記事
記事
漫画
漫画
用語
用語
ナース専科国内最大級の看護師・看護学生コミュニティサイト

看護師・看護学生向けの総合Webメディア

  1. ナース専科
  2. >
  3. 看護の記事
  4. >
  5. Tiara
  6. >
  7. SCOPE 注目の話題
  8. >
  9. 「医療安全」「医療安全管理者」のあり方を考える新型コロナウイルス影響下における医療安全|第35回医療安全管理者ネットワーク会議 in Web
SCOPE 注目の話題

「医療安全」「医療安全管理者」のあり方を考える新型コロナウイルス影響下における医療安全|第35回医療安全管理者ネットワーク会議 in Web

ティアラNo.130の表紙看護情報誌ティアラ2020年10月号(No.130)掲載誌面PDFを読む
「医療安全」「医療安全管理者」のあり方を考える新型コロナウイルス影響下における医療安全|第35回医療安全管理者ネットワーク会議 in Webのサムネイル画像

一般社団法人医療の質・安全学会のネットワーク委員会により、医療安全管理者の交流の場として構築・運営されている医療安全管理者ネットワークが、2020年9月20日、第35回医療安全管理者ネットワーク会議 世界患者安全の日記念イベント「新型コロナウイルス影響下における医療安全」を開催しました。コロナ禍のなかオンライン開催となりましたが、200名を超える参加者が視聴し、時代に即した医療安全と医療安全管理者のあり方を考えました。その講演の内容をリポートします。

主催/一般社団法人医療の質・安全学会 共催/公益社団法人東京都看護協会
後援/厚生労働省 ニプロ株式会社

会議は十分な感染対策のもとWEB配信にて行われた

会議は十分な感染対策のもとWEB配信にて行われた


 セミナー当日は、東京都看護協会の大研修室1A・1Bを会場に、オンライン配信が行われました。演者のみなさんは、会場から、あるいは録画配信で、講演を行いました。

第1部 講演会

【座長】佐々木 久美子先生<医療の質・安全学会 ネットワーク委員/直和会・正志会本部 看護業務担当部長>

第1部 講演会

佐々木久美子先生

講演1 第2回世界患者安全の日を迎えて

【講師】後 信先生<医療の質・安全学会 国際委員会担当理事/九州大学病院医療安全管理部 部長 教授>

講演1 第2回世界患者安全の日を迎えて

後 信先生

 後先生は、今回のイベント開催の機会となった「世界患者安全の日」について解説しました。「世界患者安全の日」は、2019年にWHO(世界保健機関)によって創設された記念日で、毎年9月17日と定められています。「社会の意識を高め、参加を促し、国際的に理解を広めて、国際社会の連帯と患者安全を促進するための行動を促すこと」が目的です。 WHOではこれまでも「WHO global health days」を定めており、世界患者安全の日は10番目の制定となりました。

 第2回を迎えた2020年には、テーマ、スローガン、求められるアクションのすべてに「医療従事者の安全」が盛り込まれています。これは新型コロナウイルスのパンデミックを受けてのもの。2020年の大きな特徴だということです。

 同記念日には、自国を代表する建造物やモニュメントをテーマカラーであるオレンジ色にライトアップしたり、オレンジ色のTシャツを着用して情報発信をするなど、世界各国でさまざまな取り組みが行われています。2020年はバーチャルイベントが開催され、後先生は所属する国立大学附属病院で組織するグループによる九州GRM研修会のメンバーで動画を撮影し、イベントに参加したそうです。後先生は「このような動きを通し、患者中心の医療の実現に向けて世界が動いているような気がします。日本からの行動や情報の発信により、世界患者安全の日の活動を年々盛んにしていきたいと思います」と締めくくりました。

