するもの。
本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2022年4月号 TiaraNo.136より転載しています。
