
柏崎総合医療センターでは、2017年度から医療安全における複合的教育キャンペーンを行っています。その名も「褥瘡・感染・安全対策リレーキャンペーン 3する運動」。同キャンペーンでは、啓蒙事業や研修会などさまざまな取り組みを多角的に行っており、その1つである体験型企画展示「3する祭」が、2018年7月31日に行われました。その会場にお邪魔しました。

疑問解消や最新情報入手の場は多くの職員を集め大盛況
「3する祭」では、褥瘡・感染・安全対策という3つのテーマにかかわる各種企業が出展。柏崎総合医療センターで現在使用されている医療機器や医療材料、新たな新製品などを紹介しています。16時30分から19時30分までの開催となっており、その間職員は自由に出入りし、展示品に触れたり、企業の人に質問したりすることができるようになっています。また、会場内には飲み物やお菓子が準備され、だれでも気軽に足を運べるような工夫も凝らされています。

31日当日、展示が行われる同センターの7階講堂には、開始時間を過ぎると、次第に職員の皆さんが姿をみせるようになりました。皆さん最初は遠慮気味に展示を見ていましたが、出展者と言葉を交わすうちに、製品に対する興味が高まったようで、次々に質問を投げかけるようになりました。
「この手順で操作しなければならない理由は何ですか」
「これはどんな患者さんに適しているんでしょう」
業務を終えた看護師の皆さんがやってくる17時過ぎには、会場内は大混雑。質問する活発な声が聞かれる一方で、久しぶりに顔を合わせた他職種の人と情報交換を行うグループがみられるなど、思い思いに展示会を活用する来場者の姿がありました。
同展示は、出展企業を変えて10月にも行われる予定。昨年度には3回実施され、延べおよそ300人が来場しました。


課題であった「予防」をキーワードにキャンペーンが誕生
このユニークなイベントは、学会等で行われている企業展示にヒントを得て企画されました。
「企業の展示を見たり、説明を聞いたりすることで、製品を通して各分野に興味をもってもらえるのではないかと思いました。さらに、最新のデータに基づき開発された各企業の新製品に触れ、体験学習することで、新たな知識を楽しく習得できるのではと考えたのです」と話すのは中村文枝さん(皮膚・排泄ケア認定看護師)。徳原伸子さん(感染管理認定看護師)、大倉里美さん(看護部医療安全対策委員会委員長)らとともにこのキャンペーンを立ち上げました。
立ち上げのきっかけは、それぞれが抱える悩みでした。「褥瘡」「感染」「安全」の分野に日常的にかかわっている3人は、「予防」を重要な課題として捉えていました。そして、院内の現状をまだ十分ではないと感じており、どうすれば徹底できるかを模索していたのです。
「予防は、“起こさないため”に行うもので、地道な取り組み。ほかに何か業務があれば、どうしても後回しになりがちです。職員にその予防を行う意味に興味をもってもらうことで、しっかりと根付かせていきたかったのです」(徳原さん)
そこで「予防」を共通のキーワードにした複合的キャンペーンを発案。それが、「背抜きをする」「アルコールを擦る」「確認する」を徹底させるための「3する運動」となりました。各分野の委員会がリレー方式で啓蒙活動や研修会を行い、年間を通して「予防」の定着を促しています。
2017年度に看護部の取り組みとしてスタートしたこのキャンペーンは、翌2018年度には病院全体の取り組みとなり、全職員を巻き込むまでになっています。



みんなが楽しんで取り組めることが続けられるポイント
キャンペーンは4月から12月までの9カ月間で展開。感染→褥瘡→安全対策と2カ月ごとにテーマがリレーされます。
キャンペーンの柱は3つあり、その1つが啓蒙活動です。掲示板や壁へのポスター掲示に加えて、リマインダーとしてPOPを作成し、パソコンやペーパータオルホルダーなど目につく場所に貼り付けることで一層の周知を図っています。さらに、部署ごとに応募する川柳コンテストも実施。優秀作品は表彰されるとあって、職員の熱も高まっており、積極的に応募があるといいます。
2つ目の柱は研修会。間違い探しやグループワークなどを取り入れ、参加者が楽しみながら学べるような工夫をしています。また、川柳の審査結果もこの研修会で発表されます。
そして最後が今回開催された参加型企画展示「3する祭」です。いまやキャンペーンの象徴的な催しになっています。
「語呂合わせのような形で『3する運動』というネーミングを考えたのも、少しでも印象に残り、親しんでもらえるようにするため。参加する職員も、企画する側も、楽しんでキャンペーンに取り組めることが大切だと思います。でなければ、続けることはできません。2年目を迎え、少しずつですが、職員に予防意識が根付いてきたように感じています。これからも楽しみながら、みんなで取り組んでいけたらいいですね」(大倉さん)
来年度はどのような展開がみられるか楽しみです。
本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2018年10月号 TiaraNo.118より転載しています。