講演2 新型コロナウイルス感染症が医療に与える影響

【講師】大曲 貴夫先生<国立国際医療研究センター 国際感染症センターセンター長>

講演2 新型コロナウイルス感染症が医療に与える影響

大曲 貴夫先生

 冒頭、国内で新型コロナウイルス感染が確認され始めた2020年1月時の状況を確認し、以降医療機関にどのような影響を及ぼしてきたかをまとめました。大曲先生は「インフルエンザウイルスやRSウイルスと異なり、新型コロナウイルスは発症前の無症状のうちから感染が起こります。ですから、症状を確認したら対応するというこれまでの感染対策はこのウイルスには通用しない。見極めが難しい面もありますが、医療従事者による院内感染を防ぐためには、軽い症状を早く拾いあげることが重要です」と話しました。一方で、国立国際医療研究センター病院でのデータをもとに、2020年6月以前の入院症例と6月以降の入院症例を比較し、後者のほうが死亡例が少ないことを挙げ、医療機関による感染対策のレベルが上がっているのではないかという見通しも述べています。

 また、ダイアモンドプリンセス号での感染者を受け入れた事例で、その重症化の速度と症状の深刻さを紹介。そして、重症になることで、病床の専有期間が長くなり、かかわる医療従事者の数が増えることを指摘。「そのため、重傷者や死亡者を減らすための対策・仕組みを構築していくことが重要になっています」と、大曲先生は新型コロナウイルス感染症に対応する一つの方向を示しました。

 「いまやWHOでも取り上げられるようになった日本発信の『3密』の概念、そして医療従事者や感染者だけでなく誰もが行うことで感染を予防する『ユニバーサルマスキング』など、一つ一つの問題・課題を検討し、対策を立て、それを共有・標準化することが、これからも必要になります」と、大曲先生は結びました。

講演3 新型コロナウイルス影響下における患者安全

【講師】長尾 能雅先生<医療の質・安全学会 理事長/名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部 教授>
長尾 能雅先生

 長尾先生は、コロナ禍における患者安全の役割について「病院全体の有事対応を支援しつつ、同時にそれらを俯瞰し、医療の質を保ちながら、患者の安全管理に全力を尽くすこと」としました。患者安全は、有事であったとしても、疎かにされていいものではなく、状況に合わせて変化することはあっても、その役割を見失ってはならないといいます。

 これを前提に、名古屋大学医学部附属病院で2020年1〜5月に報告されたインシデントレポートについて分析を行いました。すると「不十分な感染防御対策」「不明瞭な対策・ルール」「新たな対策・ルールの導入により発生した問題」「新型コロナウイルス感染症陽性・疑い患者治療中のトラブル」という4つのカテゴリーに分類され、コロナ禍の患者安全においてどのような問題が生じるのかを浮き彫りにしました。

 また、新型コロナウイルス感染症に対応していくなかで、同院で実際に生じた課題を具体的に紹介。医療安全管理者や感染対策チームがどのように動いたかも例を交えて話しました。そして、実際に課題を体験することが自分たちの成長につながると述べ、その積み重ねこそが、医療従事者と国民の信頼関係を強め、国家的な有事に立ち向かう力になるとしました。

講演4 第15回医療の質・安全学会学術集会開催に向けてのメッセージ

【講師】木村 壯介先生<第15回医療の質・安全学会学術集会 大会長/日本医療安全調査機構 常務理事>

講演4 第15回医療の質・安全学会学術集会開催に向けてのメッセージ

木村 壯介先生

 第15回医療の質・安全学会学術集会(2020年11月22〜23日開催)の大会長を務めた木村先生が、開催にあたっての思いを話しました。今回の集会は「『予期しない死亡』にどのように対応し、次につなげるか 〜『医療事故調査制度』開始5年を経て〜」をテーマとし、医療事故調査制度のこれまでを振り返り、今後を考えるものです。さらに、特別企画として、新型コロナウイルス感染症についての最新情報の提供を行うことにしました。大会はWeb方式で行われ、ライブ配信以外にオンデマンド配信もされました。2020年1月以降、コロナのウイルス感染症により一般医療提供体制が減衰し、それに対応して「医療事故」発生報告も減少したことが報告されました。木村先生は、医療事故調査制度によって当該医療機関が自ら調査・検討し、そこから学ぶことが、医療安全につながっていることを訴えました。

