
現在国際規格に基づいた誤接続防止コネクタに段階的導入が進んでおり、対象となる6つの製品分野のうち「神経麻酔」「経腸栄養」の切り替えが行われています。今回は、使用機会の多い経腸栄養分野の切り替えにおいて、具体的にどのような取り組みが行われているのか、第15回医療の質・安全学会学術集会 パネルディスカッション「地域連携で誤接続防止コネクタの導入を成功させる」(Web開催:2020年11月23日LIVE配信)から2題の演題をリポートします。
第15回医療の質・安全学会学術集会パネルディスカッションから

パネルディスカッションの座長を務めた中島勧先生
チューブや医療機器の誤接続による事故を防ぐため、誤接続防止コネクタの国際規格(ISO[IEC] 80369シリーズ)が段階的に導入されています。医療機器の接続に使用される小口径コネクタ(内部直径8.5mm以下)を対象としており、その区分は6つの製品分野(p.5表)。新規格製品と既存規格製品の接続ができなくなるのは「皮下注射および血管系等」を除く5分野です。すでに2018年から神経麻酔と経腸栄養の2分野で製品の切り替えが進められており、いずれも既存規格製品の出荷終了期日(神経麻酔分野:2020年2月末、経腸栄養分野:2022年11月末*)までに切り替えを完了する必要があります。
神経麻酔分野は使用が限られていますが、経腸栄養分野については、機器を使用する患者数が多く、流通する範囲も医療機関、高齢者施設、在宅と広いため、切り替えには工夫が必要となります。パネルディスカッションの座長を務めた中島勧先生は「経腸栄養用コネクタは、経腸栄養用カテーテルや胃ろう用カテーテル、栄養用シリンジなどさまざまな製品で用いられます。院内だけでなく、むしろ院外で使用されることが多く、多職種がかかわります。ですから、この切り替えに際しては、地域の安全を担うという視点をもつことが重要です」と述べました。

LIVE配信が行われた会場の様子
埼玉医科大学病院における誤接続防止コネクタ製品導入の取り組み

埼玉医科大学病院医療安全対策室 鹿又一洋先生
埼玉医科大学病院では、神経麻酔分野と経腸栄養分野の切り替えを同時に進めました。前者については、院内の限定的な場面での使用だったためスムーズに導入を完了。一方、後者は院内全体で使用されており、院外での使用を考慮する必要性があるため、課題をあぶり出しながら、解決法を探っていきました。
鹿又先生は、まず情報を集め、院内関連部署と共有して、問題点を明らかにしていきました。特に問題であったのは、誤接続防止コネクタへの切り替えが院内外の現場で周知されていないことでした。そこで、院内については、リリースや委員会での情報発信、各部署のラウンドなどを行い、切り替えの内容とともに具体的なスケジュールを伝えるようにしました。また、周辺施設については、埼玉県西部圏118施設に案内書を送付し、切り替えの内容と同院の方針、スケジュールを連絡しました。同時に、同院から転出する患者さんについては、一定期間は変換コネクタ(新規格製品と既存規格製品が混在する場合に使用)を提供する方針も伝えました。
経腸栄養用コネクタは地域で使用される期間が長いため、鹿又先生は地域連携がさらに必要と考え、地域の医療施設と在宅関連施設に対してセミナーを実施。患者さんへの情報提供として、外来等でも診療とは別の説明機会を設けることとしました。
「地域での連携不足は患者さんの不利益につながってしまう。基幹病院、メーカー、周辺施設が、危機感をもって密接に情報共有することが切り替えを成功させる道です」と鹿又先生。さらに、地域全体での切り替えになるため、期限間際になると製品が不足するリスクもあり、早めの進行を呼びかけました。

4題の講演の後ディスカッションが行われた
当訪問看護ステーションにおける誤接続防止コネクタ切り替え方法の検討−

K&F株式会社 ひだかK&F訪問看護ステーション事業所長 甲斐伸之先生
ひだかK&F訪問看護ステーションでは、切り替えに際し、まずスタッフが連携先である訪問診療クリニックでの説明会に参加し、社内のグループウエアを利用して情報を発信しました。同ステーションでは、2020年11月時点で、経腸栄養を施行している利用者さん14名のうち13名が既存規格製品の使用者。近隣の病院・クリニックや訪問診療では切り替えが行われておらず、ほかの訪問看護ステーションや訪問介護事業所も含め、地域ではまだまだ周知されていないのが現状だといいます。甲斐先生は「基幹病院が新規格製品の導入を決めたら、なるべく早く地域への情報発信を行ってほしい。それにより、地域での情報受信のスイッチが入ります。その後は、地域内で積極的な情報共有を行い、隅々まで情報を拡散することが必要になると考えています」と述べました。切り替えには時間を要することから、早い段階での対応が望ましいとしました。
また、医療機関退院時に訪問看護が導入になるケースが多いことから、今後は使用している医療製品の種類も情報として共有することが必要です。また、新規格製品に準じた新たな手技や変換コネクタの使用法などを、地域の医療者だけでなく、利用者さんや家族にも習得してもらわなければなりません。同ステーションでは、実際の製品に触れられる機会を設け、そのうえで個々の利用者さんの状況を考慮したサポートを目指しているといいます。「施設によって利用状況が異なるので、それぞれの施設で予測される問題に見合った導入方法を検討することが重要になります」と甲斐先生は話しました。

ディスカッションでは座長も含め熱心に意見交換する様子がみられた

当日会場でリモート配信を行った先生方

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2021年6月号 TiaraNo.131より転載しています。