医療安全管理者ネットワーク会議ポスター

医療安全管理者ネットワーク会議ポスター

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

第2部 パネルディスカッション|新型コロナウイルス影響下における医療安全管理者の役割

【座長】山元 恵子先生<医療の質・安全学会 ネットワーク委員/公益社団法人東京都看護協会 会長>

第2部 パネルディスカッション|新型コロナウイルス影響下における医療安全管理者の役割

山元 恵子先生

講演1 新型コロナウイルス感染影響下でのインシデントからの一考察

【講師】關良充先生<東京北医療センター 医療安全管理部>

講演1 新型コロナウイルス感染影響下でのインシデントからの一考察

關良充先生

 關先生は、まず東京北医療センターでの2020年3〜6月のインシデントレポートの報告状況を振り返りました。特に、新型コロナウイルス感染症患者受け入れ病棟と救急外来の報告件数を挙げ、いずれも4月の前年度比は大幅に減少しており、第1波の時期に当たるため発熱患者の受け入れ等による影響ではないかと分析しました。そのうえで特徴的な事例を報告。そのなかから検体検査に起因した手術の遅れにかかわるインシデント事例について分析し、伝達方法や検査体制の見直し、PPE装備による手術室搬送・手術実施などの防止対策を提示しました。

 さらに、同センターでの有効な対策についても述べました。部署別にすべき対策をどう進めるかを示した「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」の作成、感染対策室と医療安全管理室との連携による情報共有、地域の中規模病院間での連携機能を紹介しました。

講演2 医療安全管理者の感染制御室と協働しての地域連携

【講師】亀森 康子先生<自治医科大学附属さいたま医療センター医療安全・渉外対策部>

講演2 医療安全管理者の感染制御室と協働しての地域連携

亀森 康子先生

 新型コロナウイルス感染症による影響下での、医療安全と感染対策の連携、地域間での連携について、亀森先生が自治医科大学附属さいたま医療センターの実際を紹介しました。

 緊急での患者対応が求められるなか、医療安全管理室が患者データの収集の申し出やPPE着脱のシミ ュレーションについて感染制御室を支援した例を示し、日頃から研修会等で築かれた連携体制が生かされたと話しました。また、医療安全対策地域連携加算を通して培ってきた地域ネットワーク間でも相互支援が図られたといいます。そして、新型コロナウイルス感染症への対応では、対策・ルールの周知や組織横断的な活動を円滑に進めるためには、医療安全と感染対策の連携強化が一層必要になるとしました。

講演3 新型コロナウイルス感染影響下における医療安全管理部門のBCP(業務継続計画)

【講師】荒井 有美先生<北里大学病院 危機管理部 医療の質・安全推進室>

講演3 新型コロナウイルス感染影響下における医療安全管理部門のBCP(業務継続計画)

荒井 有美先生

 BCP(business continuity plan)とは、災害などの有事に際して、損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し、早期復旧を図る目的で立案される業務継続計画のこと。COVID-19の影響下においても、必要な医療提供体制を維持し、患者と医療従事者の安全を確保するために、医療安全管理部門におけるBCPは重要であると荒井先生は話しました。また、 COVID-19への対応という緊急事態にあって、BCPの策定により最優先にすべき医療安全を考えるプロセスは、最重要課題を再認識できるとしました。北里大学病院では災害拠点病院としてBCPを作成。自然災害とパンデミックでは、被害対象や期間、影響範囲等は違いますが、院内での発生事案について正確に情報を収集し、その都度的確な判断と対処が求められることは共通します。同院では、BCP に基づきCOVID-19対応のため危機管理委員会を発足させており、感染対策、医療安全、経営が三位一体 となることの大切さを改めて感じたと話しました。

大会当日はテレビ取材もみられた

大会当日はテレビ取材もみられた

講演4 医療安全管理者・部門の状況と今後の展望

【講師】寺井 美峰子先生<北野病院 看護部長>

講演4 医療安全管理者・部門の状況と今後の展望

寺井 美峰子先生

 寺井先生は「新型コロナウイルス影響下における医療安全管理者の役割に関する調査」の結果を報告しました。57施設(26都道府県)から得られた回答を分析、新型コロナウイルス感染が広まるなか、医療安全管理者が主にどのような役割を担っているかを探りました。

 調査内容は、新型コロナウイルス感染症関連の影響、インシデント報告の傾向やその対策など9つの項目にわたっています。なかでも、特に重要だと位置付けられる「医療安全管理委員会の開催」「医療安全に係る職員研修の実施」「医療安全に関する採用者オリエンテーションの実施」については、eラ ーニング・オンライン・DVDへの切り替えや、3密を避けるなど最大限の対策の導入など大きな影響があったという結果となっています。また、新型コロナウイルス感染症対策に際して、医療安全管理部門がリーダーシップを取ってマネジメント機能を果たし、施設全体を統括したケースもみられました。

 このように、各先生が自施設において医療安全管理者・部門がどのような役割を果たしたかを、具体的な取り組みを含めて報告しました。これを参考に、ディスカッションでは研修への対応について踏み込んで話し合い、今後も参加者と一緒に考えていくことを確認しました。ディスカッションに同席した医療の質・安全学会理事長の長尾先生は、新型コロナウイルス感染症対策について「医療安全は感染制御に主眼を置き、その指揮棒を現場が注視できるようサポートすることを考えていく必要がある」としました。

パネルディスカッションのWEB画面

パネルディスカッションのWEB画面

WEB配信を行う会場の様子

WEB配信を行う会場の様子

ご登壇いただいた先生方とネットワーク委員会のメンバー(写真撮影時のみマスクを外しています)

ご登壇いただいた先生方とネットワーク委員会のメンバー(写真撮影時のみマスクを外しています)


医療安全管理者ネットワーク会議を終えて
 第35回医療安全管理者ネットワーク会議は、世界が新型コロナウイルス感染症に襲われるという未曾有の事態のなか、医療安全管理者がいかに機能しているか、どのような役割が期待されているのかという状況を共有することを目的としました。初めてのオンライン開催でしたが、多くの方々のおかげで盛会のうちに終えることができたと思います。院内の医療安全職員研修のあり方、感染管理部門との連携、リーダーとしての動きなど、それぞれの講演・報告から、参加していただいた皆さんに何らかの学びを得てもらえたら嬉しいですね。

左から、ネットワーク委員会担当理事の寺井美峰子さんと前担当・学会副理事長の嶋森好子さん

左から、ネットワーク委員会担当理事の寺井美峰子さんと前担当・学会副理事長の嶋森好子さん

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2020年10月号 TiaraNo.130より転載しています。

  • ヘルプ編集ポリシー
  • 利用規約特定商取引法に基づく表示
  • 個人情報について広告掲載について
  • 運営会社お問い合わせ
  • ヘルプ
  • 編集ポリシー
  • 利用規約
  • 特定商取引法に基づく表示
  • 個人情報について
  • 広告掲載について
  • 運営会社
  • お問い合わせ

OFFICIAL SNS

  • X
  • Instagram
  • LINE
  • YouTube

株式会社エス・エム・エスの運営サイト

  • 放射線技師人材バンク検査技師人材バンク
  • 工学技師人材バンク国試黒本治療家エージェント
  • JOB NOTEPTOT人材バンク
  • エイチエ 転職ウェルミージョブ
  • カイゴジョブエージェントケア人材バンク
  • かべなし求人ナビ・就労支援ナビ保育士人材バンク
  • カイポケ訪問看護マガジンPTOT人材バンク
  • JOB NOTEカイポケM&A
  • 放射線技師人材バンク
  • 検査技師人材バンク
  • 工学技師人材バンク
  • 国試黒本治療家エージェント
  • JOB NOTE
  • PTOT人材バンク
  • エイチエ 転職
  • ウェルミージョブ
  • カイゴジョブエージェント
  • ケア人材バンク
  • かべなし求人ナビ・就労支援ナビ
  • 保育士人材バンク
  • カイポケ訪問看護マガジン
  • PTOT人材バンク
  • JOB NOTE
  • カイポケM&A
プライバシーマーク

安心してご利用いただくために

ナース専科を運営する(株)エス・エム・エスはプライバシーマークを取得しております。

Copyright © SMS Co., Ltd. All Rights Reserved.

記事記事漫画漫画用語用語

ティアラ連載一覧

  • Nursing 最前線
  • SCOPE 注目の話題
  • TOPICS
  • 紹介します! わが看護協会
  • お助け! 接遇Q&A
  • Let’s 看護みがき
  • 自慢のおみやげCollection
  • アセスメントのコツ
  • 地域の看護AtoZ
  • ストレス攻略術
  • ナースのホンネ
  • その他